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二
人々が私を見上げてくれるように、私も周りの景色を見下ろすことが好きです。
私の周りにはいくつかの木が生えています。
時折、周りの木たちに隠されて景色が見えないことがあります。
それでも、うんと背伸びをすると、私はかなり遠くまで見ることができます。
私は周りの木たちよりも年上で、身体が大きいようです。
少し遠くには、田んぼが見えます。
良く晴れた春の日には、田んぼが太陽の光を受けてきらきらと光っています。
田んぼが青い空の色を映していて、私を冬の眠りから心地よく目覚めさせてくれます。
蝉が鳴く頃になると、田んぼは一面の緑色です。
風が強く吹くと、緑色の田んぼはうねうねと楽しそうに波打ちます。
虫たちも、人間の子供たちも私の下で元気に駆け回ります。
あの頃がきっと、一年で一番賑やかな季節でしょう。
もしも私に虫や動物たちのような足があったなら、あの田んぼのところまで行ってみたいです。
田んぼの稲たちと一緒に風に吹かれて踊れたなら、きっと楽しいでしょうね。
やがて蝉たちの声が落ち着くと、この静かな季節がやってきます。
今、田んぼは輝く金色です。
私は、この金色の田んぼの姿が一番好きです。
夕日を受けて光る稲穂たちを見ると、いつも目を細めてしまいます。
私も、下から見上げるとあの田んぼのように金色に輝いて見えますように。
思わずそう願ってしまいます。
