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世界最強の極悪貴族は、謙虚堅実に努力する~原作知識と固有魔法<虚空>を駆使して、破滅エンドを回避します~  作者: 月島 秀一
第二章

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第二十三話:先々代勇者ラウル・フォルティス

 ボクが<虚空渡り>を使い、『勇者の隠れ家』へ飛ぶとそこには――『先々代勇者』の姿があった。


「……やはり生きていたのか、ラウル・フォルティス……(メインルート開始時点で、99.999%故人となっている『超激レアキャラ』。くそ、やはり『地獄モード』は確定か……ッ)」


「あやつは、まさか……!?(漆黒のローブを纏った謎の仮面。そして何より、この異常なまでの『圧』は……っ)」


 ラウルは驚愕に瞳を揺らした後、真剣な表情を浮かべる。


「さては、お主が『ボイド』じゃな?(ゼノの転生体か否か、まずはそれを確認せねばなるまい)」


「いかにも」


「ほぅ、隠しもせぬとは……中々に豪気(ごうき)な男じゃ、のぅッ!」


 彼は地面を力強く蹴り、天高く飛び上がった。

 いったいどこに隠し持っていたのか、その左手には鋭利な短刀が握られている。


「ズェイッ!」


 ラウルは逆手に持った得物を振るい、美しい弧を描いた。

 その一振りには、勇者の魔力が付与されている。


(うん、この程度なら問題ないね。ちょっと試しに受けてみよう)


 鋭い斬撃がボクの体を捉えた瞬間、『キィン』という甲高い音が響く。


(なるほど……やっぱり<虚空憑依>じゃ消し切れないか。これが『勇者の魔力』、なんとも不思議な感覚だ)


(これは……<虚空憑依>!? 間違いない、こやつがゼノの転生体じゃ!)


 お互いに情報を交換し合ったところで――ラウルは空中で体を捻り、軽やかに地面へ着地する。


「くくくっ……よくぞ来たな、ゼノの転生体、呪われた虚空因子よ! 貴様の滅びこそ、我が一族の悲願! 必ずやここで殺してくれるッ!」


 彼の瞳には、怨讐(おんしゅう)の炎が宿っていた。


「その()(たい)で、何ができると?」


「確かに、この体は既にボロボロ。『平場(ひらば)』で戦わば、あっという間に殺されるじゃろう。だがしかし! ここ(・・)は『勇者の聖地』っ! 水・土・大気、この場における全てが、我が一族『千年の歴史』が――儂に大いなる力を与え、貴様へ牙を()く!」


 ラウルはそう言って、バッと両手を広げた。


(勇者の聖地……ちょっと厄介だね。実際、虚空の出力が目に見えて落ちてるし)


 この場には聖なる気が、勇者の魔力が満ちていた。

 虚空界にいるボクが圧倒的な力を誇るのと同様、勇者の聖地にいるラウルもまた絶大な力を誇る、というわけだ。


(敵は大幅な強化(バフ)を受ける一方で、ボクには強烈な弱体化(デバフ)が掛かる……)


 この場における『地の利』は、間違いなく向こうが握っている。


(本来なら、すぐに撤退するところだけど……ボクがラウルに負けることは、絶対にあり得ない)


 これは油断でも慢心でも、怠惰傲慢な振る舞いでもない。

 極めて客観的で中立的で俯瞰(ふかん)的な『戦力分析』の結果。


(人間が強化された羽虫に負けないよう、ボクはバフを受けたラウルに負けない)


