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 第2話 【波乱の入学式】 3 


 *****


 「もう一度聞くけどぉ、本当に【性転換(トランスセクシャル】の魔法をかけていいんだねぇ?」

 

 新太が学園長室に来るのはこれが二回目だ。

 一回目は、女子生徒として入学しないかと言われた時。

 そしてそれから数ヶ月。

 入学式まであと少しとなった今日、とうとうこの日を迎えてしまったのだ。


 「はい、決心はできてます」

 「はーん、そうかいそうかいぃ。それじゃ、始めようかぃ」

 

 やはり学園長の喋り方はうざい、と新太は思った。

 しかし学園長は、そんなことは御構い無しにさらに下品な笑みを浮かべて右手を天に突き上げた。


 「属性選択は光。使用するのは、【性転換(トランスセクシャル】!」


 その言葉とともに地に堕ちるいかづちの如く、大いなる光が新たを包み込んだ。

 

 (うっ……まぶしい)


 学園長室はその光が溢れんばかりの状態だ。

 さらに、その光がみるみると新太に吸い込まれていく!


 「はぁはぁ……」


 そうして光が全て吸い込まれ尽くし、そこにいたのは……。


 「茶髪ポニーテール貧乳元気系美女! その名も、【騎士アリス】ちゃんだよぉ!」

 「っておい! 学園長! 俺が言ったみたいになってんじゃんそのセリフ! 変な勘違いを生むからやめてよ!」

 「これは失礼し失礼ぃ。今、ミラーを出したげるから待っててぇ」


 またまた右手から出た光の粒子でミラーを生成する学園長。

 

 「はい、どーぞ」

 「こ、これは……」


 そこに映るのは学園長が言った通りの可愛い女の子だった。

 新太はもしかしたらこれは鏡の向こうに違う人がいるんじゃないのか、と思ってバタバタと体を動かして見せるが、やはり鏡に映る女の子もまた同じ動きをする。

 まぎれもない、【性転換トランスセクシャル】の魔法をかけられた自分が写っているのだと改めて自覚した。


 「どうだい、その【騎士アリス】ちゃんは? 僕の自信作なんだよぉ?」

 「どうだいって、まぁ確かに可愛いですけど」

 「だろぉー?」

 「でも、そのアリスって名前なんですか? 日本人の女の子って設定なんですよね? これじゃクラスでいきなり注目されちゃいますよ!」

 「うーん、そう言われてもなぁー。もうこの名前で生徒戸籍に登録しちゃったし……」

 「はぁぁ!? 早くもお先真っ暗じゃないですか! どーしてくれるんですか俺の学園生活!」

 「いや、『俺の』じゃなくて『私の』な」

 「くそぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 こうして、騎士アリスは誕生したのであった。


 *****


 


 

 

 

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