乱視
視力に関する話で、小説的なものです
自分は左の目の視力が極端に悪い。
右の目は非常に良く、視力は1.5以上もある。そこは良いところと言えるだろう。
ただ、左の目はと言うと視力は0.1未満というもので、非常に近くのものしか見ることはできず、遠くはと言うと全てボヤけて見えている。
右の目が非常に良いので大きく不便はしていないが、左側にあるものは少し見えずらい時があったりする。そういった点で言えば不便と言えるだろう。
ただ、この見えづらい、ボヤけて見えるというのはたまの自分にとっては安らぐものだった。
目の前にある現実に緊張する時、暗い未来を見据えるような思考に陥った時。
そういった時、私は左の目で世界を見た。
曇りガラスの向こうから世界を見ているような、現実と1枚、壁を隔てて自分が存在してるような、現実感が薄まり、ポリゴンの低いゲームをしているような感じになる。
そうなる時、私は緊張や憂鬱から脱却し、平静を取り戻す。
人はおらず、ただ動く塊が存在し、物体も何かのかたちをしているような、よく分からないものになる。
その目から見る世界は、もしかすると自分の本来居るべき世界で、普段から緊張や憂鬱に包まれるほど考える世界というのは、自分には向いていないのではないかとさえ思う。
しかし、その本来居るべき世界も、結局は右の目で見る現実の上に成り立つ世界で、故に真の意味での緊張、憂鬱からの脱却は無く、片目を閉じている異常者が居るのみだった。
街中で片目を閉じて外を眺めている人がいたら、それは僕かもしれません




