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ザ・ページ  作者: 名もないP
11/137

ディエス中将と中村彩

眠いーー!


でも寝る前にいいねとブックマークお願いしますって言わなきゃダメだった。


いいねとブックマークお願いします!


よし、寝よう。

彩は作戦会議室から出ると早速父であるディエスに声をかけに行った。

「お父さん!」

「おお、彩じゃないか。こんなに大きくなって、しかも軍服がよく似合ってるじゃないか。嬉しいぞ。」

「うん!明後日は頑張るね!あ、そうだ。お母さんはどこ?」

コトコトと歩く音が聞こえた。ディエス中将はそれで誰が来たか分かった。

「噂をすれば何やらだな」

「お疲れ、ディエス。あら?彩じゃないの!会いたかった!」

「お母さん!」

二人はぎゅっと力強く抱き合ってお互いの柔らかさを感じる。五年ぶりの母親の体温は本当に温かくて、彩の目には自然と涙が湧き出てきた。

「こら、軍人は泣いちゃダメよ。」

ハルカは人差し指で彩の左目の涙袋についている涙をぬぐった。


「……うん!明後日は頑張るね!」

「ええ、怪我しないようにね。大好きよ。」

「私も大好き。」

そう言うと、二人は離れた。ハルカは彩に手を振って、彩も手を振り返した。二人とも笑っていた。

ディエスは他の兵士と遠いところで話していた。ハルカはそこに加わり、彩はそれを見送る。



彩は個室に戻ってゆっくり体を休めた。次の日はストレッチをして、木沼と作戦などを話し合った末に早い時間に就寝した。


次の日

「今日、二人一組でヘリに乗り、トライ島に向かう。目的地に着いたら訓練通りデュエラー達を撃ち抜け。銃は支給されるが、一人一丁だ。分かったな。」

ディエスは兵士達に最終確認をして健闘を祈る、と一言残した。そして中将専用の戦車に乗り、トライ島に向かって躯体を走らせる。彩は木沼とペアになってヘリに乗る。機械だらけのヘリの中は正直居心地が悪い。ボロロボロロとローターが回る音がする。そしてその音に合わせてヘリ全体が振動し、彩たちの体にも伝わる。その振動はまるで2人の緊張を具現化しているかのようだった。彩はイメージトレーニングをしていた。嫌な緊張も走った。最悪の結末を想起する度、訓練通りにすれば良いと何度も自分に言い聞かせた。目をつむって、ゆっくりと深呼吸した。でも緊張は解けなかった。2人はしばらく黙っていたが、彩の様子が気になった木沼が声をかけようとした。

「中村兵、木沼兵、トライ島上空に到着しました。」

しかし、パイロットの報告によってその声はかき消された。

「……んだなあ。彩ちゃん。行こうぜ。銃、持ったか?」

「うん……」

彩はいつも訓練で使っている愛用の銃を胸にぎゅっと抱えた。

「飛び降りる準備は良いですか?」

「はい。お願いします。」

「んだなあ。彩ちゃんもおらもロープはしっかりついてる。……行くぜ。」

彩は木沼の方を向いて頷いた。そして二人は飛び降りた。地上では数百人ものデュエラー達が剣を振るい、銃を放ち、殺し合いをしていた。ガチャガチャとうるさい音がする。悲鳴も聞こえる。彩と木沼以外の兵士達も次々と他の政府軍ヘリから降りてきた。その様子に気づいたデュエラー達は政府軍だ!と叫んでいた。逃げるもの、無視しているもの、政府軍を殺そうとこちらへ向かってくるもの。地上に着いた二人はこの部隊の隊長であるハルカ少将(彩のお母さん)を探した。

「良い?みんな。スピードで攻めるわよ。ついてきて!」

ハルカ少将はパートナーであるルリイ(クロモンベニオウサマムカシタマムシの種)と共に先陣を切った。

千弁万花(せんべんばんか)!!」

彼女は早速、花吹雪でデュエラー達を吹き飛ばした。ハルカのスキルは紅蓮桜(ぐれんざくら)。桜の花びらを花吹雪として放つことが出来る。彼女の広範囲攻撃は政府軍の中でも高い評価を受けていた。彩と木沼は突撃舞台が進行しているうちに、森林に身を潜めた。そして姿を見られないようにデュエラー達の頭を撃ち抜いていく。彩も木沼も正直こんなことはしたくない。その証拠に、手が少し震えていた。でも、これも平和のため、任務のためと自分に言い聞かせた。森の中で、しばらく身を潜めていた2人だが、しばらくすると、指示が変わり、もっと広い場所に出て戦うことになった。走り出す彩と木沼。2人が森林から出たその時だった。

