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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

狂い咲きのミモザ

狂い咲きのミモザ

掲載日:2026/04/18

 初めてあの人を見た時運命だなって思った。あの人は明るく笑ってて輝いて見えた。

 レイチェルと名乗って「見てて楽しそうだなって思いました」って近づけば、簡単に仲良くなれた。あとは、合問合間に小説で覚えた安っぽい言葉をささやいたら「あなたといっしょならどこへ行っても楽しそう」「頼りにしてる」そんな言葉。

 ふとした時に悩みなど打ち明けて、ありがとうなどと言って微笑めば簡単だった。あの人を裏切った時の顔は、私が裏切っていたことを知らせた時の顔は、忘れられない。今でも心に残っている。

 そんな時、あの子と出会った。あの子は栗色の髪に栗色の瞳で屈託なく笑っていて、守らきゃって思えた。

 「レイシア様、レイシアお姉様、お庭にミモザのお花が咲いたらしいです。」

「お姉様、今日は天気がいいですし、一緒にお庭でご飯食べましょう。」

あの子と過ごした時間も特別だった。でも、あの子も裏切り者だった。それを知った時の気持ちも忘れられない。

 あの人もこんな気持ちだったのかな。でも、今回は私の方があの子より上手だった。

 「レ、レイお姉様、お姉様は私を、信じて、くれますよね。」「もちろんよ。クリスティ。絶対に助けてあげるから。」

 最後まであの子の味方のふりをして、最後の最後で裏切った。

 「お姉様、お姉様なら助けてくださいますよね。「ごめんなさい、クリスティ。助けられないわ。」そう言ってあの子の手を振り払った。「あなたのことは助けられないわ。だって私、あなたのしたこと知ってますもの。」そう言った時のクリスティの顔は今も心に残っている。「お姉様、お姉様っ」そう言ってクリスティが流した涙は真珠色をしていて、こんな時でもクリスティは、綺麗に見えた。可愛かった。美しかった。

 もう誰も信じられない、ううん、誰も信じない、そう思っていたはずなのに、どうしてあんな行動を取ってしまったのでしょう。

 しばらくぶりに出席した王宮の夜会で婚約破棄されている令嬢を見たんだ。翡翠の瞳に星を閉じこめたような髪を持つ美しい令嬢だった。

「レティシア・シルビィス伯爵令嬢、貴様との婚約を破棄する。」「貴様のように性根がいやしい女ははいつくばっているのがお似合いだ。私はこの可憐なミモザと婚約する」「はい、受けたまわりましたわ。」今までのすべてを不意にされ、裏切られて、それでも耐える令嬢が私と重なって見えたから

「それならばレティシア嬢、 ミネルビア魔法学院に入りませんか?」と声をかけた。会場がざわめく。「隣国の王族の..」「妾の...」会場なんか気にせずにレティシア嬢を見つめる。「は、はい」「で、でもお父様が…」「それならば、さらってみせましょう」そう言ってレティシア嬢を空の旅につれ出した。

「彼女を救えば.. 私の罪も少しは軽くなるのでしょうか。そんな打算が胸にある。」

 ミネルビア魔法学院は私がお父様から与えられたものだ。

 私は妾の子だった…第八王女…卑しい妾が残した子..それが私だった。幼い頃は不思議だった、悲しかった。さびしかった。お父様に愛されたいと願ってしまった..

 ーどうやら私には魔法の才能があったらしい。

お父様に認られたかった私は必死にがんばった。

魔法を使っている時だけはお父様が私を見てくれたから。

 そしてお父様から与えられたのがミネルビア魔法学校だった。

 魔法学院に連れていって分かったことだが、レティシア嬢にも魔法の才能があった。二人で魔術の話をし、休日には出かける。そんな平穏な日々がすぎる。レティシアと過ごす時間は私には眩しすぎた。2人で微笑み合うたびに、私の手の泥汚れが彼女の白いドレスを汚していくようで..指が強張る。けれど2人で微笑み合う時間はまるで宝物のようだった。幸せは誰かから奪い取った作り物にすぎない。そんなこと、忘れてしまっていた。

休日、二人でピクニックをしている時のことだった..あの男が現れるまでは...

「レイチェル、やっと見つけた。」その声が聞こえた瞬間、心の一部が「ああ、ようやくか」と囁いた。逃げ切れるはずがなかった。私の過去は消えない。「レティだけは..」レティシアを突き飛ばし逃げる。

「レイチェルはやっぱり俺から逃げるんだね。」「なんで、なんで、レイチェルは俺から逃げるの?」逃げる。「なあ、俺の何が不満なんだ?「レイチェル、レイチェル・・・」奇妙ななつかしさを感じる。「これでもう逃げられないよな」「レイチェルはいつも俺から逃げるよね。」「もう逃がさないよ、一緒に..ずっと一緒にいよう。」男が近づいてくる。いつの間にかもう夜だ。月明りを浴び狂気的にほほえむ男を見ているたら、足がふらつく。足元が崩れる。空中に投げだされながら思い浮かぶのはレティのことだけだった。レティごめんね。

 そう思うと急に気が楽になる。「レイチェル、そこまでして俺から逃げるの。」遠くであの人が何か言っていた。それを聞きながら不思議と穏やかな気持ちで目を閉じる。


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