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百人一首恋物語  作者: waltz
5/7

第5首 修学旅行と大阪の歌

和美・歌衣・楓は、修学旅行で京都・奈良・大阪に訪れることになった。今日は、旅行の班決め。この三人は、同じ班で行動することにした。

和「さぁ、修学旅行のルート決めんで!」

歌「張り切りすぎて倒れんなや?」

楓「楽しみにしてたからなぁ!」

そう言って、和美は学校から配られたガイドブックを開く。

和「さぁ、最初は奈良やで。どこ行きたい?」

楓「東大寺で鹿さんにエサあげたいなぁ。」

歌「俺はこの前ばあちゃんちに行ったばかりやからなぁ・・・、どこでもええで。」

和「そんなら、歌衣のおばあちゃんの家にも寄ってみるか?」

歌「そんなことせんでええわ!」

楓「ええやん!どうせいつかは挨拶しに行くんやろ?」

和「な、何言うとるん!?そんなことあるわけ・・・!」

歌「それに、もしあるとしても、男が彼女の家に出向くのが普通やろ。」

楓「そんなんどうでもええやん!行こうや~!」

和「そういえば、歌衣のおばあちゃんと会ったことない気がする。」

楓「せやろ!よし、決まりや!」

歌「でも、『俺の家』なんて目的地に書けんやろ。」

楓「そうやな・・・。仕方ない、次にするか。」

歌(ふぅ、助かったわ・・・。)「そ、そんなら、次は京都やろ。どこ行くん?」

和「そうやな・・・。金閣・銀閣とか、清水寺とか。」

楓「京都と言えば、百人一首にも京都を題材にした歌が沢山あるんとちゃう?聖地巡礼とかしたくないん?」

和「う~ん、そうやな。天橋立*なんかも、詠まれとるけど。」

歌「俺は、京都の歌より大阪の歌の方が好きやけどな。蝉丸とか。」

和「あぁ、『これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも あふ坂の関』ってやつやな。」

和「でも、うちは三条さん*の歌が好きやけどな。」

歌「『名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな』か。でも、これは大阪で詠まれた歌とは違うかもしれへんな。」

和「そやなぁ、ただ比喩として出してるだけやし。」

楓「あかん、そんなこと言うてたら授業時間終わってもうた!また、明日続き考えよ!」


楓(それにしても、歌衣も鈍感やな。さっきの三条右大臣の歌、恋の歌やろ。何で自分に向けられたかも、なんて考えんのやろ。)

和(さっきのうちの歌、恋の歌やったんやけどなぁ。ちょっとぐらいドキッとしたりせぇへんの・・・?)

歌(焦ったわ・・・。さっきの歌、恋の歌やんけ。俺に向けられたのかと思ってもうたわ。本当、こっちの気持ちには全然気づいてへんのやな・・・。)






*天橋立:小式部内侍『大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず 天の橋立』

*三条さん:三条右大臣のこと。後に出てくる和歌の作者。


※和歌の解釈

『これやこの・・・』:これがあの有名な、(東国へ)下って行く人も都へ帰る人も、ここで別れてはまたここで会い、知っている人も知らない人も、またここで出会うという逢坂の関なのだなあ。

『名にし負はば・・・』:逢坂山、さねかずらが、その名に違わぬのであれば、逢坂山のさねかずらを手繰り寄せるように、あなたのもとにいく方法を知りたいものです。

(逢坂山には「逢う」、さねかずらには『さ寝』の掛詞が用いられている。

さ寝』とは、共寝するということ。)

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