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第二章 特訓?

EMウイルスって何ですか?





 小鳥たちのさえずりと木々のざわめきで目が覚める希来、昨日の特訓の傷が痛む、ソファから起き上がりふと腕の包帯を見る、そして昨日のことが今日のようによみがえる。

 

 特訓初日


「さてと」

 昨日の深夜に出会ったばかりの女が木材で作られたチェアから立ち上がりキッチンに入り冷蔵庫を開ける音やバリバリとレタスを千切る音が小鳥のさえずりとともに耳に入る、まるで昨晩のことを慰めてくれるように心地の良い音だった。

(平和だな、)

 「ふぅ~」と何かを吐き出すようにため息をつく希来、だがそんなマイナスなことは全てこの青々とした自然が洗い流してくれるように思えた、そして希来は肩の力が自然と抜け今まで凝っていた体をほぐすようにソファの背もたれに身を任せ背伸びをした。

「んぅ~~~~っはぁ~」

 そして料理ができたのか料理の盛られた皿を二枚こちらに持って運んでくる、そして彼女の表情はまるで「よかった」と言わんばかりのほほえましい笑みであふれていた。

「よぉ!少年、昨晩はよく寝れたかい?」

 昨日と同じような元気な彼女に戻り自然とこちらも笑顔になる。

「はい、よく寝れましたおかげでスッキリです」

 微笑む彼女は持ってきた皿を一枚テーブルクロスの引かれたウッドテーブルに置きこちらに差し出し、彼女は立ったままサンドウィッチをほおばっていた、そして希来は座っていたソファからウッドチェアに座り替え「いただきます」と言いサンドウィッチをほおばった。

 彼女が半分食べ終わったぐらいに喉が渇いたのだろうかウェットティッシュで手をふき再度キッチンに入り、コップを二つ置く音が聞こえ冷蔵庫を開ける音もする。

(僕の分も淹れてくれるんだ親切だな)

 そしてお湯を注ぐ音がしマグカップをトレーに置き持ってくる、そして「飲むかい?」と聞いてくる、希来もちょうど喉が渇いていたので自分に差し出されたマグカップを取り、マグカップの中身の様子をうかがう。

(これは紅茶?)

 茶色い液体が湯気を出しかすかに柑橘系の鼻を甘く刺す香りがしていた。

「私特製のレモンティーだ、以外にもサンドウィッチと相性が良くてな、よく朝に飲んでるんだ今日はダージリンを使ってみたんだ」

 そして彼女は少し口に含み味わっている、だが途中で飲み込み少しため息をつく。

「やっぱり私には合わねぇな、やっぱストレートティーの方がいいのか?」

 少しつぶやき砂糖を追加していれる、そして彼女はもう一度口に含み香りや味を吟味する。

「あぁ~だめだ逆に甘くなりすぎた」

 そして彼女はもう一度キッチンに入り再度ポットに電源を入れる、だが「今日はやめるか」とつぶやきポットの電源を落とし返ってくる、あまり紅茶を飲まない希来からすればとてもおいしく問題がないと思うが彼女なりの目標があるのだろう素人が口出しすることではない。

「すまんな今日のはちょっと時間が長かったみたいだ、ちょっと渋いだろ?」

 言われてみれば少し渋さがあるだが希来にとってはそこまで問題がなかった、だが少しの渋みがあることに変わりはない、ここでお世辞を言うのもなんだと思い素直な直感で言う。

「そうですね、少し舌に残る感じがします」

 その後「あ~やちまった」と落ち込んでる彼女を落ち着かせ食後の散歩に行くことになった、だがこれで傷だらけになるとはまだ希来は知らなかった。

 実際サンドウィッチのボリュームがかなり大きく腹九分まで満腹だったので以外にも散歩がいい食後の運動になっていた、かなり歩き道がどこにあるかわからないほどの山奥に入っていたそして彼女は突然しゃべり始める。

「急だがここでEMウイルスについて説明しよう」

 いずれ自分もなることを踏まえ歩きながらも聞き耳を立てる。

「まずはフェーズワンの説明だ、フェーズワンに移行できる条件なんだがこれがちょっと癖があってなEMウイルスは知っての通り感情に反応する、だが反応する感情のタイプが違うだけで敵にも味方にもなる、例を挙げるとAの、いつか私にも理想の王子様が、、、って言ってる女とBの、キャー○○君かっこいー私にとっての王♡子♡様♡、この二人の言い分を聞いてどう思う、どちらがフェーズワンになれると思う?」

