めっちゃポケモ◯書きたかったけど他サイトいちいち登録すんのが怠くて◯ケモン下地にして書いた感じ物語
街中にポツンと立つ人がいた。ボロボロの登山服に疲れ切った顔。己が異物と知った男ワタリ。
「余りにもパチモンだろ。良い加減にしろやマジで。パチこきモンスターじゃねーか」
広がるのは極めて日本に似た光景であるが異様、局所的に進んだ技術と広大と言う言葉で片付かぬ自然と、そして何より人と共に生活する様々なモンスター達。
「いやカワイイしカッコイイんだけどさ。いっそポケットの方の世界だったらなぁ」
キッチンカーで30センチ程の萱鼠の毛量を増やした様な生き物が口から火を吹き料理を手伝う。3メートル程の大きさで二足歩行の鉄のゴジラみたいのが人と共にクレープを与えられながら歩いていた。
遠くのバスケットコート三つ分くらいの広場で二足歩行の鮫と恐竜を組み合わせた様なモンスターと雷を纏う猿が人の指示を受けて戦っている。
二足歩行の鮫が体諸共回してマオナガの様な尾鰭を横凪に振れば風の刃が放たれ、雷を纏う猿は機敏に飛び跳ねてそのまま雷を纏った拳を叩きつけた。
「……いや、余りにも」
「待たせたなワタリ殿」
「あ、ヒラサカさん」
シャツにジーパンまでは普通だが高下駄に白い羽織りを肩に掛ける壮年の大男。命の恩人であるヒラサカの頭髪は銀灰の髪に緑のメッシュが入っている。それは老いでは無く話によれば黒一色の頭髪のワタリより5年ほど年長なだけで地毛だと言う。
「漂泊者には珍しい光景なのだね」
「ああ、いやぁまぁ何と言うか……。人気ゲームの世界っぽ過ぎて」
「ゲーム、か?」
「俺のいた世界に妖怪だのモンスターの類は実在しませんでした。ただそういった伝承や昔話は残っていて、それとか動物を元にしたゲームとかが作られたんですが……。その、凄く似通い過ぎてて」
「ふむ……まぁ錯乱などしていない様で助かったよ」
「俺みたいなのは多いんですか?」
「いや私が対応するのは初めてだよ。伝承は幾つか残っているが。今のは遭難者と比べてしまったんだ。あの山は強いモンスターが多いから遭難者がよく出る。すまないね」
「あ、いえ。そんな」
ヒラサカは申し訳なさそうな顔を改め。
「さて」
腰のベルトに吊るした筒を取り出し蓋を開けた。それと共に白煙が筒の先から広がりモンスターが現れる。
「ボゥ」
鳴き声を上げたそのモンスターは鼻の長い鬼の黒面頬の様な顔に刺々しい歌舞伎か獅子のような長い白の立髪。頭頂部には犬か猫の様な耳と鹿の様な角を持ち、三頭身程の身体を蓑笠を羽織る様に羽で包み団扇のような手と高下駄の様な足が伸びている。その黒い漆器の様な顔の金色の瞳がワタリの方へ向きニコリと笑う。
何とも頼もしさと愛嬌を混ぜた表情。
「ダルマボウ。すまんが頼む」
「ボウ!」
ダルマボウが内輪の様な手を振れば風が吹き上がり身体が持ち上がる。全身に強力な風を受けながら高く高く上がっていく。家やマンションどころでは無い高さまで進み飛んでいった。
「お、おぉ……」
「これで迎えが来るはずだワタリ殿」
直ぐにバギーの様なゴツいタイヤの車が止まった。扉が開いてダルマボウと男が降りてくる。黒に金のメッシュが入ったオールバック細身スーツ眼鏡男。
「ヒラサカさん。連絡ありがとうございます。そちらが?」
「ああ、フルヤシロで倒れていた」
この後に医者での検査と網膜指紋確認をした後で戸籍がない事と就籍許可を受けた。
「スゲェ助かったけどコレたぶん記憶喪失や身元不明者ワリと出てんな……。なんかメチャクチャ手慣れてたよ。いやメチャクチャ助かったけど」
ワタリは視線を上げる。非常に長い階段とその先の社。インヨウ地方スイト街イヤ大社。
「よく来たなワタリ殿」
「ヒラサカさん。今日はお世話になります。モンスターを貰える、とか」
「うむ。うちは国営妖道場もやっている。今はモンスター教室と言った方が良いかな」
「モンスターが居ないと移動もままならないんでしたっけ……」
「街中なら未だしもな。特に君の居たフルヤシロのあったヨモツ大森林なんてのは危険が過ぎる。ダルマボウも頼もしい相棒だが大森林の関わり方を間違えてはいけないモンスターの一体だ」
