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最強の剣士は、世界の低すぎるレベルに失望し、異世界へ転生しました。  作者: 木山楽斗


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第65話 メイドからのからかい

 俺は、ファラエスとの買い物を終えて、家に帰って来ていた。


「お二人とも……その腕はなんですか!?」


 そこで、ファラエスと一緒に、クレッタに絡まれている。


 俺とファラエスは、カップル限定のぬいぐるみを買いに行ったのだが、そのために腕を組んでいたのだ。

 色々あって、帰り道もそうしていたので、出迎えてくれたクレッタにこう言われた訳である。

 なんというか、とても恥ずかしい。


「しまったね……腕を組んだままだった」

「ああ、クレッタに会う前には、離しておくべきだったな……」


 俺とファラエスの困惑している様子に、クレッタはにやにやしている。

 なんだか、とても楽しそうだ。


 考えてみれば、腕を組んで帰ってくれば、こうなるのは当然だった。

 もっと早く気づき、ファラエスと離れておくべきだっただろう。


「お二人とも? どうしたんですか? その腕は?」

「仕方ない……事情を説明しようか」

「ああ、そうだな」


 俺とファラエスは、クレッタに事情を話すことにした。

 これ以上、隠しておくのも無理だろう。

 また詰められることになるが、それも仕方ない。


「実は、カップル限定のぬいぐるみ販売があって……」

「それを手に入れるために、カップルのふりをしていた訳だ」

「ほほう。それは、中々楽しそうなことをしていたんですねえ」


 俺達の説明に、クレッタはさらににやにやする。


「つまり、私の聞いた通り、実質的にはデートだったということですか?」

「……まあ、そうともいえなくもないね」

「ああ、いえなくもないな……」

「ふふふ、いいですねえ」


 今日のクレッタからは、中々逃れられなさそうだ。

 なんだか、流すこともできない。


「……というか、お二人とも、ずっと腕を組んだままですね……」

「え?」

「何?」


 そこで、クレッタがそんなことを言ってきた。

 確かに、俺とファラエスは腕を組んだままである。

 話に夢中で、離すタイミングを失っていたのだ。


「ファラエス……離すか?」

「ああ、そうだね」


 俺の言葉を受けて、ファラエスが腕を離していく。

 少し名残惜しいが、これも仕方ない。


「お二人とも、いい雰囲気だったんですね。いいことです」

「い、いや、そういう訳ではないよ。そうだよね、スレイド」

「あ、ああ……」


 クレッタに言われたことに、俺達は動揺する。

 なぜなら、クレッタの言う通り、なんとなく腕を離しづらい雰囲気になっていたのだ。

 そのため、反論しにくいのである。


「ほ、ほら、カップルの演技をしていたから、そうなっていただけだよ」

「ああ、無意識という奴だな……」

「なるほど、自然にそうなったという訳ですか……」


 ファラエスの放った言い訳に、クレッタは頷いた。

 それはそれで、恥ずかしいものではある。


「……でも、スレイドさん、本当に意識していなかったんですか?」

「何?」

「だって、お嬢様の胸が当たって、夢心地だった訳ですよね? それで、気づかなかったとは、少し考えづらくないですか?」

「い、いや……」


 そこで、クレッタが謎の審問をしてきた。

 その質問は、正直厳しい。


「そういう訳ではない……」


 なぜなら、ファラエスの胸はずっと意識していたからだ。

 そもそも、空気的に体を離せなかっただけで、ファラエスの温かさはずっとわかっていた。つまり、その感触も楽しんでいたのだ。


「本当ですか? スレイドさんは、お嬢様の胸が大好きですから、楽しんでいたんじゃないんですか?」

「いや、違うんだ。本当に、意識していなかったんだ」


 クレッタの追撃に、俺は嘘をついた。

 すると、何故かファラエスの表情が変わる。


「……意識されていなかったと言われると、それはそれで悲しいね……」

