プロローグ
作者がリアル中二の頃に考えた設定で書いてます。
初投稿です。お手柔らかにお願いします。
落とし穴って落ちたことある?
いや俺もなかったけど、
側溝にはまったとか、階段から足を踏み外したとかでもいいんだけど。
なにが言いたいかというと、
当然地面があると思ったところに、地面が無くて落っこちた。
そうなったときの人間って結構間が抜けてると思う。
「えっ?」
とかしか言えないんだよね。
他に言えたとしても「うおっ」とか
女だったら「きゃあ」程度か。
当然心の中は
「何で?」とか「どういうこと?」
とか思ってるんだけど、言葉にはならない。
ちなみに
「わーっ!!」
とかいうのも落ちたって気付いてから落下中に
ようやく言えるぐらいで
落ちた瞬間に言えたのは
「えっ?」
だけだった。
多分誰もおれが落っこちたなんて気付かなかっただろう。
周りに人がいなくて、あまり大騒ぎしなけりゃそんなもんだ。
それくらい簡単に、あっけなく、
俺はこの『世界』から落っこちた。
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『起キテ』
『起キテ』
誰かの声が聞こえる。
誰だ?俺に話しかけてるのか?
とりあえず両親じゃないのは声から確実だ。というか、複数の人が同時に囁いてくるような不思議な声に違和感を覚える。
少しずつ意識が浮上してくるに連れて、吹き抜ける風の音、緑の匂い、体の下の草の冷たい感触などが鮮明になってくる。
(あれ?俺どっかの公園で寝ちゃった?)
寝惚けた思考のままそんなことを思うが、近所に芝生のある公園があるかどうか自体、ぱっと思い浮かばない上、そもそも地面にそのまま横たわるという経験をしたことがないことに気付く。
これまでの寝ぼけた思考を追いやるような焦燥に駆られて、まだ半分以上眠っている体をたたき起こす気持ちで目を開くと、視界に広がる見事な青空を見るに、やはり勘違い等ではなく外で眠ってしまっていたらしい。
急いで体を起こすと、寝ていたのは芝生なんかではなくもっと丈の長い草の上で、しかも一面草原になっている。
ぐるりと見渡せば、視界の端にこんもりと(森か林か判らないが)木が密集しているのが見える。
「いや、そんな事よりも」
自分のいたはずの場所からかけ離れた場所にいるのだから、本来ならそこを一番に驚きたい所だが、今眼前にある状況はそれを後回しにして余りある。
『起キタ』
『ダイジョウブ?』
声をかけてくる色も大きさも様々な妖精達の存在に目を奪われていた。