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四
遠くの木がざわざわと騒ぎ始めました。
北の方から風が吹いてきたようです。
しばらくすると、私のもとにもその風がやってきました。
私の葉っぱたちが、こすれ合って乾いた音を立てています。
一枚の葉っぱが風に乗って宙を舞いました。
ひらひらと地面へ近づいていきます。
葉っぱは、女の子の足元に落ちました。
遠くの田んぼを眺めていて気が付きませんでしたが、いつのまにか私のもとに、小さなお客さんが来ていたようです。
女の子は、落ちてきた葉っぱを手に取りました。
ずいぶん熱心に葉っぱを眺めています。
うちわのような形が面白いのかもしれません。
葉っぱを持ったまま、今度は私の方を見上げました。
大きな瞳で私を見つめています。
瞳の中には金色が光って見えます。
その子の瞳が、私の姿を映しているのでしょうか。
なぜだか不思議な気持ちになってきました。
私は前にもその子に会ったことがある気がします。
それも、ずいぶんと昔に。