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社交シーズン前に領主家全員揃っての夕食会に誘われた。最近皆さんお忙しいから全員揃うのは久しぶりかも。


「ハナ様、何か不自由していることはございませんか?」


アーヴィンさんが丁寧に聞いて下さる。もう至れり尽くせりです。こたつでみかんに漫画ですよ。言うことないです。


「アーヴィンさん、みなさん良くしていただいています。皆さんはどうなのですか?」


「表計算だけの魔道具がもうすぐ作れそうです。パソコンみたいに多機能ではないのですが、特化させて、税計算ができるものですね。後、スマホは電話機能だけ使えるものが出来そうですよ。」


え、もう?出来ちゃうんだ。魔道具師凄い。


「ハナ様がパソコンもスマホも与えて下さったから出来たのです。元があればある程度原理がわかればできます。難しいのは何もないところからの1歩ですよ。完成しましたら、一番にハナ様にお見せいたしますね。」


表計算だけ、電話だけということでも、アーヴィンさんはそれでも嬉しそうに見える。


ほー。そうなんだ。わたしが必死で持ち歩いていたパソコンもスマホも役立ちそうで良かった。あの異世界に飛ばされてしまうかもしれないという思い込みって杞憂じゃなくなったんだなと思うと不思議な気がする。


「ハナ様、サトウキビの収穫が先日終わったのですが、なかなか良い量が取れました。村も喜んでいました。父が戻ってきてから、わたしは収穫に合わせて行ってきたのです。砂糖は南の公爵家だけのものじゃなくなりました。これから西も豊かになっていきますよ。ハナ様から教えていただいた野菜入りのクッキーも食べてきました。とても美味しかったです。あれも今後領地で売れていくと思います。」


オリバーさんも始終にこにこされている。自分が考えて悩んで企画して実行したものが思った以上の成果が出たのを見るのは幸せだと思う。次期領主さんだものね。手ごたえを感じられたのかもしれない。


「ハナ様、わたしはハナ様が収穫祭で撮って来られた映像の編集方法を教えていただきたいです。あれは本当に良くできていました。お祭りのわくわくしたうきうきうきした気分が映像からでも伝わってきました。みんな楽しい顔をしている姿が撮れていて、それが記録映像になっているところも素晴らしかったです。音楽も流れていて素敵でした。わたしも今後収穫祭に参加するのであれば、ハナ様が今回撮られたようなものをわたしが撮りたいです。」


ブライトさんが真剣な顔をしてこっちを見ている。収穫祭の動画を褒められるとちょっと恥ずかしい。あ、ユリアーナさんがブライトさんの真剣な横顔を隣で見ながらうっとりされている。まぁいいけど。


「ブライトさん、動画の編集の仕方はお伝えします。今度王都で社交される時に、いろいろ動画を撮って来てください。それを編集しましょう。その方がいい勉強になると思います。わたしに領主館のみんなに王都の社交シーズンの様子を教えて下さい。」


「はい!是非!動画の撮り方もよろしくお願いします。」


「ええ、王都に行く前に練習しましょう。」


物凄く嬉しそうなブライトさんにわたしも嬉しくなる。自分の好きなことを好きな人に教えることが出来るのは嬉しいのだ。


「ハナ様、わたしたちは冬の社交シーズン日本でいえば11月から2月まで王宮で社交をしてきます。ハナ様は社交にはご参加されなくても大丈夫ですが、このシーズン中できっと王宮に呼ばれます。わたしのトークルームにもいくつか連絡が届いているのですが、ハナ様に落ち人様の世界のことについて、直接お伺いしたい方や何を買っていいのか教えて欲しいと切望されている方々がいらっしゃるようで。申し訳ございませんが、わたしが向こうに行って確認して調整してきますので、後で連絡をいれさせていただくことになると思います。」


ちょっとしゅんとしょげた感じのアーヴィンさん、わたしが社交シーズン王宮に行きたくないって言っていたのに呼び出さないといけないことを不甲斐ないと思われているのだろうか。


「大丈夫ですよ。アーヴィンさん、ダンスを踊るとか、ドレス着たりしなければ前にパソコンの講習会した感じであれば大丈夫ですよ。」


そう言うとぱっと顔が明るくなった。わかりやすい。お貴族様として表情が読み取りやすいのはいいのか。アーヴィンさん、大丈夫?


「ハナ様に出来るだけ負担にならないように調整してきます。今回のシーズンは北の勇者様、ハナ様と落ち人様の落ちて来られた初年となり、いつも以上に活気に満ちたものになると思います。」


「ハナ様、わたしがちゃんとその活気も動画撮ってきます。」


「ええ、皆さんが頑張られたお話を帰られて聞くのを楽しみに待っています。あ、アベル君とグレン君、カロリーナちゃんと一緒に待っていますね。可愛いお孫ちゃんを独り占めできるのは楽しみです。」


