8.レベル測定しましょう
なんか書いてくうちにいつもの倍くらいの長さです。
そんなこんなでやって来ましたレベル屋。
うん、やっぱり見たところ普通のゲームとかファンタジーで言う所の冒険者ギルドとほとんど変わらないね。
「おーい、新規受付頼む、落ちたてホヤホヤの落人1人だ」
ジェムが受付の人に声を掛ける。
「あら、落人なんて珍しい、じゃあまずお名前から伺いましょうか、字は書けますか?代筆も承りますが」
受付の人は20代前半くらいのお姉さん。
多分だけど魔法使いかな、肩に精霊しがみついてるし(ちなみに俺にも最初に会った水の子と風の子が頭にしがみついてます)にこやかなお姉さんと対照的に真顔でガン見してくる、ちょっと怖い。
「よろしくお願いします。 まだ字を覚えていないので代筆お願いします」
とりあえず精霊はスルーして受付をする。
「はい、ミズノ=トール様、16歳ですね。 ではレベルの測定を行いますので、測定室へご案内します」
「おお、ついでに久々に俺も測っておくか、測定方法は見たほうがトールにもわかりやすいだろ」
そう言って連れてこられたのは部屋の真ん中に木偶が一体あるだけのがらんとした部屋だった。
ジェムは剣を片手に何の気負いもない飄々とした顔で木偶から3mほどの位置に立つ。
「それではライナス=ジェナン様、いつでもどうぞ」
受付のお姉さんが言ったと同時にジェムが動いたと思ったか思わないかの内に、先程立っていた位置から木偶から延長線上2mほどの場所に背を向けて立っていた。
瞬間移動でもしたのかと思うような速さだが、木偶の両腕と首が切り飛ばされ胴体が縦に真っ二つになっ
ている。
「ライナス様、レベル98です」
何事もなかったかのように淡々とレベルを告げるお姉さん。
でも多分レベル98って尋常じゃないと思うんだけど、それともこの世界ではこんな人外な動きをする人がわんさかいるのだろうか?
「まあ今日は武器も安モンだし、こんなもんだろ。 わかったか?」
「ジェムが凄いことはなんとなくわかったけど、測定法はよくわからないままですよ、まあとりあえずその木の人形を切ればいいんだなということはわかりましたけど」
「まあ最初だし、そんな認識でかまわんよ。一応人体の急所あたりを狙うのがポイントだ」
確かに首が飛んで胴体真っ二つで生きている人はいないだろうけど……。
そんなことを話している間に木偶が新しいものに換わる。
「ミズノ=トール様いつでもどうぞ」
受付のお姉さんから声が掛かる。
剣を抜くのも慣れていないので抜き身にして木偶に近づく。
「たあっ!」
急所は良くわからないのでとりあえず袈裟懸けに木偶を切ることにする。
しかしやはり力が足りないせいか浅くしか刃が入らない。
「はあっ!」
一旦木偶から身を引き、喉を狙って突いてみる。
思いの外うまくいき、切っ先は正確に喉を突いた。
しかし食い込んで足で木偶を力いっぱい蹴らないと剣が抜けなかった。
「ミズノ様、レベル11です」
うん、わかんないけど多分素人の数字だと思う、そしてお姉さんジェムの時と同じくらい淡々としてますね。
「トールお前思ったよりやるじゃねえか、今初めて剣握って2桁なら御の字だ。 まあレベル20が初心者脱出の目安だけどな」
うん、持ち上げた瞬間落としたね。
それにしてもレベル20か、この道程が遠いのか近いのかまだ全然判断できない。
「それでは魔法レベルの測定所へご案内します」
そう言うお姉さんについていくと一本の2m程の樹がある部屋へ通される。
「ところで、ミズノ様は魔法は使ったことがありますか?」
この部屋通されて今更な質問だとは思いつつ答える。
「ええ、まあ、一応」
この測定法は魔法レベルが10以上ないと意味がないらしい、先言ってよ。
ちなみにレベル0は魔石も使えない、レベル5までは魔石は使えるけど魔法は使えない、レベル10までは精霊に魔力をあげるプロセスまではいくけど力が足りず発動はせず(意味無いじゃんあげ損じゃん)、レベル20までは火種やコップ一杯の水程度、レベル10までは実体化してない精霊は見えないし(え?じゃあ10前の発動しない魔法は見えない相手にタダであげてるわけ?)、剣と同じく20から一人前らしい。
ちなみにライナスはレベル8だそうだ。
で、レベル10以上からの測定法が樹の精霊に魔力あげることによる成長度合いでみるらしい。
1回に全魔力ってのは普通できないそうなので(凄く少ない人は別らしいけど)魔力枯渇はあまり無いらしい。
魔力なくなってもその瞬間は魔石すら使えないということはあっても自然に回復するらしいし、そのせいで倒れたりすることもないそうだ。
よくある魔力=精神力で使いすぎると人事不省とかではないのだな。
しかし、これまで余剰発散魔力に毛の生えた程度しか上げたことが無いので、1回にあげる魔力と言われても、イマイチピンとこない。
樹の前に行って指先に魔力を集中させてみると透明なピンポン玉くらいの大きさの玉が出来てきた。
樹の精霊もご馳走前にした子供みたいなキラキラした目でこっちをみてるのでなんとなく期待に応えたくなってきた。
なんかご馳走期待してる子にあげるには純度がイマイチな気がしてきて圧縮して親指の爪くらいの大きさにするとさっきよりもピカピカして綺麗な玉になった。
樹の精霊ももう待ちきれないって顔だ。
まだ力は余力ってくらいしか込めてないけど普段の魔法からしてもレベル20以下にはならないだろうし、こんな子待たせるのも悪いからまあいいや。
そう思って樹の精霊に魔力玉をあげると、一気に5m近くの高さに成長した。
「ミズノ様、レベル61です」
…………え?
魔法チートをちょっと自覚