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アーヴィンさんからは、執務室にパソコンを増やしたいと依頼された。調べることが多すぎて、3人じゃ厳しいとのこと。アーヴィンさんの側近2人、オリバーさんの側近2人、ブライトさんの側近も2人。
いいよ。こっちは寝る前魔力が余っている時に複製したものがあるから大丈夫。
プリンタに繋ぐLANケーブルとかソーラーバッテリーとか周辺機器を追加すればいけると思う。
通販サイトで違うパソコンを買ってもいいんだろうけど、最初にこれって使いだしたら、慣れてしまうものね。今使っているので問題ないならこれでいいだろう。
執務室で追加のパソコンを設置した後、メアリーさんに呼ばれた。
「ハナ様、赤の部屋の漫画を置きたいっていう話を聞きました。漫画はわたくしも読ませていただきましたが、本なのに絵があって、とても読みやすく、物語に引き込まれてしまいます。とても気に入っています。赤の部屋に行く女性にもあの時期の鬱々とした時期を過ごすためにも、また、日本語の勉強のためにも置いても良いけれど、まずは、わたくしたちが内容を確認したいと思いますので、家族のDVDを視聴している空き部屋に先に置いていただけませんか。」
たおやかで本当のお貴族様のご婦人といったメアリーさんから「わたくしも漫画を読んでいますのよ。」と告白されると少し違和感はあるけど、落ち人の文化だものね。まずは当主関係者は勉強しないといけないのかもしれない。
「どのようなものが良いですか?恋愛物。ファンタジー、職業物ぐらいが良いでしょうか。」
「ハナ様が良いと思ったものでよろしいですわ。」
妖艶に微笑まれ、これはチョイスが責任重大だと思った次第。「漫画って面白い、素敵。楽しい」って思ってもらえるようなものを絶対に選ぼう。
剣と魔法の世界が現実のものであるこちらの世界に、ドラゴンが出てくる物語はファンタジーではなく、ただのリアルな討伐物になったりしないかとか思ったり、メアリーさんなら異世界溺愛系がいいのではないかと思ったり、いやいや異世界内政領地開拓系がいいのかもしれない。ああ、アーヴィンさんにはお酒造りや飲み屋さんで一人飲みする系もいけるかもしれない。自分がおすすめする漫画を提供するのって、自分の趣味を見せるようでちょっと恥ずかしかったけど、漫画を愛してくれる人が増えるのは異世界でも嬉しいかもしれない。好きなものを語り合える相手がいるって日本ではなかったからね。ちょっと楽しみかも。
その後、メアリーさんが溺愛系にはまり、アーヴィンさんが酒造りの話にはまった。オリバーさんやクロエさんは領主開拓系、ブライトさんとユリアーナさんは歌劇団やバレエに励むお話が気に入ったようだ。アーヴィンさんが溺愛系の旦那様のような熱い恥ずかしい台詞を勉強したのは言う間でもない。ちょっと悪かったかもしれないけど頑張って下さい。
赤の部屋には主には恋愛物、剣と魔法で活躍するファンタジーもの、異世界でスキル無双するものとか、悪役令嬢が活躍するもの、囲碁将棋が浸透しているのであれば、そちら系のものを準備してみた。溺愛系とかはおかなかった。メアリーさんが「これはわたくしとお友達用にします。」っていうことになったので、まぁそういうことだ。
ご家族用には、それにプラスして、異世界に繋がる料理屋さんの話もネタで入れてみた。日本から見た異世界という点では受け入れてもらえるだろうか。
アーヴィンさんが言うには、領主館で働くものは、日本語を話せることが前提らしいけど、文字を読める人は少ないらしい。そのため、漫画も導入したけど、読めないかもしれないと少し心配したので、子ども向けの絵本を入れてみた。読みたい!と思えば学ぶんじゃないかな。
ちなみに、赤の部屋のDVDは非常に好評で、メアリーさんやリリスさんが赤の部屋のために追加でいろいろDVDを増やしたらしくて、今日はどれを見るのかで喧嘩をすると大変なので、恋愛の日、アニメの日、ミステリーの日等順番に観ると決めていて、意外と寅さんとか受け入れられているそうだ。落ち人様の生活を覗き見るというのがいいらしい。落ち人様も普通の生活をしているんだと思われて安心するのだそうだ。でも、寅さんの生活を落ち人がみんな同じことしているんじゃないんだけどね。まぁいいか。でも、寅さんのチョイスは誰がしたのだろう。良く見つけたなってつい思ってしまった。




