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秋に近づいて

作者: 翠泉


 使わなくなった

 首振りする扇風機

 食べなくなった

 甘ったるいチューペット


 夏になった

 全てを思い出せると思っていた

 様々なモノや出来事

 元から私の中にあったように


 忘れたかったあなたの言葉

 その言葉だけが今でも

 忘れられないように

 頭に焼き付いている


 変わり続けている

 あの夢の中を何度も

 あなたを攫っていく

 不安定に揺れる陽炎


 秋が近づけば

 笑い飛ばせる気がした

 何もかも全てのことが

 身も蓋もない話になるって


 東へと去ることになった私

 地元に残るあなたの影

 私のこの足で

 いつか追いつきたいの


 錆がひどい

 あの日乗り捨てた自転車

 漕が無くなった日から

 減っていったジレンマ


 あの暑い夏が作りだした

 ジリジリと焼ける海岸

 点滅する蛍光灯

 握りしめる掌


 雨が上がって蒸せる空気

 響き渡る蝉の声

 汗をかいた缶のコーラ

 そしてあなたと


 過ぎ去っていく夏が創りだした

 浅黒く焼けた肌を思い出した

 泣いてしまった私

 赤い日が沈む海岸線


 ぽっかりと開けた心臓

 あの日繋がっていた点と点

 愛想のなかったあの夜を少し恥じた

 あなたへの想いが遠い距離と重なって

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 使わなくなった扇風機、食べなくなったチューペット。夏のかけらを集めていくような詩のはじまりに惹き込まれます。そこにある、忘れたくて、でも忘れられない言葉。 錆がひどい自転車、蒸せる空気と…
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