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何を聞かれるのかわからないまま、王宮用の少し良い服を着て(ドレスは勘弁してもらった)ジョアンナさんとアビゲイルさんと一緒に馬車に乗った。冬場の馬車の中は寒いと聞いたけど、こたつ用の温熱ヒーターを改造して足元に置いている。これは温かい。作ってくれたココスの魔道具師さんありがとう。アーヴィンさんにも許可を得たからどんどん作っていってもらっていいよ。ということで、ぬくぬくのまま進む。前回お尻が痛かったので今回はクッションも置いている。馬車のサスペンションを改造してっていうのはわたしには良くわからないから、アーヴィンさんの側近さんにこの件は投げている。振動の少ない馬車できるといいねー。


無事に王都に到着。ほんとこの国は綺麗だ。下水道完備していることもあるけれど、中世ヨーロッパ風の街並みに立派なお城。おとぎ話の中に入り込んだ気さえする。厳しいチェックの門番にもどうぞどうぞと言われて入り、出迎えの執事さんらしき人に案内され、あれよあれよと以前案内された応接間まで到着。誰に何を話すことになるのやら、少しどきどきする。人前で話すのは苦手なのよね。


「おお、ハナ様、ようこそお越しくださいました。」


は?陛下じゃないの?たった一人で気さくに入ってこられたけど、まぁわたしの背後にジョアンナさんもアビゲイルさんもいるけどね。


「どうぞ、こちらへ。」


美少年が美中年になったような陛下、ちょい悪風のところはあるけれど、決める時は決めるかっこつけた陛下からのエスコートのお誘い、ああ、恥ずかしい。けど、陛下のエスコート断れない・・・。


ご案内していただいたところは小ホール?長机に3人ずつ座っている。全員で30人ほどかな、見慣れた人もいる。王宮の方と東西南北の各公爵家の方々ご一同様がメインかな。


「ここにいる皆は、パソコンを操作したことがあるものばかりだ。使ったから出てくる疑問に少し応えてやって欲しい。」


ええ、陛下にそう言われたらなんでもお答えしましょう・・・いやー答えられないこともあるだろうなぁ、陛下の無茶ブリ!!でも仕方がないので、


「ではご質問をどうぞ。」


すると南の公爵家のご当主様が声をあげる。


「パソコンで天気予報がでるが、あれはどうやって出来るのか?」


はー。天気予報!そうか南は農業力入れているものね。

ちょっと待って、パソコンで調べるから、ああ、そういうのも教えておくのか。


「今、パソコンで『天気予報の仕組み』を調べます。日本の気象庁というところの情報が良いです。ええっと、天気予報は気象観測、たくさんの地区で降水量、気温、風向き、風速、日照時間などを観測して、天気を予報しているそうです。

こういう何故?という質問もパソコンで検索すれば、こっちの国にとって、すべては丸ごと使えなくてもヒントはわかると思います。

例えば、その地区で毎日天気のデータを取っておくと、データが積み重なっていきそれが予報の基礎になっていくと思います。この年は早い目に暑くなったとか、雪虫が飛ぶのが早かったから雪が多くなるとか、まわりの状況も入れてデータを蓄積していき、それで予想するのだと思います。パソコンにデータを入れて、表計算で気温の変化を見ることができれば、予想しやすくなると思います。」


「おおそうか、データの蓄積がまずは必要か。それと疑問はパソコンで検索する癖をつけると良さそうだな。ハナ様ありがとうございます。」


「天気のデータを取るための仕組み、百葉箱というものを各村に設置するものいいかもしれません。箱は木工工房で作れますし、温度計は通販サイトで買えると思います。」


「ひゃくようばこですな。メモを取ったので、後で調べてみよう。何故雨が降るのかも、これでいけば調べればわかるのだな。」


「ええ、調べれば仕組みがわかると思います。雲の状態や湿度や日頃の観測が大事だと思います。例えば、星が大きく見える時やつばめが低く飛ぶ時、カエルが鳴く時、山に雲がかかれば雨になるとか、朝焼けが白くなれば雨が降り、黒くなれば風がきつい、いつまでも森の葉が落ちない年は雪が早く降るとか、そんな地元の人のいつものを集めるのもいいと思います。」


