11.戦闘って甘くない
よろしくお願いします。
スライム倒すのは確かに初心者向きだったのだろう。
一突きで殺すことは早々に諦めて、まず適当に半分に切る、核が残った方を更にもう半分。
そこまですれば後は何度か突いてるうちに核に当たって倒せるって具合だ。
最初の頃はそれこそ10回近く突かないと倒せず、もう半分にすべきかと思うほどだったけど、何匹も倒すうち、突く回数が2、3回で倒せるようになってきた。
魔法での補正にも慣れ、切らずに数回突くだけで倒せるようになった頃(多分30以上は倒したと思う)
「まあスライムはこんなもんだろ、今日はこの位にしておくか」
と、おもむろにジェムが言った。
間に多少の休憩は挟み、魔法の補正もあったとはいえ、鉄の剣を振り回しているのだから疲労も大分溜まってきている。
もしジェムが言い出さなかったらもう後2、3匹も倒したところで自分から言い出していただろう。
その辺りのことも分かった上で言っているのだろうか?口調は軽くてもレベルは高いわけだし、あり得ない話ではないか。
その日は昨日と同じ宿で泊まった。
食事はおすすめだった何かの肉の煮込み。
美味しかった、牛に近い味と食感だったので、自分の中では牛肉(仮)ということにしておく。
ここは味覚が自分に近いのかまだそれ程おかしい食事に当たったことはない(と言ってもまだ二日だが)
無闇に香辛料がきついとか、薄い塩味のみなんてものだったら早々に音を上げていただろう。
今の所米っぽいものは見ていないが、パンっぽいものと穀物を煮た雑炊っぽいものなら見かけた。
今後米が懐かしくなったりするのだろうか?
「この街はなー、海ともデカイ川とも離れてるから、肉と芋がメインだし、調理も慣れてるからか、そっちのがウマイの多いんだよなー。 別に冷やして持って来れない訳じゃないんだけど、地の料理食べた方がこの街に来たって感じもするし」
ジェムが食べているのは同じ牛肉(仮)の焼いたもの、こういった食への拘りを見る限り、見かけによらずジェムは食い道楽のようだ。
自分もその恩恵に預かっているので何の文句もないのだが、値段の問題ではないにしろ、食事の美味しい店を選んでいるとするなら今後の食生活も期待出来るかもしれない。
食事の後は宿の部屋で文字を教えて貰った。
と言ってもまずは数字だけ、同じ十進法だったのですぐ覚えられそうだ。
その後通貨の金貨銀貨大銀貨などの字を教えて貰った。
買い物や依頼の報酬を見るのに真っ先に要りそうな知識だったのでそこからにして貰ったが、通貨は日本で円を¥と書いたりするような通貨限定の書き方があるらしく記号っぽいものだった。
ちなみにこっちの世界の文字はアルファベットっぽい筆記体ではないのが普通のようだ。
文字自体は覚えられたとしても単語とか覚えるのには時間がかかりそうだ。
次の日、筋肉痛で腕が一切上がらなかった。
魔力補正で動きを補正してた分普通だったらもっと早く音を上げていただろうに、それ以上の動きをしたのだから無理もない話ではあったのだろうが、初めての事だったのでそこまで全く思い至らなかった。
ジェムに言ったら一頻り大笑いされた挙句、魔力を意図的に循環させることで回復力が向上することを教えてもらった。
この世界では回復魔法は存在しないらしく、代わりに魔力の循環で自己治癒力をそれこそ回復魔法並に上げることが出来るらしい、その分食事で賄わなくてはいけないらしいが。
ちなみに、そのせいかこちらの魔法使いは老化が遅く寿命も長いらしい。
運動不足の現代人、半日鉄の棒振り回してたらそうなると思います。
腕以外はここ数日歩いてばかりで多少慣れてきたっていうのと、魔法を使う=体内の魔力を動かす=魔力を循環させてるってことで知らずに回復させてたけど、スライム倒すのには魔法使わなかったので直接ダメージがきたんです。