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帰りはアーヴィンさんとブライトさんと同じ馬車になった。領主館に着くまでに冬の社交シーズンについてどうするのか相談がしたかったからだそうだ。
「ハナ様は王宮で社交をされますか?」
社交?一人も友達いなかったわたしが?あのコルセットでぎゅうぎゅう絞られてドレスを着て?無理無理。できれば行きたくない。
「行かないとダメですか?」
「いえ、落ち人様の意思は尊重されます。ハナ様が行きたくなければ行かなくても大丈夫です。ただ、わたしを始め領主家の人間は孫を除いて全員参加することになりますがよろしいでしょうか。」
え。お孫ちゃんは残るんだよね。一緒に遊び放題!オリバーさんのところの5歳のアベルくん、3歳のグレンくんと、ブライトさんところの3歳のカロリーナちゃん、可愛いんだよね。スマホもあるからアーヴィンさんとは連絡取れるしぜんぜん大丈夫です!
「お孫さんたちと遊ばせていただけるのであれば大丈夫です。」
「そうですか、絹様も社交会には一度もご出席されませんでした。他の落ち人様もここ近年ではご出席者はいなかったので、大丈夫だと思います。ハナ様は既に陛下とはご挨拶されておりますし、陛下も何かあれば直接ご連絡届くと思います。大丈夫ですよ。」
そうなんだ。そうだよね。社交のない日本からだとまずダンスができないし、珍獣扱いされそうだし、できれば参加したくないよね。あの少年は参加するんだろうか。
アーヴィンさんに、家に帰ったら、自分の部屋とお孫ちゃんたちのプレイルームに畳を敷きたいこと、こたつを作りたいから職人を呼びたいことなど最後お話していたら、領主館に戻ってきた。楽しかった収穫祭も終わってしまった。アーヴィンさんや側近さんたちは収穫物の立ち合いや税計算とか大変だっただろうけど、わたしは海外旅行に行ってきた感じだ。中世ヨーロッパ風の町や村は素敵な場所ばかりだった。あー。どこもまた行きたいな。
これから冬だから、春になったらまた1か所ずつお邪魔しようかな。ジョアンナさんやアビゲイルさんが巻き込まれて迷惑かけることがなかったらだね。
いっぱい写真や動画も撮ってきたので、編集してメアリーさんや領主代理していたオリバーさんたちにプロジェクター設置している部屋で見せよう。そう決めたら眠くなったので、馬車での遠距離移動で疲れた体を休めることにした。
お風呂に入浴剤を入れてゆっくりしよう。
あ。どうせなら、お疲れのアーヴィンさんや側近さん一緒にいった料理人たち、アビゲイルさんをはじめとした護衛の方々、侍女さんたち、ジョアンナさんに声かけて、収穫祭メンバーに入浴剤とアイマスクと甘酒を渡してもらうことにした。疲れている時には効くよー。ジョアンナさんも遠慮せずに使ってよ。
最後無理やり押し付けたけど、ジョアンナさんの口元が微笑んでいたから喜んでもらえたかも。
わたしも今夜はぐっすり寝たい。
報告とか全部明日ね。おやすみなさい。




