3.第一異世界人(に)発見(される)
暗中模索、一寸先は闇な作品読んでいただきありがとうございます。
何つーか、あれだね。
手ぶらで森を抜けるとか、心許ないったらないね。
物陰から熊とか出てきたら、普通一巻の終わりだよね。
いるんかね、実際、熊とか、熊じゃないにしても大型肉食獣の類。
「いたとしても現状エアシールド(夜出してた空気の壁、今名付けた)で防ぐくらいしか手立てなんてないけど」
反射的に魔法使える分本当の手ぶらよりずっとマシだけど、力加減間違えてぶっ飛ばして怒らせたら逆にメンドそうだ。
そんなこと考えながら歩いていたが、視線の先が開けてきた、どうやら特に獣と対峙することなく森を抜けられそうだ。
運良く当たらなかっただけなのか、本当にいないのかは判らずじまいだが、遇わないに越したことはないということにしておこう。
太陽も中天を過ぎる頃合いになってきたが、人里まで後どれ位だろ、夕方くらいには着けるといいけど、その辺精霊達の距離感覚が曖昧でよく分からないんだよな。
「小僧、ここいらは確かに大した奴は出ないが、いくらなんでも丸腰は不用心すぎるぞ」
「!?」
急にほんの数メートル横から声を掛けられ思わず振り向く。
森を抜けるという安心感があったにしても一応周りを気にしていたはずなのに、こんなに側に来るまで気付かなかった。
声を掛けて来たのは剣を佩いた30代と思しき髭面のデカい細マッチョなおっさんだった。
ファンタジーでよくみるようなワンショルダーの革製?の鎧を身に纏っていて、佩いている剣も俺の力では構える事ができるかどうかと思うほどの体格に見あった大剣だ。
(ああ、金属製じゃなく革製だから余り音しなかったのかな?)
初めて出会った異世界人に多少混乱していたのか、言葉が通じるとか、そんな基本的な事より真っ先に思ったのはそんな如何でもいいことだった。
声も出さず、警戒心もあらわに男の風体を上から下まで眺めている俺を、面白そうに同じように上から下まで見つめたあと、男は得心したように頷いた。
「小僧お前落人だろ、しかも見たところ落ちたてホヤホヤ」
「はあ?」
したり顔で一人頷いている男にさも胡散臭いものを見るような目つきで答える。
「その外に出てるのに無防備な装備、見たことのない服(いや普通にチノパンとTシャツの上にシャツ着てるだけですよ!?)極めつけはこっちの子供なら昔話で一度は聞いてるはずの落人って言葉を知らない、完璧に異世界人の要素てんこ盛りだろ」
自信満々『テンプレ異世界人の特徴』を言われてもこっちは知ったこっちゃないんだが、ってかホヤホヤとか言ってんじゃねえ、実際その通りなんだろうが、なんか言い方ムカツク。
「えーっと、こっちではそんなに異世界人はメジャーなんですか?」
ムカツクけど一応初めてあった異世界人だし、どう見ても年上だし、一応敬語で喋ってしまう。
「メジャーって程でも無いんじゃねえか? そこそこデカい町なら一人位はいるかもって程度だし、大抵の奴は溶け込んで暮らしてるから落人だからどうこうって話にもならねえし」
ってことは珍しいけど会おうと思えば会える程度ってこと?
異世界人(落人だっけ?)だと知られたら困る事態も起こらなさそうなのはよかったってことかな。
次回ようやく自己紹介&謎の男も自己紹介




