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一人百物語 2

場外

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


弟の友人の高橋君の話。

ある夏の日、高橋君は友人たちと遊園地のお化け屋敷に入った。

とはいっても当時すでにみな二十歳を過ぎた野郎どもばかりで、

「女の子の一人もいたらいいのに」

などとふざけながら入って行った。お化け屋敷の中の出し物は、小学生なら怖がる程度のものだった。

まぁこの歳にもなればこんなの怖くもなんともないよな、などと笑っていると

「でも、さらし首のとこは気持ち悪かったよな。あれ、すっごくよく出来てて」

と高橋君は言った。

「え?」

「ほら、最後あたりのやつ。建物の中じゃなくて外になっててさ。木の台の上にすっげーリアルな生首がひとつだけ置いてあったやつ。生魚みたいなにおいまでさせてさぁ」

「……建物の外?生首?」

高橋君以外の者は互いに顔を見合わせ、首を傾げた。

高橋君が言うには、お化け屋敷の最後あたりに、展示場が建物の中ではなく一部が外になっているところがあり、そこは雑草がボサボサと生えている荒れた空き地の様なところで、古ぼけた木の台の上にやけにリアルな坊主頭の生首が置いてあったという。

さらし台の周りは他の展示場の様に柵などで囲われてはおらず、ただそのままポンと生首を乗せた古びた木の台が土の地面の上に置いてあり、すぐそばまで近寄って見る事が出来た。

薄目を開け、口をへの字に結んだ表情も、生首全体の作りも、首の切り口もやたらリアルで、更に周りには気分の悪くなる様なにおいまで漂っていた。

高橋君は生首に触ってみたかったが、においがついてはいやなので間近でしばらく眺めるだけにしたという。

が、他の者たちは、そんなところを通った覚えが無かった。

「あったっけ?そんなとこ?」

あったと言う高橋君も、覚えが無い他の者たちも、お互い狐につままれた様な顔になった。

好奇心に駆られた何人かがとりあえずは確かめよう、とまた入場料を払ってお化け屋敷に入ったが


建物の外にある展示物やリアルな生首は、見つける事はできなかった。






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