「あ、そう言えば支給されたスマホ図鑑に載ってましたね。神通力に精通してて普通に嵐や竜巻を生み出すんでしたっけ」
「うむ。野生のダルマボウは縄張り意識が強くてな。更に執念深く古い時代は町一つを薙ぎ払った事さえある」
「えぇ……つ、強すぎません?」
「ああ、だがモンスターはモンスターと対峙する性質がある。霊力や妖力と昔呼ばれていたエネルギーを戦いの最中に放出しモンスターが強くなるからだ。だからモンスター同士で戦わせて落ち着かせるのが効果的だ」
「成る程」
「とういう訳で説明を受けているだろうがワタリ殿にはパートナーを選んでもらう。インヨウ地方で公的機関からモンスターアスリートに配布される最初のモンスターだ。基本的に育て易く成長しても手間がかからない」
ヒラサカはそういうと三つの筒を開ける。ボボボンと小気味良い音と共に三匹のモンスターが並んだ。
手鍋を被った丸っこい麻呂眉のオコジョを丸くした様なモンスター。
「こやつはナベカクレといい硬い被り物を好む性質がある。昔から割れ鍋を貰いに人と関わっていて種族的に人懐っこい。ただ家の鍋を火にかける時に紛れ込んでいる事があるから気をつける事。怪我はしないが驚くからな」
甲冑魚の様に岩を纏うつぶらな瞳のオオサンショウウオに似たモンスター。
「こやつはハンザケヌだ。硬い岩を纏っているが見ての通り温厚。湿気を好むから時折シャワーを浴びせてやると喜ぶ。動きが遅いから移動する時は妖筒に入れてやった方が良い」
大きな目と葉っぱの手を持つダルマとフクロウの雛を合わせた様なモンスター。
「こやつはコノハボウ。ダルマボウの成長前の姿だ。コノハボウの状態だと知恵が回り大人しい性質を持つ。空を飛ぶ事と日に当たる事を好むぞ」
結構可愛い。また同時にワタリは思った。こんなとこまでパチモンじゃねーか、と。まぁワクワクもしたが。
「……迷う」
「ハッハ皆そうだワタリ殿。だが最初は一匹にしておけ。成長せずとも食費などもかかるしな」
迷い迷って一番相性の良さそうな。
「じゃあナベカクレ。付いてきてくれるか?」
「キュア」
ハンザケヌに舐められコノハボウに撫でられてからウヒョーと言わんばかりにナベカクレがワタリの身体を登っていき頭に陣取った。
「ではこの妖筒。ホルスターを」
「有難うございます」
「さてワタリ殿には道場巡りの説明をしよう」
「お願いします」
「幼年園を経て少年学校を卒業した者は三年間地方を巡る旅に出る事になっている。競技者であるハンドラーとして世界を知る義務教育の一つだ。そして就職や青年学校に進む」
「その、俺みたいのが十代の子達に混ざって大丈夫なんですか?」
「……? ああ、なるほど。モンスターバトルは子供やプロだけではなく老若男女問わず行っている事だ。
パートナーが居れば必要な事だしエネルギーの循環やインフラの維持に繋がる。それに竜脈や地脈と言われていたレイラインの循環だな。
まぁ難しい話は兎も角ナベカクレのタイプや技の確認をしておくと良い」
「分かりました。ナベカクレ!!」
「キュ」
ナベカクレがワタリ名前に着地する。
「さぁスマホの図鑑でナベカクレを写せ。ワタリ殿」
「はい」
言われた通りに貸し出されたスマホを翳してみればナベカクレの情報が羅列される。
<メタルタイプ>
インヨウ地方図鑑No.001
動物系モンスター。古くから人間と共にあり使えなくなった鍋を被っている。気に入った鍋を取り上げると衰弱してしまう。
ワタリは思う。パチモン、と。パチモン図鑑過ぎる。
「モンスターには十二の属性、木火土金水風雷氷気陰陽竜のタイプがある」
「お、多い……」
「ああ、うん。すごい分かる。古くは五行陰陽だったそうだが。だが覚えておくべきだ。
何せモンスターの肉体に流れるエネルギーの種類によって相性があり、主に受けた攻撃に対するダメージ量が増減する。
戦いに於いては何より重要だ。ナベカクレは金行、守りの硬い金属タイプだな」