 二人の間には、天よりも高く海よりも深い『大差』があるのだ。


 ボクがそんなことを考えていると、ラウルは再び天高く跳び上がり、


「クァアアアアアアアア……!」


 けたたましい雄叫びをあげながら、息も付かせぬ苛烈(かれつ)な連撃を繰り出した。


 ボクはそれを右手一本で軽く(さば)きながら、質問を投げる。


「ラウル、お前に聞きたいことがある(接近戦は短刀と体術のブレンド、アレンとまったく同じ、『勇者の基本スタイル』か)」


「聞くだけならタダじゃ、言ってみるがよい!(こやつ、儂の攻撃を右腕一本で……っ)」


「お前の孫――アレン・フォルティスに修業を付けたか?」


「はっ! この一週間、みっちりしごいてやったところじゃよッ!」


「……そうか」


 既に予想していた返答(こたえ)だけど……いざそれを聞かされると、やっぱりちょっと嫌な気持ちになるね。


 ボクは軽く拳を握り、ラウルの腹部へ、強烈な一撃を叩き込む。


「が、は……っ」


 彼は体を『く』の字に曲げ、凄まじい勢いで地面に激突。


 激しい土煙(つちけむり)が舞い上がる中、ボクは小さなため息をつく。


(はぁ……。やっぱり主人公の強化イベントは、噂に聞く『勇者修業』だったか)


 この感じだと多分、勇者の知識・勇者の戦い方・勇者の覚醒条件――全て継承済みと見てもいい。いや、そう見るべきだろう。


(まったく……こっちの気苦労も知らないで、厄介なことをしてくれたね)


 思わず頭を抱えたくなるけど、ここはしっかり切り替えよう。


(過ぎたことに対して、いつまでも悩んでいたって仕方ない)


 今この場で考えるべきことは一つ、『どうやってこのイベントをおいしくいただくか』、だ。


(ラウル・フォルティスは、勇者の血・勇者の体・勇者の魔力を持つ、『正真正銘の勇者』。その貴重な肉体(からだ)最大限に(・・・・)有効活用(・・・・)させてもらおう!)


 ボクの行動方針が決まったところで、徐々に土煙が晴れて行き――額から鮮血を流すラウルが現れた。


「はぁはぁ……(ふざけおって、ここは勇者の聖地じゃぞ!? 儂の全能力が大幅に向上し、奴は大幅に弱体化しているはず……っ。それでも(なお)、これほどの膂力を誇るとは……基本的な性能(スペック)が違い過ぎるッ)」


「随分と苦しそうじゃないか、最初の威勢はどこへ行ったのかな?(この反応、かなり効いてそうだね)」


「はっ、ピンピンしとるわぃ!(おそらくこやつは、『史上最強の転生体』。……なんとも悔しいが、真っ正面からの戦いではまず勝てん。(しか)らば、『(から)め手』で仕留めるッ!)」


 口ではそう言うものの、ダメージが膝に来ている。

 まさか軽いパンチ一発で、ほぼダウン寸前とは……やっぱり彼は『抜け殻』だ。

『残り火』にだけ注意を払っておけば問題ないだろう。


(ただ……あんまり早く終わってもらっちゃ困る)


 これからキミの体を使って、いろいろと『実験』をするんだから、しっかり粘ってもらわないとね。


(とはいえ、ラウルがいつ倒れるかわからない。まずは一番知りたいことを――虚空の魔力と勇者の魔力、両者の『関係性』を明らかにしよう)


 ボクがパチンと指を鳴らせば、(あかね)色の空に漆黒の球体が浮かび上がる。

 黒いビー玉のようなそれは、『虚空玉(こくうだま)』と呼ばれるモノだ。

 確か原初の時代では、『破滅の月』なんて、お洒落な表現をされていたっけか。


 ちなみに……虚空玉のサイズは、こちらで自由に調整できる。

 ゾーヴァの実験室を破壊したときは、『広域殲滅用』の大きな虚空玉を作った。

 今回はラウルを削るため、『対人戦闘用』の小さな虚空玉を使う。


 虚空はけっこう微調整(チューニング)の利く魔法だから、(いじ)甲斐(がい)があって楽しいんだよね。


(さて……これぐらいで足りるかな?)


