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五
いつだったでしょうか。
私のもとに、ちょうどこの子と同じくらいの年の少女がやってきました。
その少女がやってきた頃は、遠くの田んぼが今よりも広がっていて、たくさんの家も建っていませんでした。
どうやら私がその少女を見たのは、かなり昔のことのようです。
それでもどういうわけか、目の前の女の子とその少女が重なってしまいます。
私をじっと見つめる大きな瞳が似ているようです。
目の前の女の子は、地面に盛り上がった私の根っこに座ると足をぶらぶらさせました。
一人で来たのでしょうか。
少し寂しそうです。
しばらくすると、女の子は小さな声で歌い始めました。