38
領主の方々が冬の社交シーズンに向けて準備が忙しくなっていく中、空いた時間で桜の植樹の続きをしたり、寒くなってきてからは、ココスの村で仲良くなった木工工房の親方に頼んでこたつと座椅子を依頼した。電熱の部分は図面を書いて魔道具師さんに依頼して出来上がったら木工工房でセットしてもらうようにお願いしてきた。
琉球畳を自分の部屋の隅に敷き詰めようとしたけど、石の床に木を乗せてその上に置くと少しずれたりするので、ぴったり置けるように小上がりを領都の大工さんに作ってもらってその中に畳を置いてみた。大きさ的には4畳分ぐらいかな。わたしが泊まっている客間は20畳以上ある広い部屋なのではしっこ4畳ぐらい畳敷いても良いと了解は得た。
小上がりに畳を敷き詰めたのを見た大工の棟梁さんからは「これはいい。なかなか。このたたみというものはどこで買えるのか?」とか質問を受け、絹さんの村で作られるようになると伝えておいた。
子ども達のプレイルームも畳みを敷き詰めたいので、小上がりを作ってもらった大工さんに追加依頼し、靴脱ぎ場も作ってもらった。これでどれだけ走ってもこけても痛くない。良しっ!
ココスの町の親方からこたつと座椅子が出来上がったと連絡がきた。魔法袋に入れて親方が直接届けに来てくれた。どんな使い方をするのか知りたかったそうだ。冬の暖房具ってお金持ちは魔石をつかったヒーターみたいなものがあるだけど、庶民の部屋はまだまだ寒いのだそうだ。
畳の上に通販サイトで購入したこたつのマットを敷き、その上にこたつ、こたつ布団に天板を置く。魔石ヒーターをONにして温まるのをしばし待つ間に座椅子と小さめの座布団をセットする。冬の防寒が準備できてきた。
はふ。こたつの中は温かい。魔道具万歳!親方がどんな感じなのか気になると一緒に足を入れてもらった。「おお。これはいい。」親方もこの優しい温かさに包まれたら出られなくなっただろう。わたしの横はジョアンナさんが、反対側の横はアビゲイルさんが入った。四人でぬくぬくだ。
ああ、みかんが欲しい。ノートパソコンを取り出しがたがたと入力する。箱買いだよね。みかん。謎空間からみかん箱が届く。これは重いのでアビゲイルさんに頼んで持ってもらった。
こたつで温もりながら食べるみかん。これぞ冬の様式美!
みんなでまったりしていると、親方と一緒に着いてきた弟子が羨ましそうに見ている。そうだよね。君たちも入りたいよね。
ということで、親方の了解を取って、複製。丸ごと複製!四畳の畳の上に2つのこたつはちょっと狭いけど、お試しぐらいにはいいだろう。
無料でせっかく作ったこたつを複製されるのもなんだろうと、親方には複製したこたつも入れて2個分の料金を払い、今後こたつを作って広めても良しというのを事前にアーヴィンさんから許可も取っていたのでお伝えする。
この冬ココスの町からゆっくりこたつが領地に広がっていくのは当然だろう。魔石1個でこのぬくさ、費用対効果抜群である。ただし一度入ったら抜け出すのは大変だけどね。
自分の部屋でぬくぬくわたしは漫画を読み、ジョアンナさんは刺繍をし、アビゲイルさんはごろんと寝転んでいる。これぞこたつの正しい使い方!
アーヴィンさんがお試ししてみたいけど、冬の社交シーズンの準備でそれどころじゃないそうだ。可哀そうに。




