13.人とは慣れる生き物です。
検索掛けたら同名の方がいらっしゃったので
作者名に苗字つけました。
多分これでかぶらないハズ。
遅くなってばかりですが、よろしくお願いします。
そんなこんなで一週間が経過しました。
人とは慣れる生き物です。
色んな事に。
細かい時間ではなく鐘の音でおおよその時間を把握して動いたり、
あちこち動き回っても体が悲鳴を上げることがなくなってきたり、
モンスターを殺すのに抵抗が無くなったり。
とは言っても、どんな生き物でもその対象というわけではなく、頭の中に新しいスイッチが一つ出来たみたいに『殺すべき対象』として認識されるっていう感じなんだけど。
そのスイッチが入ると『如何に効率よく殺せるか』のシミュレーションが自動で起こるようになった。
まあ本当は『魔法で口に水の塊叩き込んで溺死』ってのが一番綺麗な殺し方なんだけど、剣で切るより時間がかかるのと、数が多いと時間かかる分一匹一匹に集中していられないので、なんだかんだ剣で戦う比率が多くなっている。
暴力にどんどん違和感を覚えなくなっているのに普段は暴力に訴えようなんて微塵も思わない『ソレはソレ、コレはコレ』の切替が激しい。
例えとして正しいのかわからないが『親馬鹿なヤクザ』ってこんなメンタリティなんだろうか?
なんてどうでもいい事を考えたりもする。
「じゃあ今日はもう一度レベル測ってみるか」
朝食を食べていると、おもむろにジェムが言い出した。
ちなみに肉が食べられないとか言ってられたのは精々二日程度だった。
何せ食べないと力が出ないのだから、食べないわけにはいかなかったのだ。
「まだ初めての測定からたった一週間しか経ってないんだけど」
この一週間のうちに遠慮が無くなってジェム相手の時には敬語で話さなくなっている。
自動翻訳は聞く方だけじゃなく話す方でも細かいニュアンスが補正されるらしく、どんどん敬語じゃなくなる俺に「そっちのが気ィ使わなくて良い」とジェムも言ったので(最初は敬語が標準装備のお坊ちゃんだと思ってたそうだ)今はほとんど素だ。
「一応剣下げてる以上、仕事受けるのに舐められない為にも最低剣で25は欲しいとこなんだよなー、今なら結構剣での戦いも多少慣れてきて、見たとこ25以上は取れそうだからカード更新しておいた方がいいかなって」
「初心者っていうのの最低レベルが20とかだっけ?確かに多少は慣れてきたと思うけど、魔法補正が入ってるから剣だけだとどれくらいかわからないよ。 ジェムは相変わらず人外じみた動きで全然比較対象にならいし」
というか多分未だに魔法無しならレベル20にも到達してないんじゃないかと思う。
剣の切れ味と防御力の魔法補正は他の魔法使いに施して貰う手段もあるらしいからまあ置いておくとしても、身体の動きの方の補正はこれがないと今戦っている奴には多分手も足も出ない。
「何言ってるんだ?レベル測定の時武器の攻撃力と身体能力の魔法補正はしてもいいんだぞ。駄目なのは魔力のみでの攻撃とか剣自体が燃えてたりする特殊な魔法剣の類だな」
「だから聞いてないってば、まあ、今聞けて良かったよ、どうせ前の測定の時には身体能力補正なんてまだ使えなかったんだし」
そう言って測定した結果レベルは28になっていた。