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第十八話 涙
ぽたっ、と水音が聞えた気がした。じっと庭石に座ったまま地面を見つめる自分の視界に、小さな丸い跡になって土に染みていく涙が映る。
「泣いているの?」
どうしてだろう。どうして自分は泣いているのだろう。
「悲しいの? 寂しいの?」
それは誰のための言葉だろう。
すっと身動く音がして、水城が明治の頭を抱えるように抱きしめた。
「泣きたいくらいに、切ないの…?」
(…それは俺じゃないよ、先生…)
それは貴方のための言葉なのだと、これは貴方の涙なのだと、
明治は理解し、静かに自分のものでない涙を流し続けた。
そして、優しく自分の頭を撫でる水城の手は、悲しいくらいに冷たかった…。
今回はすごく短いです。