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60年の間にアーヴィンさんをはじめ、世代交代は進み、今はオリバーさんの息子のアベル君の息子がご当主さんだ。あの小さかったアベル君が65歳だものね。60年ってあっという間だけど時間は過ぎている。

王都の落ち人様研究所も立派になったし、王都と公爵領の落ち人様図書館は日本語の本がぎっしりだ。農業や林業、漁業、工業などの実用書が充実している。地球の歴史の本も多い。過去に学びたいと思う気持ちは同じなのかもしれない。小説も増えていっている。詩集や文学も読む人は多い。子どものための絵本、日本の文化の漫画も誰でも読めるように開架されている。どんどん新刊も増やされているから、心待ちにしている人も多いし、わざわざこの図書館に本を読みにくる人も多い。そう漫画が読みたくて貴族じゃないのに日本語を学ぶ人が増えたと聞いた。


ブライトさん主導の音楽を聴ける施設も出来た。

歌劇とか観る方ではなく、個人で音楽を聴ける施設だ。山ほどの音楽CDやDVDが集められ、ヘッドフォンの魔道具で好きな音楽を聴くことができる。思い思いに音楽を聴きに来る人がいるそうだ。そのすみっこで落語が聴けるコーナーがある。誰が設置したのだろう。日本語を勉強したご隠居さんたちに人気だと聞いた。


研究所では、魔法も魔石もポーションもない落ち人の世界を調査研究している。冷蔵庫も魔法瓶も掃除機も洗濯機、音楽プレーヤー、スピーカー、ヘッドフォン、電話、ミシン、表計算タブレットは魔道具として完成している。スマホに似たものもできたし、あと、パソコンに似た魔道具も作られた。本当作っちゃったんだよね。こっちの世界の魔道具師さんは優秀。魔石で動くのだ。


早い時期にシャンプーやリンス、基礎化粧品も作りだしていた。これはメアリーさんが主導だったけど、研究者は新しい開発が楽しくて仕方がないのだそうだ。野菜の種も考えつくものはほぼ取り寄せて実験農場は年中わさわさしている。

停滞していた研究がどれだけやっても終わらないぐらい上があるのだ。追いつけ追い越せブームにテンションも上がる。過労死注意。ブラックはダメという概念もちゃんとついてきている。無理せずゆっくりね。この国の良さを実感しよう。


電気もネット回線もないこっちの世界、何を代用にどうするのか彼らがいつかどうにかするだろう。日本と違う発展の仕方が面白い。いつまでたっても電気もガスも石油もないままなので、公害は発生しない。産業革命もない。人力での作業がメインだ。でも、魔法と魔石で大型機械なみの出力があったりする。本当不思議な世界だ。いつみても魔法にはわくわくしてしまう。わたしは結局攻撃魔法は使えなかったけど、それでも生活魔法は生活にかなり役立ったことは実感させてもらった。この魔法を授けてくださってありがとうございます。


調味料も凄く増えた。胡椒は国中のあらゆるところに植えてみてお試ししたところ、ほとんどのところで根付いたお陰でどこでも収穫できるようになって、身近なものになった。砂糖もサトウキビだけではなく、北の公爵領では甜菜が植えられ収穫できるようになったら安くなった。砂糖も普通に使える調味料になった。ココスの町ではソースとマヨネーズが極められ、南の野菜の村ではケチャップが開発された。醤油や日本酒、みりんも似たものができた。レシピの本は公爵家、各町も村も特産を作るために必要だと準備され、どこへ行っても美味しいものが食べられるようになってきた。

海辺の町では海鮮丼も食べることができるようになった。醤油を開発したトマスさん偉い!本当楽しみが増えた。


あれから農地改革も進み、収穫量も増えて飢える人が減り農民も普通にお小遣いが得られるようになった、除虫菊のお陰で人の住む場所も広がっていった。除虫菊の効果は本当に凄かったので、他の日本の植物もこっちの研究所でかなり調べて、ヨモギやアロエを使った高級ポーションが量産できるようになったとも聞いた。

ヨモギもアロエも凄かったね。


石鹸での手洗い、井戸を掘って綺麗な水の確保。水はちゃんと沸騰させてから飲むことなど、生活の質が向上したので、マルミヤ医師が励行したことを徹底したので、乳児幼児の死亡率も減った。わたしがこっちの国に落ちてきた時は1,000人生まれても半分ぐらいしか5歳まで育たなかったのに本当良くなった。

勇者君のお陰でエリクサーが量産され魔物狩りで死亡する人が減り、乳児幼児の死亡率の低下で、60年間でなんと国の人口が倍になった。

といっても、まだまだ120万人、少ないのは少ないけど、じんわりじんわりこの国の人は努力をしていったんだなって思う。ちょい悪おやじっぽかった陛下の顔を思い出す。陛下もきっとこの国の未来を喜んでくれているだろう。


あ、陛下にもいろいろお世話になった。パソコンの勉強会は1年に数回は実施したし、通販アプリで何が買えるのか一緒に悩んだりもした。

結局、あの後、子爵家にも男爵家にも騎士爵家にもパソコンは渡したんだよね。下に行くほど理解度が下がっていくので、勉強会は必至だった。大変だった!王宮の文官も一緒に頑張った。


陛下からもパソコンの使い方や注意もしてもらった、思った以上に通販アプリで馬鹿な買い物をする人はいなかったのが意外の意外だ。こっちの世界の人は陛下や王妃すらあんまり贅沢していなかったしね。王妃が隠れて可愛いものを集めていたけど、1個数百円や1,000円ぐらいのものだ。可愛いから許す!

国中にパソコンやスマホが広まったけど、もともと日本の通販サイト、武器も毒薬も危ないもの何も買えないしね。それに謎空間から出せるものは50cm四方の大きさしか無理だったし、電気もガスも石油もないこっちの世界で使えるものも限られる。

必然と一番多かったのは本だ。皆こぞって本を買う。知識は裏切らない。日本の本は異世界の先生をしている。パソコンもそうだけど、迷った時、困った時に助けてくれる人がいるって心強いと思う。


パソコンの授業の後に陛下はぽつりと、


「王は孤独だ。この国のことを最終自分だけで決定しないといけない。その重圧から逃げ出したくなる時もあった。だが、ハナ様から渡されたパソコンに、その悩みを相談すれば、嘘やからかいもあったが、中には本気で真摯に回答してくれる人もいて、自分の孤独が随分ましになった。この中に多くの味方がいることで強くなれた。ほんと落ち人様様だな。」


そんな風に苦笑されて、なんて返せば良かったのか悩んだけど、でも、いったいどこに相談したのだろう。そこは聞くと怖かったので聞けなかったけどね・・・。


ちなみにわたしが複製したパソコンとスマホは60年経っても壊れなかった。初代がずっと使えた。なんて丈夫なんだろう。こうしてわたしが亡くなってもわたしの意思を繋いでくれたらいいなと思っている。



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