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勝利への欠片

Twitterでお知らせはしていたのですが、更新が遅くなりました<(_ _)>

いつも読んでくださりありがとうございます。

いたらない点ばかりですが、最後までお付き合いください。

感想、ブクマは黒兎の頑張る力になります。

「事情を把握しました。お話が本当なら、魔人族も、我々やその他の種族のように話が通じるようなので、戦争をするよりも手を結ぶ方が良いでしょう」

 そう話す騎士団長のエリック・ワーカー。彼はついさっき、魔法陣の同時発動により召喚したうちの1人だ。もう一つの魔法陣で召喚した商人のマーブル・ウェイバリーさんは、エリックさんの隣で口を挟まず話を聞いていた。

 俺は、パーティで一番判断力のあるエリックさんからのOKがもらえ一安心した。

「だが、魔王よ。念のためこちらから条件を出しても良いか?」

 エリックがローナに話しかける。

「なんじゃ?ダンジョン踏破の件だけでは足りないかの」

 エリックさんについて俺が知っている限りでは、金や権力を握ろうと考えている人では無い。そんな彼が条件を出すとは思いもしなかった。

「いや、報酬の上乗せについてでは無い」

 エリックから出された条件は彼らしいもので、金や権利などではなかった。

「もしも国を取り戻したとして、その後裏切ることが出来ないように契約を結んで欲しいだけだ」

 その後条件は国を守るためのものだった。

 俺やナーシャから出てくることはなかった、もしも裏切った時についての対策法。エリックはそれについての方法を知っていたようで、その契約というものを行うと、協力関係がより確実なものになるということだった。

「そうですね。念には念をと言いますし、契約を結んで貰えればその内容に基づいてなにか違反をされても、こちらに害は及ぼされませんしね」

「うむ。それで騎士団長の信用を得られるのじゃからの。お安い御用じゃ」

 ローナは了承し、エリックと契約に使う文書の作成を始めた。

「なあ、ナーシャ」

「どうしましたか、ミノル?」

「契約ってお互いの合意に従ってするってやつだろ?紙切れなんか無視して敵対行為をされることはないのか?」

 やっぱり、ファンタジー世界なんだから、紙切れの契約書にも強制力が発生する魔法なんかがあるのだろうか。

「ミノルには契約についての説明をしたことはなかったですね。ちょうどいい機会なので、見ながら説明をしましょうか」

 ナーシャはそう言い、ローナとエリックの横へ行く。俺もついて移動する。ナーシャは、契約についての説明をする旨を2人に伝え、了承を得た。

「それでは説明をさせてもらいますね」

 王女、騎士団長、魔王が講師として教えてくれるなんて、豪華な授業だよな。

「よろしくお願いします」

「それでは、契約についての説明からさせていただきます。契約は本来お互いの合意に基づいて執り行うもので、お互いがお互いに課した内容を破らないようにするためのものです」

「うんうん」

「初期は国が取り締まることによって、契約書のみでも契約は守られていたのです。ですが、商人や貴族間の契約で権力の強い者が一方的に契約を破り、権力の弱い者に圧力かけてうやむやにするなどということが起き始めたのです」

 あー。階級制度があるとそういうこともありえるのか。平和な日本だと考えられないことだな。

「件数が少ないうちはなんとかなっていたのですが、多くなるにつれ対処しきれなくなってしまいました」

「なら、やっぱりこの契約も一方的に破られる可能性があるってことだろ?」

 ナーシャは俺の質問に頷く。

「そこで、実施されるのが魔法による契約です」

「魔法ってなんでもありなんだな」

 俺の言葉に反応したのはナーシャではなく、ローナだった。

「うむ。全てが解明されているわけではないのだが、この世界は魔素とそれを紡ぐ『ワード』で構成されていてのう。魔法はそのワードに介入し、世界の構造そのものを変えているのじゃ」

「そうなのですか?」

 ナーシャがローナに聞く。

「まあ、これは知られていなくて当たり前じゃな。代々続く魔王が何千年と研究し、発見したものじゃし」

「魔王よ。それは確かなのか?」

「嘘を吐いて我に得はあるかの?」

「そんな嘘を吐いても、僕たちの信用を失ったり、無駄に時間がかかったりていう損はあっても、得はないよね」

 契約のことには興味なさそうにして輪から外れていたマーブルさんが、ローナの魔法の原理に関する話には興味があるようで、いつの間にか俺の横に来ていた。

 マーブル・ウェイバリーは一代でかつ若干14歳という若さで王国一の商会を築いた人だ。いわゆる天才というもので、剣術、武術、魔法等戦闘面に関することはもちろん、算術などの勉学も難なくこなしている。そんな彼女が城に務めるというエリートコースを選ばずに商人を始めた理由。それは『知識欲が満たされない』ただそれだけである。彼女を掻き立てるのは力でも権力でも金でもない。この世界にあるすべての知識なのだ。