 少し考え、これから未来のあるAの方が有力だろうと思いAと回答する、だが間違っているようで「ブッブー」と言われてしまった。

「正解はBだ、なぜかというとEMウイルスは不安定な感情より、貫かれたブレることのない安定した感情に強く反応し安定した反応を出せるんだ、だがブレた感情に反応すると反応が不安定になり感染者が反応を抑制しきれず、自分の思わぬところで別の感情が発生しその反応が連鎖すると自分の身を滅ぼし代償にリミッターの外れた理性と、永遠に動き続ける実態を持たない体になる、この時点でもう人に戻れなくなる、だから」

 そして彼女は少し立ち止まり自分自身の手を握りしめまた言葉を発する。

「私たちは対抗できない無反応の人たちを守るんだ」

 そして前を向きこちらに苦笑いを向けしゃべり始める。

「少し硬い話だったね」

 だがそんなことはないと希来は否定を入れる。

「そんなことないですよ、ぼくも師匠みたいに多くの人を助けたいです」

 そして彼女は疑問を覚える。

「師匠?」

 首をかしげこちらに目を向ける、希来本体は疑問もなくただ思ったことを言っただけである、だが彼女はうれしかったらしくこちらに近寄っては抱き着いてき頭をわしゃわしゃしてきた。

「そうかそうか!私は師匠か!、いい響きじゃないか!」

 その後たくさんわしゃわしゃし、気が済んだのか腕のロックを解除し少し距離をとる、そして「よし!」と気合を入れ掌に拳を当てこちらを向く。

「なら師匠らしいことをしてあげよう」

 言った瞬間彼女に担がれる、そして「耳ふさげよ」と言いスタートの構えをとった。

(頭じゃなくて耳?)

 違和感に気付いた時には遅かった、彼女が地面を蹴ろうとすると地面はメリメリと軋んだかと思った瞬間爆発したかのような爆音を轟かせ舞い上がり気づけば森の中を疾風のごとく猛スピードで走っていた。

「ワァァァァァァ!!!」

 自分がしゃべっていることに気付いたのかすかさず指示を下す。

「しゃべってると舌をかむぜぇ!」

 山をものすごい速度で駆け巡っているため耳鳴りがひどい、彼女はこのことを気にし「耳をふさげ」と注意をしてくれていたのだ、だがそんなことを考えているうちにまぶしい光が自分の目に飛び込んでくる。

「山を抜けるぞぉ!」

 言われた瞬間自分は空中に投げ出されスカイダイビング状態になる、ものすごい速度で落ちているらしく口の中に風が吹き付け口が乾燥するのがわかる、というかこうしないと息ができない。

「大丈夫かー!」

 突風で耳があまり聞こえず雰囲気だけで言葉を理解する。

「ちょっと待ってろー!」

 その瞬間彼女が空中を蹴りこちらに突進してくる、そして空中で自分をつかみ立てに回り体制を変え、服に大量の空気が入ってくる。

「しっかり摑まれ!」

 そして死に物狂いで肩にしがみつく、そして「いくぞ」という掛け声とともに彼女の手からパラシュートが展開される、展開されると同時に落ちる力と引く力が希来たちを襲うだが彼女の身体は以上に強く腕が取れることもなくただ普通に減速していった。

「どうだ、いい景色だろ」

 少し目を開け確認する、そこには雲で少し白くかすんだ空と青々とした木々がいっぱいに広がっていた、まるで忘れていた自然を思い出さしてくれるようにすがすがしくただただきれいな自然の姿だけがそこには広がっていた。

「少年も特訓を積めばこの景色を見るのなんて朝飯前だぞ」

 だが少年は景色に夢中でそんなこと全く耳には届かなかった、戻ったあと希来の腕には無数の切り傷があった出血もしていて応急処置を受けやむなきを終えた。



(昨日は楽しかったな)

 そんなことを思いながらソファから降り背伸びをする。

「っっっっんぅ」

 声がして気づいたのだろう、キッチンから黒いロングヘアーをなびかせ顔をのぞかせる師匠、そして「おはようございます」とあいさつをし向こうも「おはよう」と返してくれる。

「朝飯出来てるよ、顔と歯磨いておいで」

 憧れた生活にうれしく思い顔に出る、師匠は少し首を傾けたが今はただこの生活を続けていきたいと思う希来であった。


「ふぅ~」

 朝の支度をひとまず終わらせ食卓に戻る、そしてウッドチェアに座った瞬間思い出す。

「師匠」

 急な呼びかけに驚くだが「なんだい?」と対応する師匠、そこで思っていたことを話す。

「昨日の特訓、何かしました?」

 その言葉を聞いて師匠はわかりやすく「あっ」と思い出すのであった。

 

 

 

予告

本格的に始まる特訓を気に希来は師匠からEMウイルスを受け取るのであった。

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