「日本では雨を自由に降らすことは出来なかったのか?」


「できなかったと思います。自然は人の力でなんとかできるものじゃないですし。」


「雨が少ない時はどうしていたのだ。」


「ため池作ったりしていたと思いますよ。わたしも実体験したわけじゃないですが、ため池って検索すれば出てくると思いますよ。」


「そうか、こういうのも検索すればいいのだな。なんとなくわかってきた。」


南の公爵家ご当主は何かを得た感じだ。良き良き。自分で持ってきたパソコンでかたかた入力しだしている。そう、ここにいる皆さん自分のパソコンを持ってきているんだよね。熱心というのか、マイパソコン誰にも触らせぬっていう感じかもねー。大事にしていただいて恐縮です。


「この表計算で各領地の税収を比較できるのか?」


えっと東の公爵家の側近の方かな?イケメンが多いから全部覚えられない。前回のパソコン講習会にはいたね。ご当主の側近かな。


「表計算は素晴らしいです。ちゃんと入力できたのであれば、比較できます。表計算の本はたくさんでていますし、使い方の動画も探せばあります。ぜひ、使いこなして下さい。おすすめの本は・・・ちょっと待って下さいね。これですこれ。」


いつものように注文し取り寄せる。表計算の基礎と応用がわかる本で見やすくて初心者向けのもの、わたしも働きだした時にお世話になったものだ。これを30冊、ふふふ。ここにいる全員にだ。誰かに1冊渡せば喧嘩になるからねー。ここは全員に渡す。これで問題なし!王宮の侍女さんが後ろに控えていらっしゃったので、一緒に配るのを手伝ってもらう。陛下も手に取って読み出された。


「この本はわかりやすいので、例題を一緒に試していけば表も作れるようになるし、少し応用も生かせるようになります。表計算のソフトは奥が深いです。なんでも出来ます。頑張って下さい。」


「ハナ様、ありがとうございます!」


イケメンに感謝されるとやっぱりちょっと恥ずかしい。


「プリンタで印刷した後の紙がばらばらになってしまうがどうすれば保管しやすいのか?」


今度は北の公爵領かな、次期当主様だな。まだ若い。嫌なおじさんの息子とは思えない好青年っぽい感じ。このまま大人になって欲しいところ。嫌なおじさんが隣で睨んでいるように見えるけど、無視無視。


「印刷した紙は薄いしほっておくと折れたり皺になったり紛失しやすいです。そこでファイルがあると便利です。これもちょっと待って下さい。」


パソコンからファイルとパンチを探す。少々お高くても長持ちする良いメーカーの物が良い。ファイルは薄手と少々厚手を2種類。これは王宮と四公爵家の5セット取り寄せる。

また、侍女さんに手伝ってもらって配布する。


「はい、これがファイルです。そしてこっちがパンチと呼ばれる紙に穴を開けるものですね。印刷した紙をこれで穴を開けて、こっちのファイルに綴っていけば散乱しません。きちんと保管できるようになっています。」


各席でがやがやしている。ファイルの話は前回しなかったものねー。そして知らないものはあ探せない。あるってわからなかったら検索もできないしね。文具のカタログとかあるといいのかな。あ、そうだ、クリアファイルとかバインダーとかも便利かも!