「ということで魔王さん。話を続けよう!」

 マーブルの興味津々といった姿勢が、年相応に見え可愛く感じた。話していること、話すことはまったく年相応のものではないが。そんなマーブルにぶった切られたエリックさんが唖然としていた姿は面白かったが、本人には言わないでおくことにした。

「う、うむ。魔法は、我等には見ることができないが確かに存在する世界の文字列『ワード』に介入し、それを書き換えるということでさまざまな現象を起こしておるのじゃ」

「僕たちに見えないのになぜ、そんなことがわかるの?」

「魔法を生みだした者たちについては知っておるか?」

 マーブルの質問に、ローナは答えず質問で返す。

「うん、まあ。一般的に言われているのはエルフで、人間はそんなエルフたちが使う魔法を覚え見て、技術を盗み、使えるようになっていったんだよね」

「その通りじゃ。そこで、過去の魔王はどうやってエルフが魔法を生みだすのか方法を探ったのじゃ。探ったといっても、国境沿いで暮らすエルフたちと親密になり、享受してもらったのじゃがな。エルフには何となくじゃが、世界を構成するものを感じ取れるらしくての」

 マーブルのみならず、いつの間にか俺、ナーシャ、エリックまでもが真剣に聞いていた。

「それを弄ったらどうなるのかと、何となく思った一人のエルフが、言葉を紡ぐワードを使い、違う物のワードを弄ったら、規模は小さいが火が起きるという現象――いわゆる魔法と言われる事象が起きたのじゃ」

「それを発見したエルフたちが、後にいろんな魔法を作って今に至るってことなんだ」

「そういうことじゃな」

 初聞きのことにナーシャもエリックも感心していた。

「魔法にはそんな起源があるのですね」

「我々には魔法はすでに、これを唱えればこんな事象が起こるという認識しかありませんでしたからね」

「ナーシャ。もしかすると、私たちにも魔法を作りだすということができるということですか?」

「うーむ……。できないことはないかもしれんが、一つの魔法を作りだすのに何百、何千という年月がかかるじゃろうな」

「そんなにかかるのですか!?」

「そりゃあそうでしょう、王女殿下。エルフが感じているものを感じることができない僕たちには、総当たりという方法しかありませんからね。いくつもの言葉を組み合わせて、完成したワードにするのに幾度となく組み合わせを調べる必要があるんですから」

 ローナに変わってマーブルが答えた。

「まあ、エルフはそんな特性を生かして、声を通じて短時間だけワードに介入する魔法と、ナーシャたちが魔法とひとくくりにしておるが本来は魔術と呼ばれる、文字を通じて長時間または断続的に介入する魔法陣や契約書を作ったのじゃ。世界を構成するワードを完全に知覚することができる者がいたなら、魔法は万能どころか、世界そのものを変えることができるというわけじゃな」

 いつの間にか契約についての授業が、ローナによる魔法、魔術に関する授業に変わっていたが、とりあえずそれは終わったみたいだ。

 マーブルは話が終わった途端、輪から外れ、一人の世界に入っていった。

「私は魔法についてローナが言ったことを知らずに使っていましたけど、ミノルの言うように魔法は何でもできるようですね」

「そうみたいだな」

「私たちの中では、炎の魔法ならその魔法のための言葉を紡げば発動するというのが、魔法の原理だったのですが、ローナのおかげでいろいろと勉強になりました」

 たしかにそうだな。王国で学んだことだけだとこんなことを知ることはなかったからな。ローナの話しを聞いてると、アニメなどであるように、いつかは俺自身も俺だけの魔法を編み出せるのではないかと思えてくる。

「魔法の原理はローナが補足として教えてくださったので、契約の手順だけ説明していきますね」

 ナーシャはそう言い当初の予定通りに、実際の場面を見せてくれながら俺に契約魔術の方法を教えてくれた。

「これで契約は完了じゃな」

 僅か数分で済みそうな作業を、俺に説明をしながらだったため数十分かけて作業を終えた。

「ああ。これで不安なく気兼ねなく協力をさせてもらおう」

「そうですね。改めてよろしくお願いします、ローナ。」

「よろしく頼むのじゃ」

 ローナとエリック、ナーシャは握手を交わし、今後についてのプランについて考え始めた。

今回も新たにキャラを出しました。説明は少なめですが、今後触れていけたらなと思います。

作者の都合で、更新も遅れ、話も遅くなってしまっておりすみません。

次こそは舞台が少し変わり、動き出す予定ですので、飽きずにお付き合いください。

今後もよろしくお願いします。

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