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アマリリスは夢を見る。  作者: 真中ユウ
アマリリス12歳
20/30

姉様のドレスを探せ⑥





殆どの人間がクロード兄様に挨拶をしていった。そんなに人も多くない。親類のみを呼んでいる晩餐会だ。来賓は婚約者であるクローディス様とそのご両親に兄弟姉妹、さらに祖父母に叔父や叔母などであり30名ほどになる。




もしかして、私がクロード兄様の所へ寄るまでに挨拶をしに来たのかしら?

しかし、それはそれで人を絞れる。挨拶しに来た記憶のない者に近づき、右手首をちらりと覗くが黒子は見当たらない。



…殆どの人間は見てしまったのだ。

折角の打つ手だが、この情報に囚われてしまっていて、その他の部分が考えられない。



いや、ヒントはあるはずなのだ。

何かを私は見逃している。



「…アレク」

「はい」

「このホールを出た人はいる?」



アレクには出入り口の門番としての警備に当たるよう指示をしていた。門番と言ってもホールの扉を開閉し客を誘導する係のようなものである。



「5名ほど。全て顔と名前は把握しております。ちなみにお一人はローレンス様です。」

「…兄様がするとは考えたくないわ」


ローレンス兄様は私には意地悪するが、それでもリリア姉様に何かするとは思えないし、一族として婚約の破談になるような事はしない。


何よりメリットがない。

ローレンス兄様が極度なシスコンで姉様が家から出て行くのが嫌だと思っているならまだしも、私が知る兄様はそんな性格ではない。



…クロード兄様が出ていくとなればしかねないとは思うが。




「まぁ、ローレンス様はないでしょう。雉撃ちに行かれたようですが、ものの数分で戻られました。」

「他に雉撃ちに行った者は誰なの?」



アレクが上げる名前は4名。もちろん私の親類もいれば相手方の親類もいる。


キャンベル家の当主である父の兄で私達兄弟の叔父グルード様、その息子のアーサー、シーヴァー様のお母様のカミラー様、シーヴァー様の兄弟のディラン様。


全て私が挨拶した人間である。




「雉撃ちだけでなくお花摘みもありましたね」

「何気にしてるのよ。」



雉撃ち、お花摘みだけでなく酔い覚ましなども踏まえて出てるらしく、10分は戻ってこなかったらしい。



「衣装部屋まで場所をしっかり把握していれば10分で走れば往復出来ますからね。ただ、処分する暇はないでしょう。もし衣装部屋からドレスが無くなっていても、どこかに隠しているだけの可能性が高い。」

「…アレク、一つ頼まれてくれないかしら」



少しだけ見出した可能性。

アレクの言葉を信じるとなれば、これで犯人は無事にわかるだろう。




「畏まりました、我が主」



礼節を弁えた彼の態度だが、まるで獲物を見る様な悪い笑みに彼の本質を感じ、私も同じ様に口角が上がる。



***



晩餐会は粛々と行われる。時計の針が一周、二周と周り、そろそろお開きの時間でもある。


アレクからの報告を受け、私はニンマリと品のない笑みを溢した。アレクは嗜めるようにコホンと咳払いをしたが、アレクも大概悪い顔をしていたのでお互い様である。




そう、ドレスは無くなっていた。



でも、無くなっていても問題はない。

既にドレスは手元にある。故にこうして笑っていられると言うものだ。




「さすが、貴方は見つけるのが上手ね」

「お嬢様の助言があったからです。」

「わかりやすい持ち上げ方ね。もう少し私にわからない様にしないと意味ないわよ?目敏いのは厭われる場合もあるわ」




私にはどうしても分からない事があった。犯人の動機や目的は何となくだが把握ができ、色々憶測もついた。大まかな目的としては婚約破棄に尽きる。



ただ、何故このタイミングだったのかと言う事だった。そして、盗んだドレスをどう処分するのかと言う点が疑問だった。



もし婚約破棄としようとするなら、前もって色々やりようはあるだろうし、ドレスが無くなったからと言って必ず婚約破棄となるわけでもない。昔話にあった通りになる可能性が高くなると言う事だ。…私は夢による結果を知ってはいるが犯人は知り得ないことでもある。



まぁ、詳しいことは犯人に聞くのが一番早いと言うことだ。時計の針はもう終焉へと近づいて来ており、私はホールを後にした。





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