優太号へ!
第八章も大詰め!これからの展開はさらに豪華になっていきます。お楽しみに。
豪華なフランス料理を食べてみたい人はいいね、もう食べたことある人は感想の書き込みをよろしくお願いします。
「おかしいな。さっき倒したはずなのに……」
「甘いぞ。大崎優太、俺のスキルは“メイドラゴン”。一体ずつしか出現させることが出来ないが、代わりに無限にドラゴンを召喚することが出来る。さあ!あの白衣を着た男を燃やせ!」
「グオオ!!」
ドラゴンは今度は飛ばずに、ドシドシと地に足をつけて走ってハカセを追いかけてきた。
「タイト!逃げるぞ!」
ハカセはタイトに乗って、空中に飛んだ。ドラゴンもそれに合わせて飛んでくる。
「彩姉先輩を離せ!エレファス!念力魔術!」
「ハニー!ゼラチン玉!!」
ブルースに向けて放たれた攻撃を受けるのを嫌って、ブルースは彩を解放したのと同時に、ピョっと飛んでARTの元へ戻った。
「スライサー!」
「デズロイヤ・チェーンソー!!!」
ミクのリングとARTの右手 (ARTは右手がチェーンソーになっている。)がガキィイン!と派手にぶつかった。
「ライア!こっちに来て。」
ミクはライアが出した糸を掴んで、適度な長さに噛み切ると、それをリングにしばりつけた。
「これで擬似ヌンチャクの完成。」
「それで何が出来るというのだ。」
「遠距離攻撃!」
ミクはARTの顔面にリングを打ち付けた。
「いてぇ!」
その隙にリングのひとつを空中に投げあげ、ライアからさらに糸を貰うと
「くっそー!」
体勢を立て直したARTをぐるぐるに縛り上げた。
「な……」
そしてリングが彼の脳天目掛けて落下してくる。
カシャーン!
しかし、ゼロのパートナー、クレイがリングを弾いたのでリングはだらしなく回転した後、コロンと止まってしまった。
「失敗……」
「隙ありー!」
ARTは少し落ち込んでいたミクを背後から襲おうとしたが。
ガキィン!
ミクはリングを彼にぶつけた。ARTは咄嗟に防御する。
「隙なんて見せるわけないでしょ?」
「生意気な女め。」
「私はミク。覚えておいてね。」
その頃、優太たちは、ラナが縛り付けられている柱にたどり着いた。
「ラナ!大丈夫か!?」
「優太お兄ちゃん……」
ラナの瞳はうるうるとしていて。今にも泣き出してしまいそうなくらい涙が溢れる寸前だった。
「こ、こんなに手酷く殴られて……」
痛々しい傷がいくつもあった。血も出ている。
「心配しなくていいの。それより、優太お兄ちゃんのお父さんを探しに行こうよ。」
「……いや、ゼロを……」
「今はゼロを倒すことじゃなくて、優太お兄ちゃんのお父さんを助けることの方が大切でしょ?」
その言葉を聞いた優太は深呼吸して、怒りに行動を任せていた自分を反省した。
「ありがとう。ラナ。少し落ち着いたよ。」
「こう見えて、なんでも治せるんだからね。」
「よし、俺の父さんを探しに行こう。」
「うん。」
二人は暗い建物の中へ入って行く。
「やったー!みんなでラナの救出成功!」
「やりましたね!プーフ先輩!」
スタッ
「「え?……」」
ハイタッチをして喜ぶプーフとジョーの後ろから着地をしたような音がした。ゆっくりふたりが振り向いた時、そこに居たのは大崎正人のコピー体、Xだった。
「……」
Xは何も言わずにしばらく様子を伺ったあと、バシュッと飛んで、ジョーの顔にパンチを繰り出した。
「あうっ!」
「ジョルちゃん!」
(プーフはジョーのことをジョルちゃんと呼んでいます。理由は分かりません)
「えっ!?」
プーフが驚いているのは、ついさっきジョーを殴ったXが自分の目の前にいたからだった。
「きゃぁっ!」
プーフは蹴られて何メートルも飛ばされた。
「まずい!ふたりが……」
「隙あり!」
ARTは一瞬ミクが二人の方へ視線を逸らしたのを見逃さずに、チェーンソーを下段に振った。ミクはジャンプしたがかわしきれず、右足を少し切られてしまった。追撃を喰らわないように距離をとった。
「(い、痛い……)」
ミクの右足から血がダラダラと流れている。かわせていなければ、両足が今頃なかったかもしれない。
「おいおい!ミクとやら!隙は見せねえんじゃなかったのか!?」
~建物の中
「どこを探しても、お前らの父さんどころか一人も人がいねえぞ!」
「どこかにいるはずなんです!必ず助けないと!」
「あ!ちょっと待て。賢。」
「え?」
シュウトは透視で壁の向こう側にある何かを見た。
「今、壁の向こうに、なんかが見えた。この壁ぶっ壊すぞ!」
シュウトは腕をフルスイングし、壁にミートした。
「練隋鉄拳!!」
壁がガラガラと崩れてすごい量のホコリが舞ったが、それもなくなって、そこに居たのは
「……何が起こった?」
紛うことなき大崎正人であった。両手両足を手錠で縛り付けられている。優花は、自分のお父さんが生きていたことに感激していた。言葉が上手く出なかった。
「そこにいるのは……」
長い間喋っていなかったからか、とてもかすれた声だ。
「……まさか!」
大崎正人は賢と優花を見て
「まさか、優花と賢か……?」
「うん、そうだよ。お父さん……」
「おとうさーーん!!!!!!!」
二人は彼の胸元へ飛び込んで泣いていた。会ったのは13年ぶりである。
「あっちから泣いてる声がする。」
