15.魔法使いによる魔法基礎講座
ガッツリ説明回。
しかもいつもの二倍くらいの文章です。
「いらっしゃい」
店内を素見していると、店の奥からローブを着たいかにも『魔法使いです』ってオーラを出しまくったおじさんがあらわれた。
精霊に纏わり付かれているのはデフォルトで、痩せ気味の頭脳労働派タイプ。
別に服に変なシミも付いていなければ、無精髭が生えている訳でもないので胡散臭さはさほど無い。
石の付いたアクセサリーをジャラジャラ付けていて、TVで見たセレブな夫人も真っ青ってレベルだ。
「ええと、すみません、ちょっとお聞きしたいんですが、僕は最近落ちてきたばかりの落人で、実用化レベルの魔力があるらしいので魔石と魔法について、この世界の魔法に携わっている人間なら誰でも知っている基本中の基本的なことを少し教えて頂けないでしょうか?」
いきなり突拍子もない事は百も承知だが、彼も自分を見れば魔法使いなのは判るだろうし、いざとなればレベル証見せればいいんじゃないかと思う。
「へえ、魔法使いの落人とは珍しい。 で、最近落ちて来たって言ったけど、具体的にいつ?」
「来て10日位です」
「じゃあ本当に落ちたてだね、それでもうこんなに活動できてるなんて素晴らしい順応力だね」
いいえ保護者がスパルタなだけです。とは、心の中で答えておくに留める。
ああ、後は精霊に因る自動翻訳の力も大きいか、これが無いと意思疎通までどれだけかかるかわからないしな。
「僕を拾ってくれた人が用心棒なんですけど、同行するのにレベル証が必要で、レベル調べた時に魔法が実用化レベルだとわかったんですが、如何せんその人は魔法が使えない人だったので」
「だから魔法屋でなら魔法について聞けるかもしれない、ってわけか。 まあ大方間違っちゃいないよ。」
そう言って店の主人は色々(といっても本当に基本的なことだと思うが)教えてくれた。
精霊は7種類、火風水土光闇樹で、普通使うのは火風水土の4種類。
光と闇は制御が難しいらしく、使う人は上級魔法士位らしい。
樹は樹一本一本に宿っているんだけど、魔力あげても成長するだけなので魔法にならないそうだ。
当然力を結晶化する魔石に樹はないそうで、代わりに何の属性もない魔力の塊なだけの魔石があるのでこれも7種類。
抑も魔石にはそれぞれ精霊が好きな色をした宝石に魔力を入れる物と、魔力そのものを結晶化するタイプの2種類あって、結晶化タイプは使うと大きさが縮むので、火種石や水石みたいに残量がわかった方が良いものに使われて、宝石タイプは剣や防具に嵌め込んだりするものに使われる。
宝石タイプは入れる力によって値段が異なるし、結晶化タイプは使い勝手上ある程度大きさが欲しいが、大きいものはその分魔力が込められているので、同じ大きさならほぼ結晶化タイプの方が高い。
火種と水が同じ結晶化タイプなのに安いのは、大きさを確保する為硬度を落としていることと、火種なら一回の使用量が最初から限定してあったり、水は容器一杯まで残量がある間は常に一杯にしておく(外にある間は水が出ない)とかの制限が別にかかっているので、他の魔法に転用できない分安く提供されているのだそうだ。
杖は付いてる石に自分の魔力を込めることで個体識別の役割を担っているそうで、石は大きいものが好まれる(デカイ方が目立つから?)。
魔法詠唱は別に決まりがあるわけではなく、いかに精霊の気を引く言葉が言えるかが重要だそうで、同じく魔法陣や魔法書の類も(併用した方が気が引ける)同様で、独自のやり方を模索するか弟子に付いて教えてもらったりもするらしい。
魔法使いがアクセサリーをジャラジャラ付けてるのは余剰発散魔力が勿体無いので、自動的に魔石化させるために付けている物と、いざ自分の魔力が足らなくなったという時の為に持っている物でそんな見た目になっているのだそうだ。
あと、自分としてはこれが一番の収穫だったんだが、魔石を核にした魔法生物が作れるらしい。
一般的な使い方は鳥を創って文書配達や斥候がメイン、上級になると大きいものが創れるので騎獣や戦闘に参加させるものを創ったり。
人型は難易度が最高位なのでほんの一握りの人が創れる程度らしい。
一握りでも人型の魔法生物とかいるんだな、と思っていたのだが、魔法生物は維持にも結構な魔力がいるらしく、大抵は用事が終われば石に戻してしまうらしい、下手すると結晶化タイプを使って片道分の魔力しか入ってなくて手紙渡した時点で契約終了ということもあるらしい。
とりあえず、魔法についての簡単な講義は終了した。
もちろん詠唱の言葉を教えてもらえたりはしないし、魔法の使い方や魔石の詳しい作り方、魔石の内容制限の仕方等の詳しい話はされなかった。
魔法使いなら杖が無いとと言われたが、先立つ物が無い(なにせ落ちて一週間)と言うとあっさり納得してくれた。
他人の魔力石は効率は悪いが売れないことはないので属性付いてない物でも買い取ってはくれるらしい。
後で早速作ってみようと思う。
制御が難しいせいでこの世界の明かりは未だに火が主流。
でも街にはちゃんと火の魔石使用した街灯があります。
首都の一部のみ光の魔石使用した街灯があって、
光の魔石の街灯見て「都会は違うなあ」って言うのがお約束(笑)
まだ説明不足の感も否めませんが
質問あれば感想に下さい、答えられる範囲で答えます。