通販サイトで5セット買い求める。これぐらいはわたしの費用で大丈夫。金貨いつでも複製できるしね。


「今から配るのがクリアファイルとバインダーです。先ほどのファイルに綴る前に作業途中の物を持ち運ぶ時に便利です。こうした便利は日常使いの文房具がたくさんあります。いろいろ試して見てください。オリバーさんはシャーペンを初め、日本の文房具を結構使いこなしています。彼に聞いてもいいかもしれません。」


オリバーさんに注目が行く。そう質問がわたしだけに集中しない方法だ。文房具は電気を使わないからすぐに取り入れられるだろう。西の公爵領では鉛筆をココスの町で作り始めているという。オリバーさんならきっとそういう話も公開しそうだ。この国は自分だけ儲ければいいじゃなくて、皆でよくなろうっていう雰囲気が強い。小さな国だから一致団結なのかもしれない。


「日本には魔物がいないと聞いた。魔物の脅威は相談できないのか?」


ああ、魔物は日本に確かにいない。これは検索しても出てこないよね。害獣の話ならいけるのか。忌避剤とか、魔物除けとか。あ。そういえば。


「魔物は日本にいませんので、パソコンで検索しても出てこないと思います。日本に魔石も魔法もポーションもありません。武器も売っていません。これらも検索できない項目ですね。ただ、魔物除けになる植物を西の公爵領の南の村で教えてもらったところ、日本の除虫菊に似ていました。これが魔物除けになるのであれば、日本から苗を買ったり種を取り寄せて植えてみれば少しは効果があるかも?上級鑑定士の方に確認してもらった方がいいのかも。ちょっと待って下さいね。」


わたしは通販サイトで除虫菊の苗を取り寄せる。生き物は無理だけど、植物は大丈夫なルールがよくわからないけどね。

陛下が上級鑑定士さんを呼び寄せてくれたようだ。彼に除虫菊を渡してみたところ、


「陛下!!これは魔物除けの効果があります!それもかなり性能が良いです。これを人の住む町や村や街道沿いに植えれば魔物が避けると思われます!魔物除けの株は増やすことが難しく人の手で育てることがほぼ出来なかったので、もしこれが増やせるのであれば人の暮らせる範囲を増やすことが可能になるかと思われます。」


あ、そうだ。蚊取り線香も取り寄せしてみる。腰につるタイプの入れ物も。


「鑑定士さん、これも確認お願いします。端っこに火をつけて煙で虫退治してくれるものなのですが、除虫菊が材料ですが、どうでしょう。」


「こ、これは!!陛下、この緑色の渦巻きは凄いです。そして、これの煙ですね。着火!ほお。この煙、鑑定します。この煙は高級魔物除けですね。これを持っていれば魔物は近寄らないでしょう。除虫菊という草と、タブの粉というタブノキの樹皮や葉を製粉したものを混ぜて作っているものか。これは除虫菊があればこっちでも作れると思われます。」


「おおそうか!ハナ様感謝する。この苗はいかほどか。」


「ええっと一株500円ぐらいですね。こっちの価格にすれば500ダルです。こっちの世界は植物魔法も成長魔法もあるので、種を買って増やせばもっと経費削減できるはずです。種ならもっと安いです。250ダルぐらいで100株ぐらいいけるんじゃないでしょうか。蚊取り線香は30巻きで1,000ダルぐらいです。腰につけるホルダーも1,000ダルぐらいですね。」


「なんと、それならば予算を組もう。」


「我が公爵家でも取り入れます。」


「辺境の村から早い目に導入をお願いします。」


「陛下、公爵領だけではなく、侯爵家、辺境伯家、伯爵家あたりまでパソコンの導入をご検討下さい。みな、各領地を各自で守らせる方が良いかと思います。子爵家40、男爵家は100ほどですが、こちらは社交に出向いている当主に、主君である公爵家より魔物除けの種を渡した方が良いでしょう。ハナ様は魔法袋も増やすことが可能です。魔物除けは一刻も早く配布すべきです。」


「ああ、そうだな。社交シーズンだから、侯爵家、辺境伯家も伯爵家もすべて当主は王都に集合しているな。侯爵家4と辺境伯2、伯爵家18、合計24家の導入、それに子爵家40と男爵家100の魔法袋・・・。そうだな。ハナ様、ご負担のほどはいかがでしょうか?」


24家、各家に5台ぐらいかな。120台か。魔力の余った時に、増やしてきたからいけるかも。魔法袋も140ぐらいならぜんぜん大丈夫!

