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泣き虫ヤンデレちゃん

「それにしても興味深いですわね。ただの石像にしてはよく出来ていますし。もしかしたら儀式的な意味合いがあるのかも。しかしそれにしては周りにそれっぽいものはありませんし……」

 アリシャが早速石像を調べている。

 リオと俺は見て堪能するだけだが、やはりアリシャの方は調べずにはいられないらしい。

 石像の周りをうろうろしながらああでもないこうでもないとぶつぶつ言っている。

 表情がとても生き生きしているので、きっと楽しんでいるのだろう。

「楽しそうですねぇ、アリシャさん」

「だな。でもあれが生きている龍だったら怖いよなー」

 今にも動き出しそうな見事さだったので、そんなことを言ってみる。

「無理ですよー。古代龍なんてもう随分昔に滅んでしまった種族ですよ。このワールド・エンドでも最後に確認されたのは千二百年前のことらしいですし」

「詳しいなぁ」

「古代龍をも殺せる毒をメディシス家が研究していたことがありますから、その時の資料が残っているんです」

「………………」

 怖い。

 メディシス家怖い……。

 古代龍は最強の生物と言われているのに。

 史上最強、というわけではないが、少なくとも人の手で倒すことは不可能とされていた。

 ワールド・エンドに住まうモンスターにとっては神のような存在だったはずだ。

 しかし古代龍は絶滅してしまった。

 絶滅した理由はワールド・エンドに俺たち人間が立ち入るようになった所為らしい。

 古代龍は大気に満ちる魔法力が長い時間をかけて結晶化したものを核として生まれてくる。

 通常の核石とは比べものにならないぐらい高純度なものらしい。

 しかし人間がワールド・エンドに立ち入るようになってから、この世界で多くの魔法を使い出した。

 すると大気に満ちる魔法力が減衰して、古代龍を生み出すほどの結晶は生まれなくなったということだ。

 寿命を迎えた古代龍は次々と死んでいき、そしてついに絶滅した。

 そう考えれば人間に滅ぼされたと言えなくもないのだが、純粋な戦闘力で劣っている訳では決してない。

 現在、ワールド・エンドの探索は五十七層まで進んでいる。

 人型のモンスターも出てきているし、そこまで行くとかなり強くなってきてもいる。

 下の層に行くほど大気の魔力が濃くなるので、そこに生きるモンスターも強力になっていくのだ。

 しかしそれでも古代龍の戦闘力には遠く及ばない、と言われている。

 つまり過去に滅んでしまった古代龍こそが今のところワールド・エンドで最強の生物なのだ。

 その古代龍を毒殺しようとするとは……

 メディシス家の毒に対する執念って、常軌を逸しているよな……

「こ……怖がらないでくださいよぅ。私は別にそんな恐ろしいこと考えてないですってば……」

「あ、うん。ごめん」

 でもリオの血液なら古代龍にもある程度のダメージを与えられるんじゃないだろうか。

 俺はアストリアの加護で一命を取り留めたけど、他の人間なら間違いなく死んでいただろうし、即死とまではいかなくとも、動きを鈍らせるぐらいなら出来るかもしれない。

 何せメディシス家の最高傑作にして制御不能の失敗作らしいし。

「う~……。やっぱり怖いですか?」

「俺は怖くないけどね。もうリオの血液は無効化できるし」

「………………」

「でもやっぱりリオもメディシス家の人間なんだなーって思う時あるっていうか……」

「へ?」

「だって、時々怖いじゃん。毒を扱ってる時のリオって今のアリシャ並に生き生きしてるよ」

「へうっ!」

「ヴァルにも平然と麻痺毒吹きかけるとか言うし……」

「あう~~っ! その、悪気はないんですっ! つい……その……」

「悪気がなくてそれなのがむしろ怖いというか・・」

「あわわわ……む、昔から毒を扱ってますから、触れただけで相手を殺しちゃう自分の血液は大嫌いですけど、それが調整できる他の毒はちょっと好きというか……ワクワクするというか……」

「………………」

 だからそういうことを喜々として語るところが怖いんだってば……

 本人に悪意がないのが救いだけど、だからこそ怖いというか……

「う~……」

 いきなりぎゅっと袖を握られた。

 リオの方を向くと何故か涙目だった。

「リオ?」

「その……嫌わないでください……悪いところがあったら……頑張って直しますから……」

「え?」

「フェリクス達に嫌われたら、私……」

「………………」

 声が震えている。

 やば……

 本気で傷つけてしまったみたいだ。

「いや、別に嫌ったりしないぞ」

「………………」

「怖いとは思うけど、まあそれも癖のある個性だと思えば面白いし」

「………………」

「俺から友達になろうって言ったんだから、そんなことで嫌ったりしないよ。そこはもう少し信用して欲しいな」

「フェリクス……」

「だから余計な心配はするなよ」

 くしゃくしゃとリオの頭を撫でてやると、ようやく安心したように笑ってくれた。

「ありがとうございます。すごく、嬉しいです」

「そんなに大袈裟にするなよ。友達なんだから」

「はい!」

 うん。

 やっぱりリオは笑ってる方がいい。

 怖いことは確かだけど、でもそれで嫌うことはないと断言できる。

 それに怖いところを見せるのが俺じゃなければ見ている分には面白いし。

 ヴァルあたりなら好きなだけいたぶってくれたまえ……とか酷いことを考えたり。

 ……というかいつまで俺の袖を握っているのだろう。

 そろそろ離して欲しいんだけどなぁ。

 でも傷ついたばっかりで縋ってきている女の子を突き放すっていうのもかなり気が引けるというか……

 やれやれ。

 しばらくこのままにしておくか。

ヤンデレで泣き虫でわんこで……

萌え属性フル装備?

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