「え?」

「なんだか、スレイドが私のことをなんとも思っていないようで……」


 どうやら、ファラエスは、俺が意識していなかったことを悲しんでいるようだ。

 確かに、意識していなかったというのは失礼な気がする。


「スレイドさん、どうなんですか?」


 クレッタも、少し口調を変えてきた。

 それは、少し焦っているような感じだ。


 恐らく、冗談のつもりで言っていたことで、ファラエスが悲しんだことに焦ったのだろう。

 もちろん、俺もすぐに訂正しようと思った。このまま、ファラエスに悲しまれるのは、嫌だ。


「ファラエス、意識していなかったというのは嘘だ。ずっと、意識はしていた。それを口に出せなかったのは、空気的にあれだったからだ……」

「やっぱり、スレイドも言い出せなかっただけなんだね」

「ああ、だから、その……ファラエスの胸を楽しんでいた」


 そのため、俺は素直な気持ちを言い放った。

 少し恥ずかしいし、言わなくていいことも言ってしまった気がするが、これでファラエスが悲しまないなら、それでいいのだ。


「……これは、これで、恥ずかしいものだね……」


 俺の言葉に、ファラエスはそう返してきた。

 その表情は恥ずかしそうだが、嬉しそうでもある。

 それなら、俺も言った甲斐があるというものだ。


「……すみません。思わず、お二人をからかってしまいました」

「クレッタ?」

「お嬢様を、こんな風に悲しませるようなつもりはなかったんです……本当にすみませんでした」


 そこで、クレッタは謝ってきた。

 それは、ファラエスを悲しませたからとういう理由であるようだ。


 恐らく、恥ずかしがる姿を見たかったはずが、そういう風な感情を抱かせてしまったことに、責任を感じているのだろう。

 それにしても、こんなに落ち込むとは驚きである。やはり、主人の立場にあるファラエスを悲しませるのは、駄目なのだろうか。


「クレッタ、大丈夫。私が、勝手に悲しんだだけだよ。クレッタは、悪くないよ」

「お嬢様……」


 そんなクレッタに、ファラエスは優しく語りかけた。

 ファラエスも、自身が雰囲気を暗くしてしまったことに、責任を感じているように見える。


「そうだな、そんなに反省する必要はないさ」

「スレイドさん……」

「俺も、素直に言っておけばよかったし、誰の責任でもないさ」

「スレイドの言う通りだね」


 そこで、俺もクレッタに声をかけた。

 このまま、クレッタが落ち込んでしまうのは、良くないことだろう。


 元々、クレッタがからかってくるのは、じゃれ合いのようなものでしかないのだ。

 俺もファラエスも、本当は嫌という訳ではないのである。

 そのため、これでクレッタに自粛などはしないで欲しいのだ。


 だから、クレッタには元気を出して欲しい。


「……そうですね。あまり、落ち込み過ぎるのも駄目ですね」


 俺とファラエスの言葉に、クレッタは元気を取り戻してくれたようだ。


「さて、お二人のデート疑惑は置いておいて、これから、どうするんですか?」


 クレッタはからかい混じりに、そう聞いてきた。

 この方が、クレッタらしいものである。


「俺は、セリアと修行の約束をしているから、午後からは拠点に向かうことにするよ」

「私も、仕事があるから、拠点に向かうことにしよう」


 俺は、午後からはセリアと修行をすることを約束していた。

 そのため、騎士団の拠点に向かわなければならない。


 そして、どうやら、ファラエスも拠点に向かうようだ。

 騎士団隊長の仕事とは、やはり大変そうである。


「そうですか。それなら、昼食はどうしますか?」

「今日は、食べてから行くよ」

「ああ、俺もそうしたいな」

「わかりました。昼食、楽しみにしておいてくださいね」


 昼までは少し時間があるが、俺もファラエスも家で昼食をとることにする。

 今日はしばらく、クレッタの側にいた方がいいと思ったからだ。


 こうして、俺とファラエスはしばらく家に留まるのだった。

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