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赤い傘の下に、女の子とお母さんが二人、入っています。

すぐに帰ってしまうのかと思いましたが、お母さんが女の子の手を引いて私の方へと戻ってきました。


二人は私の真下まで来ると、濡れないように少しだけ傘を動かして私を見上げました。

お母さんのその表情を見て、私はまた嬉しくなりました。

女の子の瞳とそっくりです。

やはり親子なのですね。

そして、私の記憶の中の少女の瞳ともそっくりです。


お母さんは私の一本の枝を指さしながら、女の子に何かを話しています。

そうでした、あの日、赤い帽子がかかったのはこの枝でしたね。

二人は枝を見た後、顔を見合わせて笑っていました。



二人は私とお別れすると、ゆっくりと来た道を帰って行きました。

傘の下でしっかりとつないだ手が見えます。


しばらくすると、二人の唄声が聞こえてきました。

少し前まで一人で寂しそうに歌っていた女の子の唄声は、弾むような唄声に変わっていました。

そして、あの頃聴いた赤い帽子の少女の唄声も、聴こえてきました。


赤い傘が見えなくなるまで、私は二人を見届けました。

空を覆っていた雲はいつのまにか晴れて、そこには夕焼け空が見えていました。


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