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べんき、とは
べんき、とは、なにか。
べんきとは、便器、のことだ。
このべんきの上で、人は、苦しみ、悶え、あるいは大きな喜びを感じ、あるいは非常な幸せを思う。
べんきは、食卓と並ぶ、日常生活の主舞台である。
しかし、そこはくさい。
くさいがゆえに、話題にするのもはばかれる。
そのため、この場所を「はばかり」と呼ぶこともある。
だが臭いからと言って、ふたをしておしまい、というわけにいかない。
少なくとも、この上で人は生活時間の一部を過ごすからだ。人によっては、食卓に向き合う時間よりも長くなる。
これは、べんきの上で今日も過ごしている、とある男子の苦痛と快感と歓喜と絶望の物語である。