 ボクの周囲に浮かぶ虚空玉――総数にして『一万』。


(本来、ビー玉サイズでいいのなら、軽く三万は出せるんだけど……)


 勇者の聖地による『超強烈なデバフ』のせいで、かなり少なめだね。

 でもまぁ、これだけあれば実験には十分だろう。


「よもや……ここまでとは……っ(これが噂に聞く虚空玉、触れたモノを消し去る破滅の月。200年の眠りについた転生体は、『千の月』を生み出したというが……これ(・・)はもはやそんな次元ではない……ッ)」


「簡単にやられてくれるなよ、ラウル? ――<虚空(まわ)し>」


 凄まじい速度で殺到する虚空玉に対し、


「ぬぉおおおおおおおおッ!」


 ラウルは超高速で短刀を振るい、鉄壁の防御術を披露した。


 しかし、


「ぐ、ぉ……ごっ……がふ……ッ」


 一万の『月』を短刀一本で(しの)げるわけもない。

 打ち漏らした虚空玉が、ラウルの体を痛烈に襲い、そのたびに苦悶の声があがる。


 ボクはその様子を(つぶさ)に観察し、目の前で起きた『興味深い現象』を解析していく。


(ほぅ、ほぅほぅほぅ……! なるほど、そういう『効果処理』になっていたのか!)


 ラウルは虚空を『無効化』しているのではなく、勇者の魔力によって『中和』しているだけ。

 こちらが虚空の出力をグッとあげれば、その強度に比例して、勇者の魔力もごっそりと削られる。


(つまり……<虚空>は依然として、有効な攻撃手段だ!)


 勇者に対しても、虚空は刺さる――この情報はデカい。


(ふふっ、最高だよ、ラウル・フォルティス!)


 キミはまさに情報の宝庫だ!

 さぁどんどん行こう!

 もっと教えてくれよ!

『勇者の秘密』を……!


 ボクが攻勢を強める中、ラウルはひたすらに耐え忍ぶ。


(ボイドはまだ若い、声の張り具合からして、おそらくは十代前半。それにもかかわらず、こやつは既に歴代の化物を優に超え、『史上最強の転生体』となっている……っ。この馬鹿げた強さで、未だ成長の過程におるとは……冗談にしても笑えん)


 さて、こういうのはどうかな?

 ボクは虚空玉の中に一つだけ、強い魔力を込めたモノを混ぜてみる。


 それがラウルの右肩を(かす)めた瞬間、


「ぬ、ぐッ!?」


 接触部分が消し飛び、虚空界へ送られた。


(おっ、やっぱりそうなるのか!)


 今みたく虚空の魔力と勇者の魔力に『大きな不均衡(ふきんこう)』が生じた場合――虚空の魔力を勇者の魔力で中和し切れなかった場合、虚空は正しくその効果を発揮する。

 つまり、いざとなればゴリ押しも可能というわけだ。


 これもまたかなり有用な情報だね。


(ボイドが成熟し、大人になれば……『厄災』ゼノの再臨となる。そうなったらもう、この世界はおしまいじゃ、誰もこの化物を止められん。しかし――今ならまだ()れる! この場には、我等一族が連綿(れんめん)(つむ)いだ『千年の仕込み』があるっ! 先祖の遺産を全て使い果たしてでも、奴が強くなり切る前に……仕留めるッ!)


 さて、こんなのはどうだろう?

 五つの虚空玉をこっそり地中へ(しの)ばせ、ラウルの足元から襲わせてみる。


 その結果、


「ぐ、ぉ……っ」


 虚空玉は『ほどほどに』その効果を発揮し、接触部分の表面だけを消し飛ばした。


(なるほどなるほど……)


 死角からの攻撃を受け、反応が遅れた場合――勇者の魔力による中和が間に合わず、虚空界へ飛ばされる。


 しかし、向こうも馬鹿じゃない。

 すぐに魔力で補強してくるから、その効果は限定的だ。


(奇襲や騙し討ちは、それなりに有効っと)


 これもしっかりと覚えておこう。


(『勇者』と『厄災』の因縁は、千年前から続く運命(さだめ)。もしもここで儂が敗れれば、ボイドはさらなる強化を果たし――いつの日かアレンの元へ向かう。……それだけはならん、断じて許さぬッ! 刺し違えててもボイドを殺し、儂の可愛い孫を――大切な家族(アレン)を守るのじゃッ!)


 さてさてお次は……んっ?


