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陰から光に

大蛇の死闘から数日が経過し、明るい青空の下に1台の車が車道を走っている。


窓を全開にして、顔面に風を当てている勇人は運転している読夜に話しかける。



「結局、倒しきることができなくて、封印しましたね」



あの後、篠原を連れて現世に戻り、そのまま警察に連行された。


そして、倒しきれなかった大蛇は再び壺の中に再封印された。


奈津美は無事に家の布団に戻り、眠っていた。



「大蛇の魂は地獄に持っていけなかったですね」


「それ言わないで、キメ台詞だったから、少し恥ずかしいから」



勇人の言葉に読夜の耳が少し赤くなっている。


地獄に持っていくと言いながら壺に封印することしかできなかったのだから。



「けど、どうして倒しきることができなかったのだろう?」


「祟り神でも神様だ。昔からの大蛇だし、鬼術師の先輩たちが倒せなかったんだ。私たちが倒せなくても仕方ないよ」



自分を正当化するように言い聞かせるように読夜は発言する。


勇人はそんな師匠をちらりと見ると興味がなさそうに再び窓に顔を向けると、小学校が見えてくる。


車を道の脇に停車すると制服に着替えた勇人がランドセルを背負って車から降りる。



「じゃ、行ってくる」


「ああ、気をつけろよ」



勇人は読夜に軽く手を振ると欠伸を交えながら学校に向けて歩き出そうとすると、



「勇人」



読夜は車から降りて、勇人に近寄ってくる。



「勇人、髪整えろよ」


「うん」



読夜は手櫛で勇人の寝癖を整える。勇人はされるがままだが表情は緩やかだ。


髪型を整えると満足したのか車に戻りそのまま出発してしまう。


残された勇人は小学校に向かう道に目を向けると2人の小学生の少女が見えた。そのうち1人は小さな鏡が付いたネックレスをしている。



「勇人って子、確かお化け太郎よ」


「お…お化け太郎」



1人の女の子が隣にいるネックレスの女の子に耳打ちをする。勇人は耳打ちされた女の子を見ても特に動揺をすることがない。



「ずっと笑わない子で、あんな風に無表情で無関心だからいじめていた子も気味悪がってぼっちな子だよ」



勇人の耳にも女の子の話声は聞こえているが特に気にすることもなく、2人の隣を通り過ぎる。


ネックレスの女の子は勇人のことに関して引っかかっているような、何かを思い出そうとしている。


勇人はその子と話すことはないそんな雰囲気を出している。


ふと、勇人の前方から1人の暗い雰囲気を出している青年がふらつくように歩いてくる。



「はぁ~、毎日が嫌になるな。小説みたいに、死んで異世界行ってハーレム作りたいな」



人生がうまくいっていないのだろうか全身から絶望を醸し出し、声を出すと同時に暗黒な空気を吐き出している。


勇人と青年はすれ違うと勇人は振り向くき、



「あまりそんな考え方しないほうがいいよ。悪霊になると退治しないといけないから」



少年の呟きは青年の耳に届くことはなかった。


そしてまた、鬼術師は闇を倒すため現世から異界に移る。





「勇人って子、やっぱりどこかで会った気がするんだよね」



無意識にぼそりと呟いてしまった。とっさに、周りを見てみたがこちらに気づくことなく、みんなは思い思いに先生が来るのを待っている。


胸にかけているネックレスを触る。小さい鏡がついているだけの無機質なネックレスだが握っているだけでも心が落ち着く。


そして、朝会った勇人の顔を思い出すと



「どうしたの顔真っ赤だよ。風邪?」



友達が私の顔を覗き見ている。



「違う違う。大丈夫だよ」



慌てて、否定すると友達は私の持っているネックレスに興味を示す。



「どうしたそれ?かわいいね」


「うん、いいでしょ」



ネックレスを褒められるとなんだかうれしくなる。これを持っている記憶なんてないのに



「ね、それどこで買ったの?」


「え、え…えっと、ごめんね。貰いものだからどこで売っているのか知らないの」


「そうなんだ。残念だな」



先生が教室に入ってきて、授業が始まる。


そういえば、いつこれ貰ったんだっけ、記憶に霧がかったように思い出すことができない。


退屈な授業だ、ゆっくり思い出そう。


貰った日は…そう夏休みの初日、太陽がさんさんと輝く日だった。


私は授業を始めている先生から青空を見上げて、ゆっくりと思い出していく。


あの事件を……





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