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桜の木を見に行くと風は冷たくなってきている。足底から冷える感じがなくなってきている。もうすぐ春だな。枯れていた雑草の隙間から緑の芽が見えてきている。桜の周りは肥料を入れたから雑草も多い。ナナシーノさんと桜に邪魔になる雑草を抜いていく。アビゲイルさんも黙々と手伝ってくれている。彼はいつも寡黙だ。でも頼りになる。ジョアンナさんは後ろで見守ってくれている。生活魔法の成長促進使える人も何人か一緒にいてくれていて、植えた桜に1本ずつ魔法をかけていってくれている。これはわたしがこっちに来られない時でも交代で続けてくれているのだ。本当有難い。だから1年経っていないのに、咲くところを見ることができる。楽しみだな。


領主館は領都のほぼ真ん中にある緩やかな丘の上にある。領都から領主館へ向かう道の東側に桜を植えて行っている。まだ200本ぐらい。領主館までの道は馬車が通るので、桜を植えた場所は、人が歩ける散歩道みたいなわき道を桜の両側に作ってもらった。行き帰りがぶつかると危ないので桜が植わっているところを右から上がって左から下りてと回って領都に帰るようにしてみた。吉野の山と通り抜けを合体した感じだ。ふふふ。

あと少しで領主家の方々も社交シーズン終了で戻って来られるだろう。

メアリーさんはわたしがお孫ちゃんと大の仲良しになって遊びまくっている動画を見て悔しそうだったから、お戻りになったら一緒に遊ぼう。体力の続く限り!大変だよ。


建国祭が終ったら、わたしが落ちてきて1年だ。桜を植えたこと、収穫祭に一緒についていったことぐらいしか実績ないかも?いや、生理用品やプロジェクターで動画見ることができるようにしたよね。あとは?畳にこたつ?あ。一番大事なことパソコンとスマホの提供だよね。あまりにも日常化しちゃったけど、異世界にパソコン。これは成果にあげていいのかな。渡しただけで運用は任せっぱなしなんだけど。30歳になったばかりのただの事務職の友達もいなかったようなわたしにしては頑張ったよね。そういうことにしておこう。


桜のお世話をしていたら、領主家の皆さんが戻られた。王宮の勉強会でお会いしているからめちゃくちゃ久しぶりっていう感じではなかったけど、やっぱりホームで見知った顔で食事をするとほっとする。

ゼブランさんとリリスさんも一緒に帰ってきている。春休みなんだそうだ。ゼブランさんは学校で勇者君に懐かれたそうだ。


「いや、スマホで父上に連絡をしていたら、勇者様が飛んできて、「スマホ持っているんだ!連絡先交換して!」と飛びついてきてね。びっくりしたよ。」


脳筋のゼブランさんらしからぬ苦笑だ。


「それから一緒に鍛錬したり、模擬戦したり、武器見に行ったりしたかな。トークルームにやたらと連絡寄越す以外はまぁまぁ楽しかったけど。」


勇者君から見たらゼブランさんは2個先輩になるけど、落ち人の地位はこっちでは陛下よりも上という位置づけなんだよねー。物凄く偉い!だから公爵家の先輩でもお友達扱いしても怒られない。わたしがアーヴィンさんをはじめ公爵家の方を「さん」付けで呼んでいるのも苦肉の策だ。最初呼び捨てしてくださいって言われて、無理無理無理ってなって、妥協してもらったのだ。わたしはずっと「様」付きなのも仕方がないのよねー。


勇者君も元気そうで良かった。勇者グループというのか、仲の良い友達も出来ているそうで、楽しそうにしていたと聞いてほっとした。


「あ、勇者様、ハナ様にも会いたいって言っていましたよ。また、北から正式に連絡あるかもしれません。」


ん-。会いたいかといえば、わたしはどっちでもない。見知らぬ15歳の少年だ。話が合わないような気がする。ただ、こっちの世界でたった2人の落ち人という立場であれば会ってお話するのも嫌ではない。彼は子どもだしね。大人がフォローしてあげなくてはという気もする。実際自分は子どもがいなかったから、15歳ぐらいの子って何話していいのかわからなくて困るーっていうのもある。ま正式に連絡がきたらあとは成り行きかな。