 ボクが夢中で実験を行っていると、ラウルの魔力が()ぜた。


(へぇ……『覚醒』か)


 それは(きらめ)く純白の奔流(ほんりゅう)

 彼の持つ魔力が、十倍以上に膨れ上がった。


(何がきっかけになったのか知らないけど……凄まじいね)


 激しい情動に突き動かされて、僅かな『残り火』が燃え上がっている。

 ()わばこれは、『最後の花火』。

 勇者ラウル・フォルティスが立つ、『最後の戦場(ぶたい)』だ。


(ふふっ……まさか覚醒まで見せてくれるなんて、本当に(いた)れり()くせりだね!)


 さらなる情報のゲットチャンスに心を躍らせていると――老爺の瞳が鋭く尖った。


(この感じ……何か仕掛けて来るな)


 ボクが警戒を強めたそのとき、


「――カァッ!」


 ラウルが勢いよく右手を上げた。

 その動きに応じて、池に溜まった大量の水が天高く浮かび上がる。


「……ただの水じゃないな」


「左様。これは勇者の一族が、千年と魔力を込め続けた『聖水』! 只人(ただびと)にとっては、ポーションのようなものじゃが……貴様にとっては猛毒じゃ!」


 確かに、ちょっと厄介だ。

 勇者の魔力が込められているため、虚空で消し飛ばすには時間が掛かるし……触れれば体が溶けてしまう。

 原作ホロウの肉体は、聖なる力に弱いからね。


「――<破裂(バースト)>ッ!」


 ラウルが一般魔法を発動。

 大空に浮かぶ水の塊が弾け飛び、まるで大雨のように降り注ぐ。


(超々広範囲の聖水、これを虚空で防ぐことはできん! 自分の身に危機が迫ったとき、ゼノの転生体が取る行動は一つ――『虚空界』への逃亡! 狙うべきはボイド本体ではなく、<虚空渡り>! 奴の逃走経路を潰し、聖水に焼かれた体を斬り刻むッ!)


 聖なる雨が降り注ぐ中、


「ふむ」


 ボクはサッと空中に指を走らせた。

 その結果、降り落ちる雨粒がピタリと止まる。

 まるで時間でも止まったかのように、『雨という現象』が空中に留まったのだ。


「なっ!?」


 ラウルは驚愕に目を見開いているが、別に驚かれるようなことはしていない。


 これは単純な『魔法技能』。

 降り注ぐ雨粒の一つ一つを魔力で受け止めただけ。


(『シンプル・イズ・ベスト』ってね)


 単純かつ原始的な方法が、実は一番簡単だったりする。


 そして――。


「――<(フレイム)>」


 一般下位魔法によって、聖水を全て蒸発させた。


「ば、馬鹿な……っ(これほどの魔法技能、いったいどうやって……!?)」


 呆然と呟くラウルへ、ボクは嘲笑を向ける。


「くくっ、もう終わりかな?」


「ま……まだ、まだぁあああああああああああッ!」


 グッと奥歯を噛み締めた老爺は、凄まじい勢いで突っ込んできた。


(次は……そうだね。『覚醒した勇者の魔力』について調べさせてもらおう)


 ボクはよぅく目を凝らしながら、ラウルの繰り出す連撃を、右腕一本で捌いていく。


「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおお……ッ!(ここまで出力を上げて(なお)(かす)りもせんのか……っ)」


(ふむふむなるほど……。覚醒した勇者の魔力は、本人の膂力を大幅に向上させる。特に耐久力の上昇具合は、ちょっと『異常なレベル』だね)


 さっきから何発かイイのを入れているんだけど、最初みたいに吹っ飛んで行かない。

 濃密な勇者の魔力が、緩衝材の役割を果たし、衝撃を吸収しているっぽい。


(思い返せば確かに……原作主人公のタフさは、人外(じんがい)()みていたっけな)


 どうやらその裏には、こんなカラクリがあったようだ。


(攻撃面はそこそこ、耐久度は顕著に上昇っと)


 頭の中のメモ帳に新情報を記録していると、ラウルは(おもむろ)に小さな『玉』を取り出し、


「――ズェイ!」


 何を思ったのか、素早く短刀で断ち切り――紫色の煙が視界を埋める。


(これは……『煙幕』? いや、『毒ガス』か)


