第94話 歓迎会の酔っぱらい達
俺達は、カノンさんの歓迎会を行っていた。
その流れで、俺とクレッタは酒を飲むことになったのだ。
それにより、俺達は少し参ってしまったが、カノンさんは平気そうにしている。
「うん、おいしい……」
カノンさんは、グラスに入った酒をすぐに飲み切ってしまった。
そして、グラスに酒を注いでいく。このペースは流石だが、これで大丈夫なのだろうか。
「うん、うまい……」
カノンさんは、すぐに二杯目を飲み干してしまった。
それにより、新たな酒をグラスに注いでいく。このペースはまずいかもしれない。
「カノンさん、大丈夫ですか? 少し、飲み過ぎなのでは……」
「え?」
そんなカノンさんに、ファラエスが注意した。
それに対して、カノンさんは首を傾げる。自身の状態を理解できていないようだ。
これは、本当にまずいかもしれない。
「……ふむ」
「……うん? カノンさん? どこを見ているんですか?」
カノンさんは特に返答することもなく、ファラエスを見つめていた。
その視線は、ファラエスの胸元に向いている。
「本当に、大きいわね……」
「え? カノンさん、何を言っているんですか?」
「いや、前から思っていたけど、ファラエスのおっぱい、大きいなあって……」
「は?」
カノンさんは立ち上がり、椅子を動かし、俺の側まで来る。
その動きは、少し怪しいように思えてしまう。もしかして、かなり酔っているのではないだろうか。
「スレイド君も、そう思うよね?」
「え? あ、いや……」
「揉みたい?」
「え?」
カノンさんは俺の肩に手を乗せて、そう言ってきた。
とても答えにくい質問である。もちろん、答えは一つだが、それを口に出していいのだろうか。
ただ、答えないとカノンさんにずっと絡まれる気もする。
「カノンさん、そりゃあ、揉みたいに決まっていますよ」
「は?」
俺が悩んでいると、クレッタがそんなことを言い始めた。
なんだか、少し顔も赤い。こちらも、酔っているようだ。
「え? そうなの?」
「はい。だって、スレイドさん、よく抱き枕になっていますから……」
「抱き枕?」
「そうです。私達、皆一緒に寝ているんですけど、その時、お嬢様の抱き枕に、スレイドさんはよくなるんです」
「へえー、一緒に寝ているんだ……」
クレッタの言葉に、カノンさんはにやにやし始めた。
何かを企んでいるような、そんな笑みだ。
「クレッタ、ちょっと待って……」
「それに、朝起きた時には、スレイドさん、お嬢様のおっぱいに顔を埋めているんですよ」
「なるほどね……」
ファラエスが止めようとしたが、酔っぱらい二人は止まらない。
なんとも質の悪い酔い方だ。
「あ、この間は一緒にお風呂にも入っていました」
「そうなんだ。それなら、スレイド君も色々と我慢しているのね……」
「はい。それなのに、お嬢様は揉ませてあげていないんですよ」
「なるほど……」
クレッタのよくわからない言葉に、カノンさんはさらに笑う。
なんとも、邪悪な笑みだ。
一方、クレッタは楽しそうにしている。完全に酔っているようだ。
「さて……」
「え?」
そこで、カノンさんは立ち上がった。
そして、ゆっくりとファラエスの側に移動する。
「カノンさん? なんのようですか?」
「そういえば、まだファラエスの成長を、この手で確かめてないと思ってね」
「な、何をするつもりなんです?」
困惑するファラエスを気にすることもなく、カノンさんは近づいていく。
流石に、ファラエスも警戒しているようだ。
「ほい」
「え?」
カノンさんは、ファラエスの後ろに回った。
さらに、カノンさんは、ファラエスの背中を擦る。
「うわあっ!? 何をするんですか!?」
「へへへ、ほい、スレイド君、プレゼント!」
その瞬間、ファラエスが大きな声をあげた。