「かわい子ちゃんはこんなとこにいちゃダメだよォ。」

身長3mはゆうに超える大男が立っていた。どうやら待ち伏せされていたようだった。男は巨大な剣を彩に向けて振り回した。

「彩ちゃん!」

彩は腰に装備していた剣を取り出そうとしたが、恐怖で体が動かなかった。訓練の時はどんなに相手の剣が速くても受け止められたのに、ちっとも怖くなかったのに、いざこういう状況になって、動かない自分の体にさらに恐怖を感じた。自分は、死ぬんだ、と。目を瞑った彩だったが

「ダメーーー!!!」

ズシャアッッッ!!

「え?」

肉を剣でえぐられ、血だらけになったハルカが彩の前に倒れてきた。


「(え?




え?



え?



何?おかあ、さん?どういうこと?)」


彩は目の前で起きた事実を事実として認識していなかった。でも、目の前にある屍の匂いと体温が嫌でもそれを分からせた。


ハルカは死んだ。


殺されそうになった自分をかばって、ハルカが、お母さんが、愛した家族の一人が、

今、目の前で死んだ。

ハルカを斬った大男は木沼によって追い払われたが、彩はガクガクと震えるだけで、何も出来なかった。


そして遂に彩の心は爆発した。


「うあああああああああああぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛(お母さん!!!お母さん!お母さん!)」



挿絵(By みてみん)






そう心の中で言い続けた。顔は涙の海に沈んだ。木沼にハルカごと運ばれているのにも気づかなかったほどにスパークする感情のマイナスが彼女を支配した。木沼は彩に何か言葉をかけていたが、彩には何も聞こえなかった。


やがてこの争いはディエス中将らの活躍によって政府軍がふたつの勢力を島から追い出し、終焉を迎えた。支部署に帰ったディエスが最初に耳にした報告はハルカの死であった。


「どういうことだ!?木沼!?」

「襲いかかってきた大男から彩ちゃんをかばってハルカ少将が斬られたんです。」

「そんな、そんな……そんなああー!!!!バカな!ハルカが死ぬはずがない!きっとまだ助かる!」


ディエスはハルカが運ばれた病院に駆けつけ、何度も手を握っては呼びかけたが、ハルカはもう骸と化していた。


ハルカは死亡が確認された。ハルカの体は臓器移植のために使われることとなった。




一か月後、ハルカ少将の葬式が行われた。ディエスも彩も泣き出していた。

ディエスは思った。


「(なぜハルカが死ぬんだ。何故だ何故だ。いや、彩があそこにいたから?)」

「お父さん、ごめんなさい。私のせいで、お母さんが……」

「彩……」

泣きながら父親にしがみついて叫ぶ彩にディエスは静かに呼びかけた。

「お前のせいでハルカは死んだんだ!お前なんきゃいなけりゃ良かったんだ!!!お前なんか、俺の娘じゃねえ!!!今すぐここを出てけ!出てけ!」

彩はつき離された。彩は言われたことが頭の中で駆け巡っていた。

「おい!彩ちゃんは何も悪くないn」

「黙れ!」

反論しようとした木沼はディエスに突き飛ばされた。

「早く出てけ!撃つぞ!」

ディエスは銃を彩に向けた。彩は怖くなって大声で泣きながら走った。


「(なんで、なんでよ。なんで?私が死ぬ運命だったのに……。私が生きてたって、何もいいことないよ!なんで?なんで私はこんなにこんなに嫌な気分なの?お父さんはなんで変わっちゃったの?私のせいなの?私が、私が、出来損ないだから?ねえ、どうして、お父さん。)」