 この独特なアーモンド(しゅう)、おそらく神経毒だね。


 でも残念、ボクには『毒物に対する完全耐性』がある。

 この体には『虚空の欠片』が散在しており、免疫に似た『自動防衛システム』が働いているのだ。


 ボクが虚空を使って、目障りな煙を消し飛ばそうとしたそのとき――ラウルの大声が響く。


「――<(かい)>ッ!」


 彼の声に応じて、半球状の巨大な結界が構築された。


(これは……虚空の制御が乱される……。なるほど、面白い結界だね)


 勇者の魔力が充満した、ただそれだけの結界。

 虚空使いの足を鈍らせる『オリジナル魔法』、おそらくはこの聖地にせこせこと仕込んでいたのだろう。


(魔法の起点は――池の底か)


 風の一般魔法を使い、池を真っ二つに斬り裂くと、結界は光る粒子となって消滅。


(さて、次はどんな仕掛けが――)

 

 ボクが周囲に目を配ったそのとき、背後に凄まじい大魔力が出現する。


「――()ったァ゛!」


 鬼の形相を浮かべたラウルが、聖なる短刀を振り下ろす。


(いい魔力だ)


 ここで勝負を決めるつもりなのだろう。

 その一振りには、超高密度の勇者の魔力が込められていた。


(さすがにこの出力は、<虚空憑依>じゃ受け切れないな)


 煙幕で視界を潰し、結界で足を止め、背後から奇襲を掛ける――とてもいい攻めだね。


(でも、甘いよ)


 地道な修業の結果、ボクの魔法構築速度は、コンマ一秒を切っている。

 (まばた)きの時間があれば、あらゆる魔法で迎撃可能だ。


「――<虚空槍(こくうそう)>」


 禍々(まがまが)しい漆黒の槍が飛び出し、ラウルの視界が『死』で埋まる。

 しかしこのとき、枯れた老爺の顔が――『邪悪』に歪んだ。


「ここじゃァ! ――<全反射(オール・カウンター)>ッ!」


 勇者の固有<全反射(オール・カウンター)>、『前方のあらゆる攻撃を即時反射する』という、シンプルかつ凶悪な性能を誇る。


(短刀は『布石』! 儂の真の狙いは、ボイドを(・・・・)虚空で(・・・)殺すこと(・・・・)! 『虚空の魔力は万物を滅ぼす』――無論、貴様とて例外ではないッ!)


 完璧な手順とタイミング。

 きっと何度も何度も、この流れをシミュレートしてきたのだろう。


 だけど、


「――あぁ(・・)知って(・・・)いるよ(・・・)


 ボクは自分の放った<虚空槍>を――<虚空渡り>で消し飛ばした。

 その結果、『反射すべき魔法』を失った<全反射>は、なんの意味もなさずに霧散する。


 つまりは、無駄打ち。

 ラウル・フォルティスの『人生最後の花火』は、あっけなく不発に終わった。


「んなッ!?(馬鹿な、読んだというのか!? 儂の戦術、ボイドを<虚空>で殺すという『一世一代の奇策』を!?)」


「終わりだ」


 次の瞬間、


「が、ふ……ッ」


 ボクの右腕が、ラウルの胸部を深々と貫いた。

【※読者の皆様へ、大切なお知らせ】

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― 新着の感想 ―
これ、思ったんですけど実は『虚空』こそが魔王の固有魔法だったりしません? ①虚空と勇者の魔力は相克関係に近い ②虚空保持者は勇者の怨敵 ③虚空の魔力は全てを滅ぼす ①②は実際そうである描写があ…
既に強化イベント自体は発生し終わってしまっている以上、ここで殺したところで「殺す場面をアレンに見られ、強烈な怒りなどの感情で覚醒を果たしたアレンと絶対的な敵対をしてしまう」リスクを負うだけっぽくもあり…
いい人殺すの趣味じゃなさそうだから、弱らせて虚空送りにするかと思ったけどホンマにヤるんですかいのう
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