第2話 【波乱の入学式】 2
「それでは、入学式を始めます」
生徒の拍手と場内アナウンスが残響する。
結局、新太の右隣は空席のままだ。
「えーまず、生徒会長の挨拶です。三年、御門院沙織さん前へどうぞ」
(あれ……御門院先輩って、生徒会長だったのか!?)
『うわぁ綺麗な人……』
『御門院さーん』
『沙織さーん!』
新太の周囲からはそんな生徒の声が目立つ。
御門院沙織の存在は生徒達の憧れ、と言ったところだろうか。
『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。今日は……』
「やべぇ……驚きすぎて内容が頭にこないよ……」
「だよなー。御門院さん、めっちゃ綺麗だし!」
新太の独り言に左隣の男子が反応した。
「うんうんっ! わかる! あんな人が彼女だったら最高だよもう!」
「え……騎士さんってもしかしてレズなのか?」
「ち、違うよ! もしあたしが男子だったらって話だよ!」
「だよな、あはは。びっくりしたよ」
顔を真っ赤にして新太は、またやっちゃったよ、と後悔する。
やはり、女の子を演じていてはどこかでボロがでてしまう。
これからは注意をしなければいけない。
「というか、なんであたしの名前わかったの?」
「そりゃ、椅子に名前が貼ってあるからな」
言われて自分もさっきそれを見たことを思い出す。
そして、右隣の【アイリス・ステファニー】はまだ来る様子はない。
「ちなみに俺の名前は桐生智也。よろしくな!」
「うん、よろしくね!」
「でさ、ちょっと質問していいか?」
「あ、うん。いいよ」
「騎士さんってハーフなの? アリスって名前みて思ったんだけど」
違うよ、と否定して新太は自分のアリスという名前の経緯を思い出す。
思えば先日、学園長に【性転換(トランスセクシャル】の魔法をかけてもらった時の事だった……。