最後に見た姿が本当に父なのか分からなくなるほどに彩の精神はズタボロだった。


「(お父さんとお母さんがいたから私が産まれたんじゃないの?なんでみんな離れ離れなの?私が、私が、私が出来損ないだから?こんな人生を生きるはずじゃなかったのに。きっともっと幸せになるはずなのに、助けて、お母さん。木沼くん。タンチョウさん。ねえねえねえ)」


彩は自分が何をすればいいのか分からなくなった。いっそこのまま走り続けて力尽きるまで涙を流そうか?その方が楽になるのか?そんな嫌なことばかりが頭に浮かんでくる。何時間も、何日も走り続けるうちに、彩の体は悲鳴をあげ始めて、彩は口から血を吐いた。そしてそのまま倒れ込んだ。どこかも分からない道の上で。


~数日後~

「?」

イライは地質調査のために訪れた場所で倒れた少女を見つけた。

「随分と小さい子だ……」

軍服を着ていて、血を吹いたあとがある。

「頼む。まだ死ぬなよ。おれが助けてやるからな。」

イライはパートナーであるバラダギサンジンに少女を担がせ、ひとまず自分の街へ帰って医者に見せることにした。


~ビラーク島~

「軽い栄養失調と疲労、貧血の症状が見られます。ですが命に別状はありません。」

「そうか。良かった。なら、彼女が着ていた軍服をくれ。」

「はい。ここにあります。」

「(兵士No.6692か)」

イライは病院に置いてある電話に政府軍の電話番号を入力し、ダイヤルした。

「はい。ディエスです。」

「私はビラーク島という場所で警察をしているイライという者です。頼みたいことがあります。」

「はい。」

「兵士No.6692の少女が今病院にいます。意識が戻って、体調が回復したら、引き取って欲しいんです。」

「申し訳ありません。その要望は承れません。」

「何故ですか?」

「その兵士はもう兵士失格の命を出されました。そのうえ絶縁も受けた兵士なので、引き取れません。では」

「おい!ちょっと待て!」

ブツん!ツーツーツー

「あっ、そんな。どういうことだ?」

点滴を射たれながら寝ている少女のベッドの横にある椅子に座ってイライは呟いた。

「辛かったんだろうな……」


イライは少女の頭をそっと撫でてやった。何が起こったかを分かっていなくとも人間は相手がどんな心情なのか大方察することが出来るものだ。


次の日の朝は風があって、外の木々は強く揺れた。でも、病院の中からだと外の音は聞こえない。イライは静寂の中目を瞑っていた。

「ここは、どこ?」

小さな声がしてハッと目を見開いた。イライに気づいた少女は布団を顔に寄せて怯えていた。

「ここは病院だよ。俺の名前はイライ。こいつはバラダギサンジン。君はこの病院の近くの道で倒れていたんだ。」

「わ、私は中村彩……です。」

「彩か。いい名前だな。良かった。名前が分かるととても助かるからな。」

彩は頷いた後、窓の外を見た。

「色々な事情が重なって、君が回復したら俺の家で住むことになると思う。君の家に帰れないのを許してくれ。」

「え。」

その後、彩はイライに自分の軌跡を話した。木沼のこと。タンチョウのこと。ハルカの死。ディエスの変貌。イライは彩が平静を装っていることが分かった。こんなに辛いことが15歳の少女に起こって冷静でいられるはずがない。悲しみを飲み込んで欲しくなかった。だから話を聴き終わったイライは彩を抱きしめた。

「これからは辛い思いなんて少しもさせない。俺が守るから。大丈夫だ。」

「うっ……あぁ……。」

「ううっ……。」

彩は泣いていた。イライも泣いていた。こんな少女がどれだけ辛かったか、考えただけでも十分伝わる。悲しみは分かち合う。二人はそんなことを学んだ。そしてそれらは現在まで繋がる。


作者「賢の質問コーナー!!!」

賢「こんにちは」

作者「身長」

賢「155cm」

作者「体重」

賢「これ知って喜ぶ人います?」

作者「早く言って」

賢「43kg」

作者「好きな食べ物」

賢「納豆!」

作者「好きな飲み物」

賢「炭酸水!」

作者「……素ナトリウム?」

賢「ふざけないでくださいよ」

作者「ごめんごめん。さ!また会いましょう!さようなら!」


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