9.紙装甲だけど紙装甲じゃない
一日遅れました。
うん、聞き間違いじゃなきゃ今レベル61って言ったよね?
はっきり言って剣の方が何倍も頑張ったんだけど。
って言うかこれ本気出したら今の5倍くらいは余裕で力出せる自信あるんだけど、そこんとこどうなのコレ?
「おお、やっぱり魔法は結構数字出たな。 一応上級者クラスだぞ、すごいすごい」
「レベル61で上級者ならジェムはなんなんですか? 人外レベルですか?」
イヤミを込めて言ってみる、上級者よりレベル40近く上ってどんだけだよ。
「はっはっは、人間じゃないとかはよく言われるぞ。お陰で仕事も引っ張りだこだ」
イヤミで言ったのに肯定された。ってか、やっぱり100クラスは人外レベルなんじゃないか。
「それはそうと、さっさとレベル証発行してもらってここ出ようぜ、あんまり長居しても迷惑だろうしな」
そう言って受付まで戻るとあっという間にレベル証が発行された。
名前と職業とレベルが書かれているだけの簡単なものだが、小さい魔石が埋め込まれて、これで偽造防止をしているらしい。
「こちらの魔石は効力が半年ほどですので、半年間レベルを測らなかったり、依頼を受けなかったり等レベル屋を利用しないでいるとレベル証が失効してしまいますのでご注意ください。 初回のレベル証の代金は銀貨5枚。 レベルの測定は攻撃、魔法それぞれ1回銀貨1枚、初回は測定も金額に含まれています。 再発行の際は失効したレベル証をお持ちの場合は銀貨8枚、お持ちでない場合は大銀貨1枚です」
渡されたレベル証はカードサイズで腰につけたポーチの方に入れる。
お金はジェムが立て替えて払ってくれた、ジェムのレベル測定と合わせて銀貨6枚也。
そして、早速なにかしらの依頼を受けるのかと思ったのだが、とりあえず町の外に出るらしい。
「どうせだから実験、実験」
となんかやけに楽しそうなのが逆に心配だ。
町から多少(20分くらいか?)離れた街道からも少し入った平原で、とりあえず最初の実験をするらしい。
「まずお前は風の精霊と相性がいいみたいだから風が動かないようにできるか?」
自動翻訳が風の精霊の仕業なので風の精霊と相性がいいということにジェムの中ではなっているようだ。
実際別にどの精霊がってのはまだ感じたことないんだけど。
ま、いいや、とりあえず風の精霊ね、昨日使ってたエアーウォールでいいんだよな。
「どれくらいの強さにします?」
「今はそんなに強くなくていいそ、できるかどうかの実験だ」
そう言われたので本当に動かないだけにしてみる。
その分5m四方厚さ30cm程度でいってみよう。
「出来ましたよ、強度はそんなでもない筈です」
「無詠唱か、ほんとに相性いいんだな。 じゃ、1回切ってみるから」
「え?」
何もないように見えるところへ向かってジェムが剣を振るうと、あっという間に壁は切られてしまった。
見えないけど『見える』、多分精霊が見えるのと同じような原理なんだろうけど。
って、5mある壁を全然長さ足りない剣一本で真っ二つってやっぱり人間じゃないな。
一緒に地面もえぐれてるし、切った手応えもあったろうからジェムも切れたのが判っただろう。
「意外と軽かったな、これの密度濃く出来るか?」
まだ実験は続くらしい。
悔しいのでさっきの10倍の密度にしてみた、厚さも同じく30cm。
いつもの魔法よりちょっと魔力多目だけど、さっきのレベル屋の半分程度かな?
「密度増やしてみたよ」
「残り魔力はまだありそうか?」
「今の所まだ余裕あるかな」
「そうか」
そう言ってもう一度壁を切る。
今度は結構えぐれたけど(15cmくらいか?)切れはしなかった。
「まあまあかな、無詠唱だし、この程度の強度があれば殆ど大丈夫だろ。 あとでもうちょっと使い方慣れておけよ」
簡単に言うとエアウォールで敵の攻撃を防げるなら重い装備はいらないってことらしい。
ついでに慣れてくると壁じゃなくエアアーマーとも呼べそうな薄くて密度の濃い空気を身に纏うことも可能らしい。
普通そういうのの問題点は使いすぎて魔力が尽きたら紙装甲剥き出しになってしまうことだそうだが、
多分俺なら大丈夫だと思う。
寝てる間中壁作っててもなんともなかったし。
装備買わなかったのはそれも理由だったらしい。
装備のお金分ジェムに負担掛けなかったので良しとしておこう。
簡単に
レベル 1~20 素人
レベル21~30 初心者
レベル31~40 一人前
レベル41~60 中堅
レベル61~80 上級者
レベル81~100 超上級者
レベル100以上 人外認定
ジェムは今回鈍刀だったので100切ってますが
良い刀だと113まで出したことあります。
透は今後も全力はレベル屋では出しませんが、
一応レベル160相当で人外飛び越えてる設定です。