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プロローグ
『全知全能』
人生で一回は聞いたことのある言葉だろう。
『なんでもできて、どんなことでも知っている』
そんな存在を指す言葉だ。
神様だとか、そんな存在ですら全知全能であるほうが少ない。
といっても、神様が本当にいるかなんて、誰にも確かめることはできないが。
ここで一つ、有名な話を挙げよう。
『全能のパラドックス』というものだ。
全能者は持ち上げられない石を作れるか?
誰にも、つまりは全能者自身も持ち上げられない石ということ。
だが、全能者は全能、つまりはその石を持ち上げられるはず。
ただ、そうなると全能者は、誰にも持ち上げられない石を作るのに失敗したことになる。
俺はこの話を知っていた。
全能者なんてこの世にいないと思っていた。
あながち間違いじゃなかったのかもしれないが……ちょっと予想外なことが起きたんだ。
全てを知らない代わりに、どんなこともできる存在がいたとしたら。
そんな面白い存在に……俺は出会ったんだ。
それはそう、たった数日前、あの路地からすべてが始まったんだ。




