49
そうそう領主館ではダーツが流行っている。お祭りで出すつもりで、どのぐらいの距離に的を置くのがいいか調整したくて、領主館で働いている人でお試ししたところ、流行ってしまった。
休憩時間の人が空き部屋に置かれたダーツで遊ぶ人が増えたのだ。景品出していないのに。遊んでいるのは、もちろんほぼ男性使用人たちだ。女性使用人はダーツをしているところをちょろっと見に来るぐらいだ。あまりの人気に空き部屋には6台ダーツの的を置いているところ。危ないから人には向けて投げないでねとは言っている。
アーヴィンさんからは、魔物退治の訓練になるかもしれないので、お祭りが終っても残しておいて欲しいとお願いされた。
狩猟が身近な人たちに合った遊びなんだろうな。皆、楽しんでいるからいいか。
そのうち、領主館内ダーツ大会っていうのもやってもいいかもしれない。お祭りの後にでも考えてみよう。
ダーツだ!輪投げだ!と領主館でもお祭りの準備は進んできている。各町と村の屋台担当者は前日入りするらしい。トークルームに連絡が入っていた。みなさんスマホを渡して1年も経っていないのに、使いこなしている。先日領主館に集まられた時に世話役同士でも連絡先を登録しあったみたい。お互い必要なものをやり取りされているみたいだ。こたつに畳は絶対のセットだから、ココスの村と絹さんの村ではやり取りも多いらしい。南の村の砂糖はサッチの町のスイーツ作りに使われだしたとも聞く。南の公爵領の砂糖より安く提供できるとか。公爵領内で助け合いだよね。良いね。
アーヴィンさんは領主としてエールとスープをふるまうそうだ。これはどの町も村も同じで差別はしない。それ以外に、サッチの村がベビーカステラ、絹さんの村は梅酒で。南の村は和菓子、ココスの村が焼きそば、ワインの村はワインとほんの少しブランデーも出したいそうだ。海辺の村はクラムチャウダーの屋台を出される予定だ。わたしはダーツと輪投げと焼きとり、フライドポテト、三色団子にした。ダーツと輪投げの準備はできた。景品は大量に魔法袋に入れている。可愛い景品を通販サイトから探すのはとても楽しかった。ダーツの景品はお酒なので、10種類買って、それを100本ずつ複製した。お酒なので時間停止ではなく大きな魔法袋にどさっと入れた。ははは。必要ならお祭り当日でも増やせるだろう。焼き鳥、フライドポテトは下準備して時間の止まる魔法袋へ、三色団子は大量に作ってこれまた魔法袋に保管している。いつでもOKだ。
孤児院へも様子を見に行ったところ、わたしが渡した公爵領紋章入りハンカチと、ロイヤルファミリーのハンカチやぬいぐるみ以外に、孤児たちの刺繍入りハンカチやクッキーも準備できていた。今年は売り上げが凄そうだとみんなにやにやしている。追加で白いハンカチをたくさん渡しておいた。
ちなみにハンカチの素材はリネンだ。コットンはまだ量産できていない。オリバーさんの実験農場と南の村で収穫はできたと聞いたので、布を作る前に少し複製を頼まれたところ。収穫ができるってわかったので今年はもっと増やそうとしているらしい。
布作りも始めたらしいけど大変だそうだ。ちょっとオリバーさんに聞いたところ、乾燥、種取り、綿ほぐし、糸紡ぎと過程があると本で学んだことを、1工程ずつ試行錯誤で進めていると教えてもらえた。
来年のお祭りではコットンのハンカチ売れるかなとちょっと思ったけど、クロエさんはコットンを全部布ナプキンにしてしまいそうだけどね。あれはお祭りには出せないけど、裏でこっそり取引が進んでいるらしい。女性ばかりのお茶会とか、会合でだ。スライムパウダーの使い捨ての方も量産できてきたらしいので、じわじわ使う人が広まっているという。今までボロ布詰めただけなんて酷かったからね。ましになるなら早く広まって欲しいところだ。
痛み止めの薬は上級鑑定士さんと薬師と錬金術師さんが似たものを作りだしているそうだ。
エリクサーとか高級ポーションとかあるしね。既に似たものはあるらしいので更にその上をいくものを試行錯誤しているらしい。こっちの世界魔法が凄い。電気もガスも科学も化学も無いのにヒントさえあれば何とかなってしまうんだよね。
凄いところに落ちてきたなって時々思う。そしてそのたびどきどきする。まだ知らない世界があるんだなって。




