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自己朧幻視 ドッペルゲンガー  作者: 桜川 唯冬
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異世界転生

 小鳥の鳴き声が聞こえる。俺は眠たい体をゆっくり起こし、ベッドの感触を確かめる。

 いつもとは違う、上質なシーツの肌触り。見慣れない天井。そこで俺は疑問を抱く。

 「俺、死んでないのか....?」

 そこで部屋のドアが開く。そして、ドアから部屋に入る一つの影に俺は驚きを隠せなかった。

 そこには少女が立っている。その少女は...

 「小深田さん...?」

 小さい声で呟く。彼女には聞こえていないようだが昨日の今日だ、警戒せざるをえないだろう。

 「あ、気づいたんですね。良かった。調子はどうですか?」

 彼女は笑顔で優しく声をかけてくれる。

 「そう警戒しないで。君が庭で倒れてたからベッドまで運んだんだけど、覚えてる?」

 倒れた?運んだ?そもそも俺は首を切ったんだ。生きていたとしても病院にいるはず...なのに何故俺はここにいるのか....。

 「俺って...死んでないのか...?」

 小深田さんは小さく首を傾げ、何か思い付くように手を叩く。

 「君って、外の世界から来たんですね。」

 「は?」

 何を言っているんだ?

 その疑問は彼女の一言で消えた。

 「この世界はね、外の世界。例えば、外の世界で死んだ人がこの世界に来てまた新しい人生を始める。つまりは異世界転生のようなものです。恐らく君は、君の世界で命を落とし、この世界に来たんだと思います。ちなみにこの世界にはダンジョンというものがあり、そのダンジョンで手に入れた秘宝などを集めてお金に換金。というやり方で生きていく人が多いんです。」

 正直、全てを信用することは出来ないが、妙に体が軽い。俺がいた世界とは何か違うから今は彼女を信じよう。だが、まだ知らないことも沢山ある。

 「ありがとう。だいたいわかったよ。えっと、俺は冬川 陸。よろしく。小深田さん。」

 「あれ?愛実自己紹介しましたっけ?」

 「あ~...えっと、俺の世界に君と全く同じ見た目の人がいてね。名前合っててよかったよ。」

 小深田さんは納得するように言う。

 「ふぅん。そうなんですね。異世界転生したからこれから過ごす家もないですよね?だったらここにいてください。あと、もう敬語はいいよね。」

 ん?暮らす?ここで?

 俺は小深田さんの事が好きだ。たとえ前の世界とは違っても、いや。同じなのか...?彼女は俺の世界の小深田さんと見た目も性格も似すぎてる。そんな好きな娘と一つ屋根の上...なんだか気恥ずかしい。

彼女は俺と同じ16歳で身長は150程、胸は膨らみかけで顔つきも幼く、短くきれいな髪。俺は彼女を可愛いとはっきり言える。まぁ。それは置いといて、

 「とにかく、この世界で新しい生活を始めてみるか。」

 

*

 俺は彼女の家にあった長刀を二本貰い、ダンジョンへと一歩一歩足を進める。

 町は昼なのに凄く賑やかで、商店街のようだ。

 小深田さんの話によると、ダンジョンは現在99層まで確認されていて、その99層までがこの世界の攻略者達の限界のようだ。そして、この世界にいる、来た者はなんらかの能力を持っているらしい。能力解放までは時間や労力を伴うらしいが、ダンジョン攻略していればいつか俺の能力も解放されるだろう。

 とはいえ、俺はただの人間。この世界は妖怪や妖精など、様々な生物がいるそうだが、俺のような人間には1層が丁度いいだろう。そして、俺は二本の長刀を腰に掛け、気合いをいれる。

 「さてと、生きるためのお金を稼ぎますか。」

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