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神々に見守られし男  作者: 宇井東吾
一章「箱庭にて」
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行き過ぎた科学の末路

 入院中に携帯で書いたものです。そのため誤字脱字が多いかと思われます。

 西暦30××年。科学技術が果てしなく発展した世界に、五人の天才がいた。

 出身国も性別も年齢も違うその五人はしかし、まるで引かれ合うように一同に集まっては意気投合し、時には知恵を貸し合い、時には互いに競い合い、己を切磋琢磨していった。

 この五人が集まったことによって、科学技術は千年は進んだと言われており、しかし本人たちは留まることを知らず、ひたすら未知を探求し続けていった。

 全てはただ、自分達の探究心を満たしたいがためだけに。

 

 そして五人が一同に集まってからちょうど八年後のその日、ついにをの瞬間は訪れた。

 彼らは神が実在しないことを、科学的に証明して見せたのだ。


 そして訪れたのが、世界中を巻き込んだ宗教戦争―――否、世界全面戦争の幕開けである。


 最初は宗教家の無差別テロから始まり、徐々に内紛、そして国家間の戦争へと発展していったそれは、瞬く間に世界中に飛び火し、血で血を洗う、最新式の兵器が無数に飛び交う戦争へと肥大していった。


 核兵器すら過去の遺物とするような圧倒的破壊力を誇る兵器が飛び交う戦場は、地球上に存在する生命体を激減させ、地上を生命の生きられぬ猛毒で汚染させ、最早地球の命運は尽きたかのように思われた。

 しかしその段階になって、直接の原因となった五人が、一つの解決策を見つけ出した。


 即ち、自分たちが神になって、全部をリセットしようと。


 元々は神の不在を証明してしまった責任をとって人工的に神を創造しようと思って始まった研究だったが、すでにその時には地上はどうしようもないほどに汚染されており、それを見た彼らは悟ったのである。

 これが、行きすぎた科学がもたらす結末なのだと。


 自分たちは所詮切っ掛けに過ぎない。

 仮に自分たちが神の不在を証明しなかったとしても、遠くない未来にこうなっていたのだと。


 その事に気づいた五人は、人工的に神を創造する研究から自らを神に昇華する研究へとシフトし、そしてその研究を完成させた。


 全ては、新しく世界を創造し直す為に。

 愚かな人間とその産物を全て消し去る為に。

 科学など存在しない世界を造る為に。

 剣と魔法のファンタジーの世界を現実のものとする為に。


 そんな具合に、今の世界にすっかり愛想を尽かした五人だったが、ただ一つだけ、心残りがあった。

 それが、五人の中でも最年少の天才である青年、天神蛍あまがみけいの弟である、天神秀哉あまがみしゅうやの存在である。


 希代の天才である天神蛍の弟として一心の期待を一方的に背負わされた反面、兄には到底及ばない凡人に過ぎなかった少年に対する世間の風当たりは、並大抵のものではなかった。

 しかし当の本人は、そんな事を苦に思ったことはなく、研究に没頭して私生活を疎かにしがちな自分の兄を、五人が集まってからはその全員を相手に、甲斐甲斐しく世話を焼くような、絵に描いたような良い子だった。

 その良い子っぷりたるや、悪く言えば奇人変人の集まりである五人をもってして「こんな良い子が現実にいるわけがない!」とまで言わしめるほどだった。


 そんな八年間の苦楽を共にした仲間と同じくらいに大切な存在である少年に、彼らはある種の申し訳なさを感じていた。

 散々自分たちの我が儘に振り回されてきたこの少年を、最後まで自分たちのやる事に付き合わせて良いものなのかと。


 そしてその思いは、少年の「自分の事は構わず、正しいと思ったことをやってくれ」という言葉を聞いたときにピークに達し、彼らに一つの決断をさせた。

 この子には、自分たちが造る世界を見せようと。


 そう決定してからの行動は早かった。

 秀哉を科学的に不老にし、科学的に作り出した亜空間に閉じ込め、さらに今後自分たちが造る世界の先駆者としてステータスを数値化させ、スキルを与え、魔物と戦わせ、技術を向上させ―――段々後半に至るにつれてベータテスターの色合いが強くなっていったが、ともかく、五人なりの愛情を持って秀哉に接していき、そしてあっさりと、二億年の月日がたった。                  

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