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60年ぶりに落ち人の間のホールに足を踏み入れた。

少し薄暗く少しひんやりしていて少し黴臭い。60年前もこうだったんだろうか。あまり昔過ぎて思い出せないかも。

アビゲイルさんのエスコートで前に進む。わたしも77歳になってしまったけど、まだ足腰は弱っていない。好きなことを好きなだけさせてもらって、この国が発展するところに居合わせられたことは幸せだった。

ダンジョンでスライムをこれでもかと倒したお陰とコピーアンドペーストとインターネットもがっつり毎日使ってきたせいもあってレベルが60を超えている。アビゲイルさんは70を超えている。それで思ったのだけど、レベルが高い人ほど長生きしている。

東西南北の公爵領で落ち人の記録を探すため過去の記録をたくさん調べて、レベル高い人長生きしている?記録は嘘つかないのであれば試してみるかと思ったので、身近な人にはどんどんレベルを上げるように伝えたところ、陛下もアーヴィンさんもレベル70ぐらいまで上げられ、実は今もご隠居されているけどお元気なのだ。100歳超えているのに、70歳ぐらいにしか見えない。勇者は75歳なのに40代しかみえないしね。それを知ったリリスさんも必死でレベル上げをしたのは懐かしい思い出だ。

国の人口が増えた一因でもあると思う。


そんなことを考えていると東西南北の公爵家の現当主が勢ぞろいする。あの時もそうだったんだろうか。騎士や護衛、お世話係の侍女さんも何人かいる。死にかけで落ちてくるから高齢者かもしれないという配慮だ。


落ち人の間が明るく輝く。

彼、彼女が落ちてきて二度目の人生幸せに過ごせるように、全力でサポートしよう。落ち人の間に前回の落ち人が居合わせるのは初めてだそうだ。60年長生きしないとダメだものね。どんな人が落ちてくるんだろうか。こっちの国があまりにも日本に似ている製品が多いことに驚くだろうか。漫画が最新刊まで揃っていることに喜んでくれる人なら嬉しいかな。春になったら満開の桜を一緒に見に行こうか。

余命わずかな絶望の日から第二の人生幸せで暮らせますように。


過去の記録を調べてわかったことは、落ちてくる人はだいたい地球と日本と家族と縁の薄い人が多い。そんな人はびっくりするだろう。こっちの世界でどれだけ受け入れてもらえるのか。こっちに落ちてくる人はこっちの世界と相性がいいんだよね。それに家族や友達と離れてひとりでこの世界に落ちてくる人をほっとけないとみんなあなたを待っている。


光の中でふわふわと人の輪郭が現れる。

60年ぶりの落ち人だ。

みんな息を飲む。

落ち人の間のホールに歓声があがる。

ようこそ、エルダリス王国へ、あなたを歓迎いたします。




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