メアリーさんとクロエさんと下着や生理用品の話をする。トークルームでは進捗状況を伺っていたけど、社交シーズンの成果を教えてもらった。

派閥の女性にはしっかりアピールしてきたらしい。スパイダーシルクで作った下着は好評だったとか。ゴムの部分はスライムパウダーから出来ているらしい。このぴたっとしているのに締め付けがないのが着け心地がやはり最高らしい。数はまだ作れないからオーダー受けて少しずつらしい。生理用品の方も女性の錬金術師が似たものを作ることに成功したので、今は量産体制に入っているらしい。布ナプキンも好評だとか。

これはいずれ国中を巻き込むでしょう。と、メアリーさんとクロエさんが黒い笑顔だ。

王都の学校に女性の錬金術師が卒業後うちで働かないかと雇用条件を提示してきたらしい。いい人が来てくれるといいな。


他の領地にもパソコンは配布していっているけど、多分ご当主とか側近とかが使っていると思うので、女性用の下着とか生理用品を通販サイトから買うところは無いと思う。

女性用の下着と生理用品は西の公爵家の1人勝ちの匂いがする。といっても、量産してもまずは公爵領かららしい。落ち人のスキルは先に領地を潤して良いっていうルールがあるからね。


オリバーさんの収穫量の増えた話も他の領地から勉強会をして欲しいと囲まれたそうだ。南の落ち人のプロ農家でスキルがファーマーだった方から伝わったのは農地を3つの区画に分け、冬作物、夏作物、休耕地を年ごとに交代で利用する輪作農法と、豆や芋を増やすこと、ファーマーのスキルで病気に強い収穫量の多いものを品種改良したこと。

オリバーさんはこれに加えて、肥料の改良や日本産の良い種、日本の農具の導入などを行った。

農具はこっちの世界でも同じようなものを作っていっているらしい。肥料もそうだ。腐葉土に堆肥、コンポストの導入。海辺の町から持ってきた貝殻も砕いて使ったそうだ。排水溝を作って水はけをよくするとか。なんでもやってみないとわからないしとのこと。オリバーさんは真面目だしね。パソコンで検索すればどんどんヒントが得られるので物凄く楽しかったと。いい笑顔。


勉強会ではまとめたものをプリンタで印刷した紙を配布したところ、これはどうやって作ったのかと印刷方法も根掘り葉掘り聞かれたとか。これは落ち人様のスキルですと断言して逃げてきたそうだ。もう既に伯爵家ぐらいまではプリンタ入ったしね。後は頑張って欲しい。


そうだ、ブライトさんが社交シーズンの動画を撮ってきてくれた。豪華なドレスを着ているご婦人方。ひゃー。コスプレみたいって言っちゃダメなんだよね。美しいけど、なんか物語の中の人のように見える。煌びやかなホールに迫力のある生演奏は、クラッシックだね。ブライトさんが楽師に教えたって言っていたやつだ。

これらの動画を編集するところをブライトさんと一緒に作業する。


「ハナ様、この楽団の迫力のあるところは上手く編集したいのです。どうしたらいいですか?」


「ここは、ブレもせずに上手く撮れているので、こっちの流れに沿って最初は音を小さく後はがーんと来るようにすると迫力が強調されると思う。」


「おお、なるほど。」


ブライトさんは興味があるから、すぐに技術を吸収していった。これだけできたら来年の収穫祭の記録はブライトさんで大丈夫そうだ。

王都の夜会の編集した動画は領主館で鑑賞会を実行した。


「わたし王宮の夜会は初めて見ました!」


「なって、素敵な会場なんでしょう。」


「あ。あの方は王宮の薔薇の花と呼ばれているご令嬢じゃないでしょうか!」


「あちらは美しさで有名な氷の貴公子様。はう。素敵です!」


美しい方々の姿に、使用人たちはうっとりしたという。ブライトさんはわたしが事前に忠告しておいたとおり、動画を撮ってもいいかと映る方には同意をちゃんと取ってきたらしい。その代わり、編集した動画を見せて欲しいと言われたそうだ。

相手もパソコンかスマホ持っていたら、添付して送ってあげたらと言うとその通りにして驚かれたそうだ。

来年は自分も撮って欲しいという要請が来そうだね。ブライトさん頑張ってね。



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