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おてんば娘の小さな冒険

作者:Nemesis
子どもたちへ。
そして、子を持つ親たちへ。



うっひっひ、いっぱい釣れた! お母さんびっくりするかなぁ。
春香はバケツを片手に意気揚々と帰路についていた。帰路といっても、家の前の堀から玄関までほんの五メートルくらいだ。
春香、五歳。
当時、件の堀は整備前。土の堀であった。
こっそりくすねた煮干しやスルメ(お父さんのおつまみ)をタコ糸に結わえ、その辺で拾った棒につける。
一時間もしないうちにバケツの中はザリガニでひしめき合っていた。大きくなったらザリガニ漁師になろうかな。
「見てー! 大漁!」
台所に立っていたお母さんは、振り返るなり目をぎょっと見張った。
「あんたそれどうすんの!」
どうしよっかなー。そうだ!
「飼うー!」
両手を振り上げて叫ぶ春香。バケツから跳ねたザリガニが三匹、床に落ちた。

カクヨム、エブリスタ掲載
1
2019/05/10 00:30
2
2019/05/10 00:39
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