そう言うと孫馬鹿気味のメアリーさんがちょっと悔しそうだ。クロエさん、ユリアーナさんから息子、娘たちをよろしくお願いしますと頼まれた。

あと、ゼブランさんとリリアさんは王都の学校から王都のタウンハウスに移動して、そのまま社交に参加されるのだそうだ。


ブライトさんに動画の撮り方を一通り教えたところで、領主家全員が王都のタウンハウスに移動された。仰々しい大人数だ。玄関でアベル君、グレン君、カロリーナちゃんが、乳母や子守メイドに抱かれてお見送りをしている。わたしも一緒に出発していく馬車を見送る。お気をつけていってらっしゃい~。


「はなしゃん、あしょびましょ。」


「あたしも、はなしゃまとあしょぶー」


「はなさまとはぼくがあそぶんだ。」


大人が全員いっちゃった後、3人のお孫さんに大人気だ。


「ええ、アベル君とグレン君とカロリーナちゃん、みんなで一緒に遊びましょう。今日はカルタをしてみましょう。」


「「「わーい!!」」」


3人いるから全員と手を繋げない。3歳の2人と手を繋ぎ、5歳のアベル君は弟のグレン君と手を繋いでいる。かーわーいい。


子どもたちのプレイルームには畳を敷いてもらった。今日はカルタ遊びだ。まだ5歳と3歳なのに、領主家のお子様、既に日本語教育が始まっているのだ。だからわたしともお話できるし、平仮名ならなんとなく読めるらしい。凄いね。


わたしが読み手になってカルタ取りを始める。


「いぬもあるけばぼうにあたる」


「はい!」


「あ、ぼくも、ぼくもー!」


「あーあたしもー。」


「はいはい。大丈夫、次もあるからね。絵も可愛くて大きい物を選んでいるからわかりやすいと思うわ。」


3歳のグレンくんやカロリーナちゃんにはまだ難しかったかな。次は積木にしようか。あ、起き上がりこぼしもいいかも。


カルタはアベル君が圧勝で終わったので、気分転換にビニールで空気の入った起き上がりこぼしを3体取り寄せてみた。90cmサイズの恐竜?こっちの世界だとドラゴンに見えるかな。男の子2人はこれで、女の子のカロリーナちゃんには可愛いうさぎにしてみた。


キックしても押しても戻ってくるのが面白いよね。大人のわたしでも面白くて何度も押してしまう。ふわふわしていて危なくないしね。

案の定3人とも夢中で遊んでいる。後ろに立っていたアビゲイルさんが「子どもの剣の練習にも良いかもしれない・・・」とか呟いているのを聞いた。剣で切ったら空気が漏れちゃうよ。


遊び疲れて畳の上で寝てしまった3人。うっすら汗かいている?子守メイドたちが寝ている3人をお部屋に連れ帰ってしまった。ここで寝たら風邪ひくものね。でも、楽しかった。可愛かった。でも大変だった!幼児パワーは凄いね。毎日付き合っている乳母やメイドさんには本当凄い。孫は来て良し帰って良しっていうのがよくわかる。

17歳のぴちぴちの体なのに、2時間一緒に遊んだだけでへとへとだわ。動画を撮ったので、領主家全員のトークルームに投稿しておいた。ドラゴンの起き上がりこぼし相手にキック、パンチ必死にしているところはとてもとても可愛いらしかったし、カロリーナちゃんは何度も何度も押して戻ってきて押してを繰り返しては笑っていた。なんで3歳児って何度も同じことを繰り返して楽しいのかな。でも、本当楽しそうだったので、良かった。


子どもたちがお昼寝中、自分の部屋に戻りこたつに入ってごろごろしていたら、ジョアンナさんからさっきのカルタを侍女さんたちが「遊んでみたい。あれで日本語の勉強ができそう。」って声があがったと教えてくれた。でも、カルタをするなら畳の部屋を追加しないとね。アーヴィンさんにトークルームで、空き部屋に畳を敷いてカルタが遊べるようにして、日本語を学びたい人たちが休憩時間に使っても良いかと聞いてみたら、良いとの返事が来た。


男女混載の使用人のプレイルームが出来て、和気あいあいと楽しむようになったらしい。カルタは何種類も買ったのでいろいろ試してもらおう。

空き部屋は20畳ぐらいあって、そこに畳を敷くため領都の大工さんにまた来ていただいた。畳が石の床の上で滑ると危ないからね。

畳にカルタは西の公爵領でじわじわ広がっていくことになるのだけど、とりあえず今は領主館の1室が凄い熱気だそう。遊びながら学べるのは良いよね。より熱くなるために、1等だった人に、あいうえおシートや文房具一式、ドリルなどの賞品を提供しておいた。日本語を読める人が増えるのはわたしが嬉しい。一緒に好きな漫画や好きな小説の感想を話せる人が増えるかもしれないんだよ。せっせとお手伝いしよう。


みんなが王都で社交している間、わたしはお孫ちゃんたちと遊び、カルタ熱を煽り、漫画を読みながらこたつでみかんを食べてこれこそスローライフ、なんのストレスもなく毎日が夏休み?いや、今は冬休みだよね。ゆっくり過ごしていたら、アーヴィンさんから連絡が届いた。例のやつだ。王宮で勉強会っていうやつ。わたしみたいな小娘でいいんだろうかと思ったりもするけど、当期の落ち人はわたしとあの少年だけだものね。年上の私が頑張らねば。




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