俺が疑問に思っていると、カノンさんがあるものを投げてくる。
それは、俺の頭に被さっていく。
「これは……」
「あっ! スレイド、待って!」
「え?」
俺はその物体を手に取ろうとする。
「スレイド、駄目よ!」
するとその前に、その物体をソーナが俺の手から取り上げた。
一体、なんなのだろうか。
「ソーナ、ありがとう」
「い、いえ……」
ファラエスは、自身の胸を両手で隠すようにしながら、ソーナにお礼を言っていた。
その様子で、俺もやっと理解する。
カノンさんは、俺にファラエスの下着を投げつけてきたのだ。
恐らく、背中を擦って外して、服の中から取り出したのだろう。俺が色々と考えている内に、そんなことをしていたとは驚きだ。
「カノンさん、なんてことをするんですか?」
「ファラエス、油断し過ぎよ?」
「いや、まさか、カノンさんがこんなことをしてくるなんて、思わないじゃないですか!」
どうやら、ファラエスは相手がカノンさんであるため、油断していたらしい。
それでも、カノンさんの手口は見事といえるだろう。まるで、手品師のようだ。
「さて、それより、ボディチェックよ、ファラエス……」
「ボ、ボディチェックって……」
「ふん!」
「あっ!」
しかし、カノンさんはそんなことも気にせず、ファラエスの服の中に手を入れていく。
ファラエスは、それに抵抗しようと身を動かしたが、カノンさんは振りほどけない。恐らく、相手がカノンさんなので、ファラエスに遠慮があるのだろう。
というか、先程から、ファラエスがされるがままになっているのは、それが理由な気がする。本来なら、この程度は簡単に制圧できるはずだ。
「うおっ! 柔らかい……」
「ちょ……」
「こんなものを押し付けていたなんて、ファラエスも罪な女ね……」
カノンさんは、ファラエスの胸を揉んでいた。
服で中は見えないが、その様子は俺からもわかる。
「な、なんで、こんな……」
「だって、生で揉まないと意味ないし……」
「いや、カノンさん!」
「そんなこと言わないで……」
「あっ……」
カノンさんは、尚もファラエスの胸を揉み続けた。
その様子に、俺の気持ちも少し昂ってしまう。この光景は、中々に刺激が強い。
胸を揉まれているファラエスの顔は赤く染まっており、それがなんだかとても色っぽくて、俺の鼓動は高まっていく。
「何……」
その時、俺の視界が塞がれる。
「スレイド、見たら駄目よ」
「なっ……」
俺の目を塞いだのは、ソーナだった。
どうやら、俺にあの光景を見せたくないらしい。
なんということだ。そんなことは許されることではない。
「ソーナ、離してくれ。見えないじゃないか」
「何を言っているの? いつものあなたなら、ああいうのからは目を逸らすじゃない……」
「そうか?」
「……あなたも酔っているみたいね」
何やら、ソーナが俺を酔っていると言ってきた。
いや、そんなはずはない。あまり飲んでいないのだから、酔っていないはずだ。
「ソーナちゃん、駄目じゃない。そんなことしたら、スレイド君が可哀そうよ」
「カ、カノンさん……」
「ソーナちゃん、ちゃんとスレイド君の心を考えれば、自分がどうするべきかわかるはずよ……
」
「うっ……」
だが、カノンさんの言葉で、ソーナも手を離してくれた。
尊敬する人の尊敬している人なので、こちらも弱いのだろう。
何はともあれ、これでファラエスの姿が見えるのだ。俺としては、何も問題無い。
「ほら、ファラエス……スレイド君が見てくれているわよ」
「うっ……」
ファラエスは顔を赤くしながら、こちらを見つめてくる。
その表情に、俺はまたも昂りを覚えてしまう。
もしかして、酔っているのだろうか。いや、今はそんなことはどうでもいいはずだ、
そんな感じで、カノンさんの歓迎会は進行していくのだった。