「五行とかは分かるんですが陰陽とか竜っていうのは?」
「陰陽は正直言ってよく分かってない判別不明な属性だ。一般的にはマイナスタイプ、プラスタイプと呼称されてる。海外だと昔はアンノウンタイプやデュアリズムタイプと呼ばれていた。
竜はドラゴン系のモンスターが持っている事が多い属性だ。控えめに言って強い」
ワタリは相性早見表と書かれた枠をタップして見た。非常に見覚えのあるパチモンの様な画面が広がる。ツッコミを抑えられるか不安になりナベカクレを撫でた。
「スマホの画面。ナベカクレの情報から覚えている技を見る事ができるはずだ。技一覧とある」
「えっと……」
言われて戻るをタップし技一覧をタップすればポップしてくる。
体術・体当たり
体術・引っ掻く
体術・噛み付く
金行・鉄纏い
「ポケ……」
「ぽけ? どうしたワタリ殿」
「……いえ」
「技は大抵四つ程を記憶させて出せる様にしておくのが主流だ。また体術と言うのは基本的な攻撃でエネルギーを用いない。ただモンスター自体の力があるからそれなりのダメージは出る」
「四つ以上の技も使えないんですか?」
「ああ、いや。可能だ。ただ四つ以上の技を戦いの中で操れるハンドラーは少ないが」
ワタルは漸く相違点を見つけたと安堵したが最近の作品は戦闘前なら技を入れ替えられるので確りパチモンである。
「さぁワタリ殿。あそこにある巻俵を並べて攻撃を指示してみると良い。好きに使って構わない」
「わかりました」
道場の中央に弓道の的にする巻藁を剣道の巻藁の様に長くした的を三つ並べて設置する。
「よしナベカクレ。鉄纏い」
「きゅあ!!」
鳴き声共にプロテクターでも来たかの様に全身に鉄の殻とでも言うべき鎧の様なものが。
「鉄を纏って攻撃と防御を上げる技か」
すごいパチモン。
「よし体当たり!」
「キュッ」
走っていってドスンと大きさと重さからは考えられない威力で巻藁を薙ぎ倒した。
「お、おぉ……」
ワタリは威力が思ったより凄そうでビックリした。だがトテトテと戻ってきたらナベカクレが被ってる手鍋を小脇に抱えて胸を張る。正直メチャクチャかわいかった。
「よしよし。よくやったぞーナベカクレ。良い勢いだった」
「キュフー」
どうだと言わんばかりの鳴き声を漏らすナベカクレは若干ドヤ顔である。
その光景を見てヒラサカは安堵していた。時折だが理由は様々あれどモンスターを苦手とする者もいる。またモンスターと人間の相性という問題もあった。
少なくとも眼前光景を見るに問題はなさそうであると確信できる。
「他の技も見てみようか。いけるかナベカクレ」
「キュ!!」
胸をドンと、厳密にいうとポフと、叩いて見せるナベカクレ。
「オッシャちょっと待っててな」
ワタリは巻藁を設置して。
「よっしゃ。引っ掻く!! 噛み付く!!」
「キュア!!」
巻藁に三条の爪痕が深々と残り、すぐ隣の巻藁に噛みつき千切った。
「よーしよし! よーしよしよし!」
「キュフー!」
「フフフ、ワタリ殿。もう既に良いパートナーとなれた様だな。先ずはバトルを重ねモンスターを強くすると良い。
そして霊力、レベルが上がったら各地のモンスタークラブやセンター、道場に挑戦だ」
「はい! おせわになりました。ヒラサカさん」
「ああ。では最後にこれを渡そう。ホルスターを止める八緒。海外ではパチベルトと呼ばれる。腰に巻いてホルスターを固定してみると良い」
「えーっと……」
腰に巻いてホルスターを輪の中に入れると小気味よくパチッと鳴った。後七箇所の空きがある。
「その音から海外ではモンスターはパチトゥモンスター。それがこちらでも定着してパチットモンスターと呼ばれる。さぁ旅を楽しんでくれワタリ殿」
ヒラサカに言われてワタリは頭を下げてから童心に帰って走り出した。
「行こうナベカクレ!!」
「キュア!!」
街を抜け海へと向かって。そしてメッチャ離れたところで誰も居ないのを確認してから。ワクワクはするがそれはそれとして。
「略してパチモンじゃねぇか!!!!!!!」
ありったけの想いを叫ぶ。その横ではナベカクレが首を傾げていた。