「もしかして……」
優太はそれが希望の泣き声だと信じて走り出した。優太は声のする方へ走っていくと、五人の人がいた。その中の一人は、優太が忘れてしまっていた人物だった。
「……父さん……父さんだよね……」
「ああ、そうだぞ、みんな。大崎正人だ。お前たちの、優太、優花、賢、お前たちの父親だ。」
「やっと会えた!」
優太も泣いていた。母である桃子の死という深い悲しみを乗り越えて、再び出逢えた奇跡、そして軌跡。四人はお互いの気持ちが、体が、もう離れないようにとずっと抱きしめ会いたかったが、ここは敵の拠点なので、そうする訳にもいかず
「父さん!外で俺の仲間が戦ってるんだ。話はあとにして、助けてくれ!」
「ああ、だが、ちょっと手錠外してくれないか。」
「分かった。俺の仲間のハカセならきっとできるよ。こっちに来て。」
「ああ。」
正人たちは建物を出た。しかしそこには、ゼロが待ち伏せていた。
「チッ、大崎正人……息子が優秀で助かったな。」
「許さないぞ。ゼロ。お前を……」
「おっと、怖いなぁ。そんなふうに睨みつけなくてもいいだろ?」
そう言われても、もちろん正人と大崎兄姉弟は動じず、戦闘の構えをとった。
「ふん、そっちがそのつもりなら……」
ゼロはパチンと指を鳴らした。すると、プーフとジョーを終始圧倒していたXがすぐさま駆けつけた。
「ここは任せたぞ。X。」
ゼロはひゅっと上空へ逃げた。
「逃げるな!カブト!行くぞ!」
「私も行く!レイ!乗せて!」
優太とラナはそれぞれのパートナーに乗って、ゼロを追いかけた。
「近寄るな!このヤブ医者が!」
「ラナはヤブ医者なんかじゃない!俺とミクの命を救ってくれた、恩人なんだ!それに、辛い患者さんのために、常に気を配っているんだ!ヤブ医者なんかじゃない!」
「……大崎優太、悪いが、それはただのお前の偏見だ。お前は知らない。このヤブ医者が存在しては行けない本当の理由を。」
「……?」
「こいつが持っているスキルの名は、No.6 (ナンバーシックス)、“完璧治療”だ。」
「ナンバーズ……(No.5までしかいないはずだけど……)」
ラナはその事を聞いて俯いていた。
「この能力は、医者が道具を使ってやっていることが全て素手でできてしまうスキルだ。こいつはやろうと思えば、人の心臓の動きを止めたり、一瞬で失明させたりすることだって出来てしまうんだ。こんなやつを政府軍である俺が放っておく訳には行かない。殺すべきなんだ。」
「……お前こそ、政府軍なんかじゃない!」
「何?」
「政府軍は、もっと誠実で、優しくて、正当な判断を民主的に下すものだろ!お前は、勝手に人を殺しているだけだ!ラナのお父さんも、お母さんも、俺のお母さんだって!」
「……言っておくが、大崎正人も犯罪者、デュエラーなんだよ。」
そう言ってゼロは胸ポケットから、彼の手配書を出した。こう書かれていた。
戦闘の天才、大崎正人及びそのパートナージュネス(パラワンオオヒラタクワガタの種):懸賞金520,000,000ルーン
「5億……!」
「ああ、それだけ危険人物ってことだ。その大崎正人をひっとらえるためやった事だ。俺の行為は全て正当化される。」
「そんなことがあってたまるか!」
優太はカブトにスピードを上げるように指示して、ゼロに突進した。が。
「待て待て、大崎優太。教えるべきことがある。雪光のことだ。」
「赤岩さんがなんだ!」
「今、俺の部下が、雪光を捕らえて、政府軍本部に連れて行っている。昨日な。」
「……まさか!」
「そうだ。雪光はページと肩を並べたデュエラーだ。そんなやつが政府軍に届けられたら、どうなるかな?」
「……」
「そう。処刑だ。もう裁判は終わっている。」
「そんな!優太お兄ちゃんの恩人が!」
「そんなことさせてたまるか!」
ピロリン。
「おっ、ちょうど死刑執行まであと6時間だってさ。俺の時計が教えてくれた。」
「くっ、みんな!優太号に引き返すぞ!」
優太の呼び掛けで全員が振り返った。
「急にどうした!」
「頼む、赤岩さんが死ぬなんて、絶対に防がなきゃ!手伝ってくれ!政府軍本部に行くぞ!」
全員が全速力で優太号へと戻った。
「間に合え!」
「(頼む、間に合え……雪光さんを、処刑させる訳には行かない……)」
「X!止めろ!」
Xは優太の前に立ちはだかった。
「邪魔だ!」
優太はXの腕を掴んで一本背負いを決めようとしたが、Xはするりと抜けて、逆に優太に関節技を決めた。
「うあっ!」
腕を捻られて、猛烈な痛みが走る。
「優太を離せ!スライス!」
ミクが両手のリングでXを攻撃し、何とか優太を助けることに成功。
「絡めるカラメル!」
プーフが、Xの動きを止めるために、足にカラメルを放つ。
Xは足にカラメルがまとわりついて、動けなくなった。
「ありがとう!ミク、プーフ!」
Xの追撃を逃れた優太たちは全速力で優太号へと向かう。
ゼロは追いかけずに傍観していた。「ふっ、(ここまでは作戦通りだ。……ついに始まるぞ。
第二次戦争!!)」
ザ・ページ第八章~[完]~
第八章長かったなぁ!
今までで一番長かったし一番濃かった。その分書いてて楽しかったけど。
読んでくれてありがとうございました。第九章もすぐに投稿出来ると思うのでお楽しみに!




