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私は、この町の冬の景色を見ることができません。

田んぼの稲穂たちが刈られるのを見届けると、私はどうしても眠くなってしまいます。

やがて小雪が降り始める頃、私は冬の深い眠りに入ります。


もうかなり昔のことですが、私にはマツの木の友達がいました。

その友達は、冬も眠くならないと言っていました。

春に私が目を覚ますと、マツの木の友達は私が眠っている間に見た冬の景色を自慢げに話しました。

ある時は、辺り一面が雪で真っ白に覆われたそうです。


私は冬の景色を見ることができる友達のことが羨ましかったです。

私はどれだけ長生きしても冬の町を見ることができません。



そういえば、あの田んぼも昔に比べるとずいぶん小さくなったような気がします。

昔田んぼが広がっていた場所には、ある時からたくさんの家が建ち始めました。

そしてちょうどその頃、ある春の日に私が目を覚ますと、マツの木の友達はいなくなっていました。


長生きしていると、町も友達も変わっていきます。

でも、悲しいことばかりではありません。

家が建ち始めると、今度は、たくさんの人間の子供たちが私を訪ねてくるようになりました。


私は人間の言葉が分かりません。

でも、元気に駆け回る子供たちを眺めていると、私も楽しい気持ちになります。

秋になると、子供たちは私が落とした葉っぱを踏んで遊んでくれます。

これも、私が秋を好きな理由かもしれません。


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