第1話 【性転換】 5
(この人、何を言い出すかと思えば……女生徒としてって……無理に決まってんでしょ!)
新太の脳はもはやパンク寸前だった。
それもそのはず、自分の持つ性別とは異なる性別で入学しないかと言われたのだから。
それも、学園で一番の権力者だと思われる学園長に。
「嫌ですよそんなの。だいたい、もし他の生徒にバレでもしたらどうするんですか?」
当然の如く否定。
しかし、間髪入れずに学園長は続ける。
「へぇ……嫌なのかい。君は、この学園になんとしても入りたいんじゃなかったのかい? それに、バレることはないよ。なぜなら」
「なぜなら?」
ムフフッ、と下品な笑みを浮かべて学園長はその理由を自信たっぷりに話す。
「なぜなら、僕が君に魔法をかけるからさ。それも、【性転換】のねぇ!」
「学園長、あなた狂ってますよ……」
「あははっ。でもまぁ考えてみなよ。女子としての【騎士新太】のスコアはかなり優秀なんだよ? 君の念願の黒影魔導学園に晴れて入学できるんだよ?」
その言葉に、新太の心は揺らぐ。
自分はここに入るために今まで勉強と訓練に励んで来た。
そして、その入学試験で玉砕して。
もう二度と黒影魔導学園に用はないと思っていたときに、このチャンスがやってきた。
ーー女生徒として入学……。
それって、もしかしてアリなんじゃないか?
という思考が、不思議と芽生え始めたのだ!
(このチャンス、俺は……)
「学園長、俺は!」
「ふふっ」
「俺は、女子として黒影魔導学園に入学しますっ!」
「ふふっ! あははっ! ははっははっ!」
こうして、天井を突き破りそうな高らかな笑い声が残響し、騎士新太の女生徒としての入学が決まったのであった。
《俺は性転換して回復魔法で学園無双することにした。 第一話 完》