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西の公爵領に戻って桜の木を植える続きをする、まだ目標本数には満たない。一層のこと領主館をぐるりと一周しようかと思ったので、時間がかかっている。あと、赤の部屋の模様替えをしたり、布ナプキン用のコットンガーゼを通販サイトで買ったりしていると、北の公爵領から泣きの手紙が届いたらしい。
あれ?スマホ渡したのに、スマホで連絡とってこないんだ。
手紙を読むと、スマホ用のソーラー充電器を使用しようとしていたら、それを見た勇者君にとられたらしい。彼が「僕のスマホに充電したい」と奪っていったらしい。
そして、充電してスマホの中を再び見ることができるようになったら、部屋に籠ってスマホを見ながら家に帰りたいと泣いているそうだ。
彼はまだ子どもだったしね。
そして、やっぱり三男さんは持って帰ったパソコンの設定ができずに、使い方を思い出せない。側近の彼がかろうじて画面は出せるが文字が打てない。クリックもできない。通販サイトがどこかわからない。物が買えないといった感じでせっかくの英知の塊が!ということで、いやいや、うちに頭を下げてこられたそうだ。
ちょっと可哀そう。
ただ、王宮での講習会の時に、勇者様のご対応をしなくてはいけないからと、ご当主様と次期当主のご長男たちが来なかったのは、わたしのスキルが生活魔法で、スキルで公表するといってもたいしたことないと下に見ていたからだろうと推測できる。
罰があたったんじゃないって笑えるけど、これで東西南北の公爵領に亀裂が入り、争いごとに発展すると怖い。
特に北は今勇者君持ちだから、何するかわからないから怖い。
アーヴィンさんには、こっちに北の人が来るなら講習するし、勇者君の扱い方教えますって伝えておいた。
それから数日して、北の公爵家のあの嫌な感じのご当主さんとご長男さん、側近さん、その他大勢でやってきた。落ち人のホールではあんなに自信満々で変なオーラ駄々洩れだったご当主さんが、倒産前の青色吐息の社長さんみたいな感じになっている。ちょっと同情した。
勇者君は、こっちに落ちてくる前、塾の帰りに無灯火で自転車乗っていて、車とぶつかったらしい。打撲だったのか打ち所が悪かっただけだったのかで、健康体になるための再構築では年齢はほとんど若返っていないという。もとから若いのだ。
みんなに別れも言えず、本人も死ぬとも思わずいきなりの落ち人の間のホールだったのだろう、勇者だって煽てられて乗せられているうちは良かったけど、スマホで家族の写真見て、ホームシックにかかっているんだろうなって思う。
わたしみたいに、末期癌で死にかけを実感してこっちに落ちたのではないだけに、今更日本で死にかけたショックと、もう日本に戻れない思いに、勇者として持ち上げられる生活に疑問を抱いただろう。
まだたった15歳の子どもなんだものね。
北の公爵当主には、日本は大学卒業する22歳ぐらいまでは子ども扱いなので、勇者だからといって、ワイバーン討伐とかまだ早い。ホームシックなら、元の環境に近い学校にでも入れて友達を作ってもらえるようにすれば元気が出てくると思う。
もう少し子ども扱いしてあげてください。そうじゃないと心が死んでしまう。少し甘やかしてあげて欲しいと頼んでおいた。
王都の王国立のお貴族様学校があるらしいので、寮にでもいれて、しばらく自由に過ごしてもらうことにするっていうので落ち着いた。
こっちの世界美少女も多い。優しい人も良い人も多いからすぐに青春を思い出してくれると良いな。
パソコンの方は、今回優秀な人をたくさん連れて来られたから、ひととおり教えてみた。やはり通販サイトで購入して、謎空間から物が出てくるのは皆さん驚かれる。わたしも何度見ても不思議だ。
そうそう、勇者君のスマホはインターネット繋がっていなかったようだ。充電した後「ネットはやっぱり使えないのか・・。」って落ち込んでいたと聞いた。
どうやら、わたしが複製したパソコンやスマホだけがインターネットに繋がりそうだ。規制が出来て良いかもしれないな。
あ、勇者君のスマホがわたしのスキルでもし繋がったら日本の家族や友達と繋がることは出来るんだろうか?わたしは日本に連絡を取りたい人がいなかったので、今の今までその可能性を忘れていたけど、どうだろう?
気になったので試してみたところ、パソコンから買ってみた自分の機種と違うスマホはインターネットが使えなかった。やっぱり本体とわたしが複製したものだけが、スキルインターネットの恩恵を受けるみたいだ。勇者君自分のスマホを手放せないのであればインターネットは使えないねという感じだ。勇者君スマホに既にインストールされていてWi-Fiに使わないゲームは使えるらしい。家族との写真があればそれでいいのかもしれないけどね。
北からそんな便利なものならばパソコンもスマホも後3台ぐらい欲しいと要求された。勇者君とパソコンに対して目途がたったのか、しおしおの状態から偉そうな感じに変化してきた。
しおしおだった時はまだ可愛げあったのに。弱みを見せたらダメなのか、上に立つ人は大変だ。勇者君の件もあるし、ソーラー充電器は多めに渡しておいた。勇者君は少年だったから、自分のスマホさえ動けば、ノートパソコンには興味を示さないだろう。