魔力があまったまま寝るのはなんだか勿体なくてパソコン、スマホ、金貨に魔石と便利そうなものは、どんどん複製してきたんだよね。魔法袋にぎっちり入れている。もちろん魔法袋も複製しまくっている。だって勿体ないんだものー。貧乏性だなと思う。日本にいた時は仕送りも何もないままアルバイト三昧で大学卒業してからの奨学金返さないといけなかったから無駄なことは出来なかったんだよね。魔力が少し残っているだけで金貨1枚複製できるなら限界までするでしょ。そういうことです。


「陛下、大丈夫です。パソコンや周辺機器はご用意できます。魔法袋も既にたくさんあります。ただし全員に使い方を教えるのは一人では無理です。」


「大丈夫だ。教えるのは各公爵家が自身の配下について責任を取れば良い。各公爵家できるな?」


あ、そうか、公爵家はまとめ役だから直轄地が少ないって聞いたかも。公爵家の方々も頼られてこその立場なんだろうな。ちょっと嬉しそうだ。


「は、陛下当然でございます。公爵家は陛下のお言葉を実行するためにございます。なんなりとお申し付けください。」


「よし、頼んだぞ。あと、ハナ様のスキルは他国に絶対知られないように、これは絶対だ。特に他国との国境のある辺境伯家は特に注意しろ。パソコン、インターネットは落ち人様のスキルで英知だ。我が国が繁栄するのが面白くないと思う国もあるかもしれぬ。今は弱小の取るに足りない国ということで見逃されているだけだからな。他国とはほぼ交流はないが、このままゆっくりじわじわ少しずつ、ハナ様の英知を受け取っていこうぞ。」


「ははっー。陛下のおっしゃるとおり、ハナ様の存在がばれぬように一気に物珍しいものを増やすのではなく、じわじわ少しずつで。他国にはパソコンで買ったそのままのものをやりとりしないように徹底します。」


「落ち人様の世界にあって、この国に無いものは多い。買う時には絶えず意識してくれ。」


「「「承知いたしました!!」」」


ということで、各公爵家の配下の数だけ魔法袋に入ったパソコンを渡していく。プリンタや周辺機器もソーラー充電器も予備も予備の予備も一緒だ。すぐに追加の渡せないようなところには多めに渡しておく。

途中北の公爵家の嫌なご当主が配下分のスマホも寄越せみたいな注文をしてきた。一瞬むっとしたが、陛下とアーヴィンさんが良いことを言ってくれたとばかり北のご当主を褒められたので、仕方がないからスマホも追加した。教えるのは自分たちでしてね。もう使いこなせているでしょう。


北のご当主が自分のとこにももう少し追加が欲しいと言い出し、他の公爵家も北に渡すのであればうちも欲しいということで、パソコンやスマホを更に追加を渡していった、便利なものだけど、わたしが死んだらインターネット使えないからね。あ、電話は使い続けられるかもしれない。使い魔通信っていう感じで魔法で繋がるんだよね。ほんと不思議。


いったん解散の雰囲気になった時に、うちでは漫画を読んでいるという話が出て、漫画とは何かという説明をすることになった。知らないものは通販サイトがあっても手に入らないんだよね。検索すらできないから。やっぱり知識は大事だよね。西の公爵領で人気の漫画を何種類か購入し、皆さんにご披露してみた。これが世界の漫画、日本が誇る漫画の文化だ!と日本のすみっこで友達もなく1人で生きてきたわたしの心の支えだったものだ。

参考にといろいろ準備して見て貰ったら思ったより好評で、これで日本語の勉強や落ち人様の世界を知る事が出来ると喜んでもらったけど、漫画は史実ばかりじゃないよ。ファンタジーだからね。これが日本の実生活じゃないよ!と念を押しておいた。虚構のお話ってこっちの世界少ないんだよね。受け入れてもらえると嬉しい。


この後、いい年した国の上層部の方々が声高く漫画について語りだした後、やっと解散した。やれやれ。




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