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王宮から西の領地に戻り、わたしは桜を植え続けた、今年は200本ぐらい植えたい。天の川、雨宿り、一葉、鬱金、雨情枝垂れ、大手毬、関山、小手毬、紅華、御衣黄、蘭蘭、柴山、楊貴妃、松月、御衣黄、全部八重桜の品種。手当たり次第手にはいる苗を植えていく。もちろん、一重のソメイヨシノも購入。購入した苗は直径2cmぐらい高さ30cmぐらいだったけど、魔法が使えるので、植えて成長を促し、今は直径5センチぐらい高さ1mぐらいで並んでいる。大きくなることも考えて、少し離して植えている。


王家から派遣された護衛も一緒だ。派遣された護衛は25歳の少しいかつい感じで濃い茶色のタワシみたいな髪をしている。触ったら痛いかもしれない。目はこげ茶色で優し気に見える。王都で騎士団の副団長をされていたそうだ。いいのか。そんな偉い人をわたしの護衛って?!って思ったので、聞いてみたところ、「落ち人様の護衛だなんて光栄です。すごく嬉しいです。」と微笑んでくれたら、目じりに皺が出来て、えー。めちゃくちゃ素敵だった。イケメンっていう感じじゃないけど、細マッチョで体格が物凄く良い。雰囲気イケメンかな。

護衛のお名前はアビゲイルさん、名前で呼んで欲しいと言われたので、名前呼びして、桜を植えるために、穴を掘ってもらったりしている。いいように使っているけど、まぁいいか。


桜を植えている、もうすぐ秋だけど、まだ暑いので麦わら帽子を買って被っている。首にもひえひえのネッククーラをしており、作業を手伝ってくれている全員に渡している。もちろん、作業場の近くにクーラーボックスやジャグを設置して、凍ったアイススラリー、冷たいポカリ系を薄めたものを入れている。梅干しもどきも準備OKだ。熱中症対策はきちんとしておかねば。こっちには熱中症とかないのかなと聞いてみたら、夏場は日中外で働く人はあまりいないそうだ。結構仕事に対してゆるい?


それはそうと夏場に桜を植えて大丈夫なのかという話は、こっちの魔法がどうにかしてくれるとしか言えない。植物魔法の使いのナナシ―ノさんが、根付くように魔法を使ってくれるのだ。

わたしと生活魔法が使えるお手伝いの男性が成長促進の魔法をかけていく。これでOK。後は定期的に成長促進の魔法をかけていけば、どんどん成長していくそうだ。魔法って便利。


毎日、桜を植えていたけど、ちゃんと最近は夕食をアーヴィンさん家族と取っていて、1日何をしたのか報告している。業務連絡のようなものかな。料理も毎日美味しくなっていっているので、それを確かめるのも楽しい。


落ち人には何事も強制しないとなっているので、わたしが自発的に報告しないとある意味自由だけど放置になるので、定期的に聞いてもらえる方が有難い。


王宮の件は、計画的に落ち人様の知恵を購入していくと宰相さんは張り切っておられて、アーヴィンさんとどんな本が良いか相談があったそうだ。実用書だよね。まずは。

でも、魔法があって、空気中に魔素が漂っていて、ダンジョンがあって、いろいろ日本の物理や法則が通用しないことも多い。でも、プロ農家の落ち人やマルミヤ医師の話が通用したりもする。

何が合うのか、何が使えるのか、やってみないとわからないことも多いようだ。その辺のことは頭のいい人にお任せしよう。



パソコンを増やしたいとまた連絡があるかもしれないから、夜寝る前に魔力が余っている時にせっせと複製しておこう。そんなことを知ってか知らずか、西の公爵領でも王宮でもパソコンの追加の声がかかった。使いだしたら便利だものね。

いや、わたしが死ぬまでに何を買うべきかみんなで調べているのかもしれない。タイムリミットが明白だからね。


そういえば、大きなものは謎空間から出せないので、今まで買った一番大きなものは本棚かもしれない。組み立て式だったけど。これぐらいなら地元で作れますと言われたので、本棚については、次からは地元の大工さんに作ってもらっている。あの時は長めの板が入った箱がぐにゅーっと出てきたので驚いた。


謎空間は縦横は50cm四方ぐらいで変化なしだ。自転車や自動車、便利そうだけど買えない。大型家具や大型家電もダメだ。謎空間から出せないものは『これは配送できません。』と出るのだ。組み立て前の本棚みたいに細くて長いものはOK。必然今は本やお酒が多くなるようだ。オリバーさんは最初にノートとシャーペンを買ったからか文房具に入れ込んでいるとも聞いた。万年筆とか嵌るとヤバそうだけどね。


そして領主館の日本語の本の増え方がおかしい。実用書、文学、漫画、図鑑、専門書とどんどん増えていく。文字の読めない使用人用に絵本も増えた。


日本語がさくさくと読める上級使用人は少しずつスマホが貸し出されている。今、お館では、あのスマホを貸与されるのがステータスらしい。スマホを複製したものはどんどんアーヴィンさんにお渡ししているところだ。

必死で日本語の勉強をする人が増えたと聞く。


あ、ブライトさんが猛烈な勢いで音楽CDやDVDを買っているのを聞いた。今はユリアーナさんとだけで楽しんでいるみたいだけど、クリックひとつで欲しくてたまらなかったものが簡単に手にはいるようになったのだ。我慢するのは難しいだろう。ブライトさんのお小遣いなのか、公爵領の経費なのかわからないけど、わたしとしては向こうの音楽をこっちの人が受け入れてくれると嬉しいかな。


つい先日はメアリーさん用のパソコンが準備され、メアリーさんも通販サイト利用できるようになった。

奥向きの仕事はメアリーさんが責任者だから、使用人用とかこまごましたものまでアーヴィンさんを通していたら面倒になったらしい。アーヴィンさんはアーヴィンさんで酒造関係頑張っておられるものね。


メアリーさんは、使用人向けの本や、女性陣のために下着や靴など購入してこっちの地場産業で再現できるかどうか検証中らしい。また、石鹸はマルミヤ医師が錬金術で作り出していて、ある水準の物は既に存在しているんだけど、医者の方は男性だから効能は良くても、香りや見た目とかは気にされていなかったので、まだまだ改良の余地ありなのだ。わたしが以前みんなに渡したハンドクリームや日本のシャンプーリンス・基礎化粧品一式も、研究の価値ありとメアリーさんの鼻息は荒い。


こっちの世界の人は日本の製品をそのまま転売するようなことはせずに、こっちの世界で作れるようになるというのが目標になるようだ。そうだよね。日本製のものは、わたしが死んだら手に入らなくなるもの。地場産業第一だよねー。お気に入りのシャンプーリンスを紹介したりして協力は惜しまないよ。

こっちの世界は錬金術師や鑑定士もいるので、現物があればある程度寄せて作ることは可能だ。日本になかった魔物の素材もあるから不思議な組み合わせで完成したりする。例えば、スライムの溶液や海龍の鱗、聖水、真珠粉、聞いたことがないような月光草とか、精霊の結晶とか出てきて、それらを錬金術師がシャンプーやリンスにしてしまう。その過程がとても面白い。


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