朝起きて最初に
おれは、30歳独身の男子。勤めに出ている。
「ん?」
なにやら、うるさい。
「うるさいぞ、いい気持ちで寝てるのに。誰だ?耳元で、鉦をぶち鳴らしているやつは?」
うるさい、うるさいっ、うるさいいいいいーっ
「えーい、目が覚めた。誰だ?うるさくしたのは…、と、目覚まし、か」
気分最悪。なんかこう、いい夢を見ていた感じがするのに!
「ん?」
あそこがなにやら、おかしな感じ。
「なんだ?なんだ?おれのあそこ、とうとうやられてしまったか?」
やられたわりには、あそこはなにやら充満してる。
「なんだ?この充実というか、なにかが充満してる感じは」
あ。
「うわあああーっ?これは、小便、だあああーっ!」
おれは、ベッドから勢いよく上半身を起こした。
「うああああー!漏れる漏れる。漏れるうううーっ!」
脱兎のごとく飛び出そうとして、ふとんをめくった。
「わっ?さむーっ!」
夏ならば、そのまま脱兎のごとく駆け出せばいい。
しかし、いまは冬真っただ中。おれのパジャマの上半身、下半身が、一気に冷え冷え。
「羽織るもの、羽織るもの」
こんなこともあろうかと備えは、してる。ジャンパーを壁に掛けてあった。
急いでそのジャンパーを羽織に、行く。
「うああああ--っ!漏れる!漏れる!漏れるうううーーっ!」
いまにもおれのあそこから、小便があふれ出てきそうだ。
何とか、ジャンパーを羽織ることに成功した。
「そら行け!トイレに、まっしぐら!」
おれは、やおら部屋を飛び出した。
部屋からトイレまでの距離は、わりと短い。廊下を歩いて5,6歩で、トイレの入口に到達する。ましてやいまおれは、疾走している。2,3歩で、トイレの入口へ。
しかし、その2,3歩がもどかしい。
「うあああああーっ!漏れる漏れる漏れるうううううーーーーっ!」
トイレのドアを、開いた。
中に突っ込んだ。
男子が洋式便器に小便をするには、便器に向かって立ちあそこを差し出せばよい。
しかし。
便器のふたと便座を一緒くたに持ち上げようとして、おれは、はっとした。
「そうだ。クソ親が言ってたな?立ってするな。そこらじゅう小便でぐちゃぐちゃになる。座ってしろと。しかたねえー!」
おれは、便器のふただけ持ち上げた。
そして便器に背を向け、女子がするように、パジャマの下と中のパンツを同時に一気降ろし。
「わっ!さむうううっ!」
おれは、いきおいよく尻をその便座の上に降ろした。