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インターネットはわたしのスキルだ。わたしが亡くなったら使えなくなる可能性が高い。通販サイトで買えなくなる日が来るのを想定して、DVDや本など、まずは長期保存ができるものを中心に購入計画を立てているようだ。

わたしも80歳ぐらいは長生きしたい。でも、本当30歳で末期癌だと絶望した日もあったから、安易に80歳長生きできますとは言えない。悩ましいところ。

誰も口に出して言わないけど、生きているだけで感謝されているような気もする。


「ハナ様、お願いがあります。」


イケオジのアーヴィンさんから朝食の後に声掛けられた。今日の朝食はわたしリクエストのパンケーキとサラダと紅茶だ。とても美味しかった。


「執事のアダムスと侍女長のマーサにスマホを渡したいと思っているのですが、ご協力していただけますか?」


落ち人の恩恵は秘匿してはならないというルールがあるので、スマホも秘密にしなくてもいい。ただ、王家への献上が先かなと思ったりしたけど、いろんな人に使えるかどうかの実験のしてもらうのは良いかも。


「ええ、いいですよ。複製は簡単ですから。使い方は教えないといけないので、お2人にも学んでいただかないといけませんが。」


そうわたしが言うと、アーヴィンさんはほっとされたようだ。『落ち人に強制してはいけない』を本当に守ろうとされている姿にこっちもほっとする。


アダムスさんとマーサさんは40代後半ぐらいだ。スマホは使えるだろうか。年を取ると難しいと思うけど。

そう思っていた時もありました。さすが公爵家の執事と侍女長はとても優秀。どちらも日本語の読み書きも出来る。「落ち人様の英知をわたしが使ってもよろしいのでしょうか。」と恐縮はされるが、いざ使いこなすということになれば集中力が凄い。


2人ともあっという間にスマホが使いこなせた。2人に写真の使い方も教えれば、2人で恐る恐る写真撮り合ったり、仲良く並んだところを撮ってもらったり。2人で撮った写真を待ち受けにできるよと言うと、やり方を聞かれたので、教えると2人ともすぐに待ち受けにしてしまった。年上の方なのにテンション高めにはしゃいでいる姿はちょっと可愛い。


これは横で見ていたオリバーさんご夫婦、ブライトさんご夫婦も負けずと応戦していた。アーヴィンさんはご家族写真を、メアリーさんはお孫さんの写真を待ち受けにしたそうだ。

はーわたしもお孫さんたちにまた会いたい。

でも、お貴族様のお子様は乳母に育てられているのか、小さいとなかなかお会いできないんだよね。


2人はトークルームも登録したので、離れた場所からもそれが使えるか試してくれるそうだ。もし使えなかったら、魔法の小さな使い魔が教えてくれるらしい。あるじゃない遠隔連絡方法!というと、使い魔は『はい』『いいえ』『わかりません』とか、伝えられる言語は少ないらしい。日本語オンリーだけど、スマホで会話ができるのは嬉しいと言う。

お互いの写真がスマホのアルバムに入っているのを確認していたので、「印刷してみる?」と聞いてみた。


「え?そんなことできるんですか?」というので、アーヴィンさんのノートパソコンのメールに写真を添付して送ればいいから実験してみようとやってみると、メールは送れたようだ。

本当に謎だけど、こっちの魔法が作用するのか、名前の登録のみなのに、メールが送受信できるみたいなんだよね。謎魔法。みんなで執務室に行ってみて、メールが受信できているかどうか確認する。アダムスさんとマーサさんのにこやかな写真に、アーヴィンさん少しだけ顔がほころぶ、わたしが写真印刷用の紙があることを教えたので、それをすぐに購入し、プリンタにセットして印刷してみたら、写真どおりに印刷できた。綺麗。


「アダムス素敵よ!!」


「マーサもいい笑顔だ!」


2人は出来栄えにお互い褒め合っていた。


「これほど美しく絵は描けない。写真というものは凄いし、それが印刷できることも凄い。」


オリバーさんとブライトさんはスマホで撮った写真を自分のパソコンに送って、印刷できることを確認したようだ。少しずつ使えることが増えていったね。


アダムスさんとマーサさんがスマホを使えるようになったのを見届けた。今後使いこなしてくれそうだ。


アーヴィンさんは、表計算に自領の税金について入力も始めたという。計算が楽になるよって伝えたからね。


「ハナ様、表計算は本当に素晴しいです。あんなに簡単に計算ができるのです。もちろん、印刷した表を再度確認はしていますが、それでも早くて簡単です。今は一部の短期間分だけですが、今後領地の税収入は全部表計算でまとめたいところです。」


「表計算、わたしも好きです。表計算の簡単な本を買っておくといいですよ。欲しいなっていう機能は大抵既にありますから、使い方を覚えるだけでいいですよ。」


「そうなんですね。そのような便利な本も売っているのですね。本も多くて何をどれだけ買えばいいのか、まだ検討中なのです。」


幸せな悩みですと、苦笑されるアーヴィンさん。酒造関係の本は結構購入しましたと満足そうだ。

ただ、それ以外の専門の本までまだ手が出せていないという。


そうだろうな。何もないところから一気にだものね。それにこっちの世界本は立派なものでお高い。日本では、数百円から数千円で1冊本が買えることを知って、こっちの皆さん驚かれていた。それも軽くて読みやすい。オリバーさんもどうは系統立てて読めばいいのか悩まれているらしい。

本もそうなんだよね。いつかわたしがいなくなった時、たぶん、インターネットスキルが消えるから買えなくなる。


その前に必要なものは手に入れておきたい。それを膨大な本の海から探してこないといけない。まずは実用書だ。

文学に嵌ると抜けられないだろう。

わたしは時々漫画の新刊を買っている。こっちでも買えるなんて天国!それをリリスさんが読みたがるので、お気に入りの漫画は1巻から買いなおしている。


漫画がなかった世界だったのに、リリスさんの嵌りよう。案外どこにいても人は一緒なのかもしれない。漫画はわたしの部屋に本棚を置いて、少しずつ増やしている。赤の部屋にもそのうち置いてあげようかな。

使用人に読ませるならメアリーさんとかの許可が必要かも、要相談だね。


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